模擬戦
ギアが作業台に横になる。
早速、作業員もとい職人が手の平を加工し始める。
俺は何気なく人工宝石を見てみた。
そして気付く
「おい、これ強化宝石じゃないか」
「よく判ったな。『サンライト・ダイヤ』、『クリムゾン・ルビー』、『スパーク・アメジスト』だ。花一個でどれくらいのサイズまで強化できるか実験したんだ」
なるほど、市場で花を見掛けないと思ったらこいつらが買っていたのか。
確かにサイズ関係無いなら小さい宝石を合成して、強化した後またバラせばいいんだもんな。
でも、強化宝石はまだ高級品だ。
上手くいかなかったのか?
「で、腕に組み込むのは魔剣作成技術の応用だ。お前の竜槍杖はチャンネル式だが、普通は強化宝石を組み込んで単一属性の付加をデフォルトで発生させる」
『ヴォルケニック・ハンマー』などを調べた結果、強化宝石と良質な素材で作られた魔剣と大差は無かったらしい。
つまり、レアドロップ並の武器を作れるということだ。
「ん? あれはどうするんだ?」
積み上げられた鉱石。
ヒヒイロカネとオリハルコンか?
「あれもギアに吸収させる。これもお前の武器に使った技術だ。俺達は『複合魔法合金』と呼んでいる」
そういえば竜槍杖はオリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネを全て使っている。
部分的に比率は違うが、全体とすれば合金製と言えるだろう。
やがてギアの手の平に穴が作られ、宝石がはめ込まれる。
「なあ、胸のダイヤはどういう効果なんだ?」
「ああ、それなんだが、そいつを組み込む」
指差されたのは耳のイアリング。
石化のアクセサリ『ジュエル・アイ』だ。
「そいつを仕込んだ上にダイヤをはめる。そうすると石化光線が乱反射して、拡散ビームとして発射されるわけだ」
「誰のアイディアだよ……」
「秘密だ。もちろんダイヤを通すことで光属性がプラスされ、ダメージが発生するぞ」
炎の腕と雷の腕、そして胸のビーム。
ギアは『巨兵』から『兵器』に改造されようとしていた。
時間がかかるらしいので、俺は出歩くことにした。
そういや、カリスのお披露目どうしようかな・・・・・。
他の使い魔たちも外見が変わった。
ここは一つ……
「いたいた。フィオさん」
「ちょっとお願いしてもいいですか」
「ん? 何だ?」
突然、声をかけられた。
確か上位ギルドのメンバーだな。
少数精鋭って感じの。
「実は、いくつかのギルドとパーティが合同で訓練するんです」
「新しい素材の装備の試しなんかも兼ねてるんですけど」
「そこで相手にフィオさんの使い魔を借りたいなーと」
うん、手間が省けたかも。
派手にデビューさせてやろうじゃないか。
「解った。会場はどこだ?」
「うちらのホームエリアです」
「行きましょう」
ホームエリア 大訓練場
そこに集まったプレイヤー達は緊張感に硬くなっていた。
200人はいるが会場には余裕がある。
ホームエリアのサイズはギルドメンバーの数に比例する。
フィオは1人なのでそうでもないが、30人近いメンバーのギルドのホームなのでとても広い。
集まった者たちは全てが有志。
経験を積みたい者もいれば、ただ使い魔と戦ってみたいという者もいる。
そして、トラウマを乗り越えたいという者も。
森から現れた巨大昆虫、水から現れた大蛇、岩山から見下ろすグリフォン。
万魔殿での忌まわしい記憶を払しょくしたい。
彼らを倒して。
しかし、知らされた事実が彼らを驚愕させる。
ランク5への到達。
彼らの相手はさらに凶悪化を遂げていたのだ。
用意した戦術は通用するのだろうか?
やがて現れた聖魔。
主催者とあれこれ話した後、こちらにやってきた。
肩に乗っているカーバンクルも、以前見かけた時と少し違う。
「じゃあ、始めようか。対戦相手のリクエストはある?」
「……まずはシザーでお願いします」
「あいよ。コール シザー」
キシャアアア
初戦は黄金のトラウマ量産者、シザー。
そして、宴は始まった。
沸き起こるのは勝利の歓声か、恐怖の悲鳴か。
さあ、使い魔vsプレイヤーです。
そして、使い魔の新たな能力は?




