「まささん、メールに目を通す」の巻
「おや、ねねさんからだ? あっちで何かあったのかな?」
「まささん氏。その『ねねさん』ってのはいったいどなたですかな? 自分の耳には、女性の名前に聞こえるのですが」
「ああ、例のハングル彼女のことだよ。言ってなかったっけ?」
「ああ、例の韓国人彼女のことですか。聞いております。女っ気など欠片もないまささん氏にようやく花が咲いたと思ったら、それが不幸への爆走ルートだったというアレですな」
「勝手にひとの人生決めるなよ。失礼じゃないか」
「いやいや、聞くところによると朝鮮女ってのはめっちゃ気性荒いって話じゃないですか。ドラマでも歯むき出しにして怒鳴る喚く手を挙げるの三段活用で、ヘタレで有名なまささん氏に耐えられる相手とは到底思えんのですが?」
「ヘタレの根性なしのゴミクズのブサメンであることには全然同意する。だが、どういうわけか上手くいってるぞ。そりゃあ、ふつーのカップルとはだいぶ違うという自覚はあるが」
「はァ、珍獣観察してるようなものですか? 小説のネタ造りにはちょうどよさそうな関係ですね」
「どちらかというと、この場合はボクが餌付けされてるってのが実情だけどね」
「ほほう。せいぜい干涸らびないよう頑張ってください。お互い歳ですからな。やり過ぎには注意ですぞ」
「相変わらず下品な奴だな(心の声:まあ、当たらずとも遠からずってのは確かだが)。さて、ホンマに何があったんだろ。実家に帰って半年は帰ってこないっつー話だったんだが……」
しゃべりながらメールを読むまささん。その表情が驚きのそれに変わります。
メールの内容は次のようなものでした。
『まさちゃん。久し振りです。今度の日曜日、時間あたらでぇとしましょう』
「はぁッ!?」
思わず声を上げてしまうまささんなのでありました。