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01-i
その日俺は酔っていた
べろんべろんのへべれけだった
でも、構わないだろう?
誰にだって酔いたい時ぐらいある
おぼつかない足取りで踏み出そうとして
少しよろめいて倒れ込みそうになる
慌てて何かを掴もうと手を伸ばし、指先が何かに触れた気がしたがそのまま倒れ込む
「痛ててて…」
立ち上がろうとして、そのまま地面にへたり込む
不思議なくらいの静寂の中、ぼーっと空を見上げていると、視界の隅で何かが光った
と、次の瞬間、何かが爆発した様な音が聞こえてくる
よろよろと立ち上がると、俺は音のした方向に注意を向けた
空で何かが光った
次の瞬間何かが爆発するような音が響く
「・・・花火?」
そんなことを考えている間にも、光と音はどんどんこちら側に近づいてくる
その、光の間で何かが動いていた
その日俺は酔っていた
べろんべろんのへべれけだった
だからその時も、"何か光るものが近づいてくるなー"
くらいの感覚しかなかったんだ・・・