笑顔の青年はこう語る
貴女はいつも言いますね
『笑ったところで何になる』と
そう言って毎回そっぽを向いて
冷たい瞳を見せるのです
苦しい時も笑わなければと
そう思っていることは認めます
けれど私に笑顔がない時
一番心配するのは誰でしょう?
私は少しお節介なんです
『あぁもう放っておいてよ』と
貴女にどれだけ言われても
声を掛けることはやめません
笑顔で怒るのはやめて欲しいと
憮然とした顔で貴女は言いますが
『笑ってほしい』と言ったのは
さて一体誰でしたっけ?
貴女は一人で泣きますね
『流れる涙も枯れ果てた』と
どれだけ強がりを叫んだって
私にはきちんと分かるんです
できれば貴女を癒したい
世界には光もあるんですよ
貴女や世界のほとんどが
暗闇であるわけ無いでしょう
今日も無表情な貴女へ向けて
私は笑顔であいさつします
貴女はきっと忘れていますね
私が笑顔で居続ける訳
『笑顔が似合う』と言ったのは
他でもない貴女だということを
――彼女が浮かべる笑顔には
きっと誰の笑顔も敵わない
小さい頃の彼女の笑顔は
今でも僕の中で輝いている――