「まささん、温泉旅行のプランを語る」の巻
「ひとまず良さそうなところを、いくつか見付けておきました。最有力候補は、市街地からだと、だいたいクルマで三十分の距離ですが、そこそこ立派な天然温泉ですよ」
「三十分? そんな近くに温泉あるんですか?」
「富山はですね、地面を掘ったら温泉が湧くっていう土地柄なんです。ほら、立山っていわゆる火山って奴ですから。地獄谷って聞いたことないですか?」
「ないです」
「あ、そうですか。とにかくですね、晴れた日に見えるあの山々は、実のところ、いつ噴火してもおかしくない山ってなわけです」
「そーなんですか!? 知らなかった! 怖くないですか!? いつドカーンといくかわからないんでしょ!?」
「日本に住んでる限り、自然災害を恐れていたら生きていけません。地震・大雪・台風・火山。ぶっちゃけ言うと、日本で一番偉いのは、人間じゃなく自然なんです。自然っていう奴は、人間への悪意で動いてるわけじゃないですからね。いちいち怖がってても仕方ないです」
「なるほど。日本人、やぱり変わてますね~。韓国で爆発する火山があるなんて聞いたら、その土地に住んでるひとたちは、大騒ぎするんじゃないかな」
「(心の声:韓国にも被害もたらしそうな大火山があるけどね。白頭山っていう……)まあ、他の国から見て、変わってると言われたらそうなんでしょうね。日本には、他の国みたいに『願い事を叶えてくれる神さま』もいないですし」
「???」
「日本でいうカミってのは、キリスト教やイスラム教の神さまと違って、お祈りする対象じゃないんですよ。むしろ、『余計なお節介しないでおとなしくしててくれ』って、お願いする対象なんです。そこんとこわからないと、日本の文化は理解しにくいでしょうね」
「よくわからないけど、なんとなくまさちゃんの言いたいことはわかたよ」
「物事の本質は、『考えるな。感じろ』です。物好き以外は、それでいいんですよ」
「それより、まさちゃん。さきの温泉の話なんだけど、予定はいつ頃?」
「ああ、3月下旬を考えてます」
「おけい。楽しい旅行になるといいね!わたし、楽しみしてる!」
「楽しみにしておいてください。露天風呂付きの部屋ですんで、好きなだけ天然温泉を楽しめますよ」
ねねさんの笑顔を前にしては、財布の中身がアイタタタだけどな、とは決して言えない、まささんなのでありました。




