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へべれけ!  作者: へべれけ
第2話
8/72

02-a2

「茜!!」

俺が呼びかけると、茜は直ぐにやって来た

触手を避けながら再び俺を拾い上げる

今度は先程のような、ビリッと来る感覚はなかった


「どうして…!」

批難しようとする茜の言葉を遮り、質問する


「あの怪物の中にある、光の玉が見えるか?」

少しムッとしたようだが、茜はすぐに答えてくれた


「あれは妖魔の核だよ。あれを壊せば、妖魔を消し去ることができるんだけど…」

「あの怪物を…妖魔を、空に持ち上げることはできないか?」

「空に?」

「地面から引き剥がすんだ!」

少し考えた後


「わかった、やってみる!」

と茜は言った


そして、手にしたロッドで左肩のあたりを軽く叩くと、ドレスの形が変化して肩口がフードのような形に変わる


「君はここに入っていて」

茜はそう言って俺をフードの中に押し込めると、触手を躱しながら妖魔に向かって突撃する


その動きは、ジェットコースターなど比べものにもならないくらい激しいものだったが、不思議なことに恐怖は一切感じない


"そういえばさっきも、あの激しい動きの中で普通に会話していたな…"

ふと、そんなことを考えていると凄まじい振動と共に爆音が鳴り響いた


━━━━━━━━


ロッドを地面に叩きつけると、爆音と共にちょっとしたクレーターが穿たれる

そして、クレーターは妖魔を取り巻くように穿たれており、クレーターから延びる亀裂は周囲の地面ごと妖魔を大地から切り離していた


「せーの!」

茜は触手の攻撃をかいくぐって地面に降り立つと、亀裂の1つに手を突っ込み、周囲の地面ごと妖魔を空中に放り投げた!


「…え?」

状況についていけず思考停止する俺を余所に、茜は大地を蹴って飛び上がり、妖魔を追撃する

迫りくる触手をロッドが次々と掻き消していくが、今度は触手が復活することはなかった


「これなら…!」

茜は一気に妖魔に肉薄すると、そのロッドで妖魔の核を打ち砕いた!

すると、妖魔は崩れる様に消え去り、その核は光の粒子となって、茜の指輪に吸収される


茜は妖魔に取り込まれていた人を救い出すと、

公園の芝生の上にそっと寝かせた


「その人は?」

「大丈夫だよ、気を失っているみたいだけど、ちゃんと生きてる。しばらくしたら、気がつくんじゃないかな?それより…」

茜は地面に穿たれた巨大なクレーターを見た


「その力で何とかならないのか?」

「うーん…ちょっと無理かな?」

だったら、やるべき事は1つ

結界が消える前にここを離れるのだ

俺たちは逃げるようにその場を後にした


━━━━━━━━


家への帰り道、気まずい沈黙が続く

茜は俺を抱き抱えたまま、ただ黙って歩いていた


聞きたい事は山のようにあるが、どう切り出して良いのかわからない

多分、茜もそれは同じなのだろう

そうこうしているうちに家の前に着くと、そこには茜のママさんが立ちはだかっていた…


━━━━━━━━


「お母さんお願い!私がちゃんと世話をするから!」

俺を抱きかかえながら、茜は懇願した


「まったく、最近何かコソコソやっていると思ったら…」

ママさんがジト目でこちらを見てくる


あの後、ママさんに見つかった俺たちは1時間近くお説教を受けた

まぁ、子供がこんな時間に部屋を抜け出して外を出歩いていたのだ、それは仕方がない事だろう

実際、警察までやって来ていて、ちょっとした騒ぎになっていた


だが、問題はそれだけではなかった

そう、俺の存在である

そして今、俺の処遇をめぐって、茜とママさんは対立していた


因みに茜が外出した理由は、逃げ出した俺を探すためということになっている


「はぁ~~~」

何度目かの深いため息をついた後、ママさんは諦めたようにこう言った


「ちゃんと自分で世話をするのよ?それから、もう二度と夜中に黙って外出はしない事!いいわね?」

「うん、わかった!ありがとう!お母さん大好き!」

茜はママさんに抱きついた


「それじゃ、もう一度お風呂を沸かすから入ってしまいなさい。その子もちゃんと洗ってあげるのよ」

「はーい!」


"え?俺もいっしょに?"

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