「まささん、韓国料理店に行く」の巻
(約三分の一ほど甘いケーキを胃袋に収めたまささんですが、そこで思わずギブアップ。ねねさんの煎れてくれた熱いブラックコーヒーで口を整え、いろいろしたのち、夕食に行くことにしたのでした)
「(心の声:う~、口の中がまだ甘々だァ)さて、ねねさん。晩ご飯はどこに行きましょう? あなたのお好きなところにお連れしますよ」
「わたし、まさちゃんの好きなところでいいよ」
「う~ん、いざそう言われると特に思い浮かぶところは……強いて言えば、肉が食べたいですね。焼き肉にしますか?」
「おゥ、それならいいお店知てますよ! そこ行きましょう!」
「どんなお店です?」
「わたしのよく行く『大○軍』っていう焼き肉屋さんの店員さんが独立して作たお店です。『○将軍』はいい肉出してましたから、きとそのお店でもいい肉出してくれますよ! それに──」
「それに?」
「キスした時、まさちゃんの口、甘いクリームの味しましたから、今度は辛い味でバランスとるといいて思たんです!」
「えッ! 辛い味!?」
「そのお店、本格的な韓国料理のお店なんですよ~」
「ほお、それは楽しみ。というか、そんな店が富山にあったんですねェ。知りませんでした」
「まさちゃんは物知りだけど、食べ物のお店に関しては、わたしのほうが詳しいね!」
という流れでまささんたちがやってきたのは、「B○TAMAJIN」というこぢんまりした店でした。
「ここですか?」
「ここよ~ さそく入りましょ」
若い女性店員さん(JDのバイトだそうで)に案内されてカウンター席に着くふたり。
それぞれの目の前には、小さな鉄板がはめ込んであります。どうやらここで肉を焼くようです。
どんな料理があるのかよくわからないまささんを尻目に、ねねさんがテキパキとメニューを注文していきます。
さすがは韓国人、韓国料理はお手の物と言ったところでしょうか。
「ここのお店、ソウルの有名店より美味しいて話ね。もっのすごくいい肉使てるんだと思いますよ~」
「ほほう、それは楽しみ」
お店がまず出してくれたのは、香草をいろいろ混ぜた生野菜たちでした。ただし、サラダというわけではありません。ドレッシング?と一緒に瓶の中にそれらを入れ、よく振って混ぜ合わせてから、改めて取り出して食べるのです。
「おッ! こりゃいける!」
「おいしーですね!」
続いて出てきたのが赤ワイン。今宵は代行で帰る気だったまささんも、珍しく飲酒に付き合ったりします。
「乾杯!」
「かんぱーい!」
そしていよいよ、メインとなる肉の登場です。
その見たことのない佇まいに、まささんは両目を大きく見開くのでした。




