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へべれけ!  作者: へべれけ
第1話
4/72

01-b1

優しく甘い匂いが鼻孔をくすぐる


「あ〜ん」

女の子がスプーンを差し出してくる


あれ?誰だっけこの子?

何か、大切なことを忘れているような・・・


「あ〜ん(はぁと)」

戸惑っていると、女の子が再びスプーンを差し出してくる


「あ〜ん」

俺はそのスプーンを口に含むと・・・


"ガリッ"



「ギャアアアアアアアァァァァァ!!!!!」

絶叫と共に俺は飛び起きた


痛い!尻尾が痛い!

まるで誰かにかじられた様に!


ん?尻尾!?

ハッとして自分の体を確認する


ぷにぷにとした肉球

すべすべでつやつやの毛並

そして、ちょっと血の滲んだふわっふわでもこもこの尻尾



「うん、完璧などうぶつだ!」

俺はその場で突伏したorz



━━━━━━━━



「コレは夢、コレは夢、コレは夢、コレは夢、コレは夢、コレは夢、コレは夢」

何度も自分に言い聞かせるが、しっぽの痛みが俺を現実に引き戻す


「何でだ・・・一体どうしてこんなことに・・・」

よろよろと立ち上があると、あたりを見回す


「なんじゃこりゃ・・・」

そこには、信じられない光景が広がっていた





そこは、まるで子供部屋だった


今俺がいるのは、ベッドの上に置かれた箱の中

下にはハンカチのようなものが敷かれている


周りには、クローゼットや本棚、学習机などがあり

ご丁寧なことに机の上には、赤いランドセルまで乗っていた


だが、問題はその大きさだ

その全てが、どう考えても通常の5倍から6倍はあるのだ


子供の頃に読んだ、ある物語が頭をよぎった

巨人の国迷い込んだ男の物語だ


「いや…まさかな…」

そんなことを考えていると、どんどんと振動が近づいてきた

そして不意に部屋のドアが開く



全身の毛が逆立つ


そこから現れたのは・・・

数メートルはあろうかという、巨大な"女の子"だった


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