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言ノ葉聴衆録  作者: ギア
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言ノ葉をきく者・前編

黒っぽい触手が、目の前でうねる。某映画のタタリ神のようだ

恐らく俺はその攻撃対象だ

実際、俺に触手は向かってきている

だが、触手はあたる寸前に切り落とされた

タタリ神(仮)の気味の悪い悲鳴が響き渡る

「なに突っ立てんのよ。動きなさいよ」

悲鳴を物ともしないように触手を切り落とした黒髪の少女の凛とした声が響いた

「わーってるよ。お前より耳いいからアイツの『声』すべてが響いて気持ち悪いんだよ」

いつも思うがなーんで俺は動く度に『死にたい』だの『許さない』だの呟く化けもん倒さなきゃなんねーだ?


~言ノ葉をきく者~

『また学校来たの~?』

『うざいからもう来ないでって言ったよね?』

朝の教室の騒音。その中に微かだがはっきりと聞こえる悪口

窓際の最後部だろうか。女子数名が一人の大人しそうな子を中心に集まっている

(毎日毎日飽きねぇもんだな。俺はいい加減聞き飽きた)

席をたち、その集団に声をかける

「おい、お前ら女の子がそんなに口汚くていいのかよ」

「水木くんいきなり何?私達楽しくおしゃべりしてただけよ」

リーダー格らしき奴がそう言い返した

「普通の奴ならそれで納得するだろうが俺には聞こえてたからな」

「どうせデタラメでしょ。聞こえるはずないわよ、あの大きさじゃ」

あ、簡単にボロが出た

「『楽しいおしゃべり』なら小声じゃなくていいだろ。あーでも『楽しい悪口』なら小声じゃなきゃな~」

嫌味っぽく笑って見せたら固まってた。そして「いこっ」と言ってその場を立ち去っていった

(ざまぁみやがれ。こそこそ言ってるからだ。悪口は正面きって言うもんなんだよ)

自分でもおかしなこといってると思うがそこは放置。触れちゃいけない

「あ、あの・・・ありがとう」

悪口を言われていた子が礼を言ってきた

「別に。飽きたし耳障りだったから」

その子はまだ何か言いたそうだったが俺はそのまま席に戻った

「俺は礼を言われるような奴じゃねぇよ」

机にうなだれて呟いた・・・はずだったんだが

「あ、なに?礼言われるようなことしたの?」

ハッキリ聞こえていたらしい。俺の呟きを聞いたことにたいして眉間にシワを寄せて睨んでも全然気にしない

「さすがイケメン葉月くん!長身で目は切れ長、更にはクール感がハンパない!同学年にも先輩方にも大人気!」

とむしろ煽ってくる活発そうな茶髪にいつも楽しそうに笑ってる目、顔は決して悪くない俺の幼馴染み

「で、イケメン葉月くん。今日転校生が来るらしい。個人的には顔はロリ気味でそこそこ胸があってミニスカニーソの似合う美少女がいい」

「黙れYO助」

「あれ?なんか今『要』の発音がおかしくなかった?」

理想の女の子がバーチャル。これが金木要助かねきようすけのモテない理由

「てか俺イケメンじゃないし。クールでもないし。美少女なんてどうでもいい」

まぁ美少女に興味がないわけでもないが

「またまた~ご謙遜を!というか俺の理想よく考えたらふみちゃんだわ」

「文に手ェだしてみろ。とりあず要助は消し炭にする」

「シスコンのお前が怖いから手は出さないよ」

「誰がシスコンだ!」

文は3違いの俺の妹。現在中1

中3になるまで彼氏は認めない気でいる

「そういうとこがシスコンなんだって。心の声漏れてたぞ」

「シスコンじゃない!過保護なんだよ」

「それをシスコンとってホームルーム始まるしもういいや」

要助が席に戻ると同時に先生が入ってきた。どうやら本当に転校生がいるらしく扉の前で誰か待っている

「えーと何人か知ってるようだが今日は転校生がきている。入ってきてくれ」

転校生が入ってきた瞬間、クラス全員の息を飲む音が聞こえた。それほど転校生の少女は美しかった

綺麗な長い黒髪、白い肌に整った顔、そこによく映える黒曜石のような瞳・・・誰がなんと言おうが美少女だった

ついでに言うと要助を始め男子どもは美少女の服装にも息を飲んでいた

この学校は制服自由なのだが下はミニスカニーソ(フリルつきミニスカ)上は某学園組曲の制服をゴスロリ風にした感じのものだった

それを見事に着こなしているのですごい

ちなみに要助の願望は胸以外は叶った(顔は美人なので満足らしい)

そんなことをグチャグチャ考えていたら転校生が口を開いた

式前琴羽しきぜんことはです。よろしくお願いします」


これが俺、水木葉月みずきはづきとあいつの出会い

この美少女転校生が俺を非日常に引き込むきっかけになるとは思ってもいなかった

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