情報は大切
先日の苦行、蟹2連戦は確かに高収入だった。
結果だけ見れば成功だったのだろう。
結果だけなら……。
「なんだその面は。景気が悪くなるだろ」
「それが客に対する態度かよ。大剣そろそろいいだろ。返せよ」
「ああ、そうだな。ほれ、報酬」
大剣を取りに研究室に向かうギルドリーダー。
何か懇願するような声や悲鳴も聞こえてくる。
未練タラタラじゃん。
「ほらよ。返すぞ」
「ああ。依頼もしたいんだが」
「またか? よく金が続くな」
「その分、酷使されたんでね」
ドカッ
キング・クラブの素材を出す。
結構な量だ。
「こいつでそうだな、手甲と脚甲を作って欲しい」
「鎧はいいのか?」
「直撃はめったに無いからな。それよりこっちの方が優先だ」
「そうか。要望はあるか?」
「じゃあ、色は青系の地味なので」
「蟹素材で青か。まあ、その辺は好みだしな」
「近いうちにコートも頼む」
「あいよ」
さて次はオーブ屋だな。
『蒼水蓮の花』の鑑定結果を聞きたい。
俺の予想が正しければもう1個必要になる。
「どうだった?」
「ええ、やはり宝石強化素材ですね」
やはりか。
そうなると、第2エリアで手に入れたアイテムの中にまだあるかもしれない。
キーワードは花みたいだし。
しばし持物を確認する。
「これも鑑定してくれないか」
「ふむ。『紅蓮花』に『サン・フラワー』ですか」
「ああ。火山と砂漠で見つけたんだ」
どちらも火の属性が強そうな環境だからな。
ん? ということは、俺は霊峰でそろえたが『氷雪花』は雪原にもあるのか?
もし、雪原にもあるのなら正直複雑な気分だな。
なぜなら霊峰のほうが雪原より遥かに探索が面倒だからだ。
あんな苦労をしなくても手に入ったのか?
いかん、泣きそう……。
「解りました。ああ、そういえば腐海で『紫電花』という花が見つかったそうですよ」
そういえば霊峰にあるって教えてくれたのはコイツだったな。
ヤルか? いや、もう時効か。
ガセネタ掴まされたわけじゃないんだし、ここはこらえよう。
「それっぽい名前だな。アンブロシアもあるし、今度行ってみるか」
どの道、防具ができるまで時間がある。
宝石強化の代金も溜めておかなくてはならない。
サンド・ウォームやオーバー・ソウルあたりならソロ討伐いけるか?
あいつらは魔法には強いが物理には弱い。
ネクロス、シザー、ギア、ヴァルカンあたりのパワー派ならどうにでもできそうだ。
そういや、シミラの能力も確かめておきたいんだよな。
ランクアップしたことで擬態を超える幻術を身に付けたわけだが、どの位の物なのかはまだ見ていない。
他にも古城の情報はこの前レイさんから聞いたが、地下水脈や亡者の都の情報はまだ聞いていない。
ちょっと自分でも情報収集した方がよさそうだ。
冒険者ギルド
「あ、ハイドさん」
「む、フィオ君か。先日は大変だったようだな」
「ええ、まあ……」
そちらのリーダーも一枚噛んでたんですけど。
「その、なんだ、ルーシアも悪気は無いんだよ。君ならできるという、信頼の裏返しというか……」
フォローするハイドさんも苦しそうだ。
それでもやるのだから大人だな。
ちょうど良いので色々聞いてみる。
「我々の攻略している亡者の都だが、大ボスを発見した」
「へえ、なんてボスでした?」
「『フォールン・エンジェル』だ」
「……なるほど堕天使ですか。関係ありそうですね」
「ああ」
話を聞くと、まず『亡者の都』は中ボスが『ノスフェラトゥ』、大ボスが『フォールン・エンジェル』。
『腐海』は中ボスがスライム系の『ブラッド・ウーズ』、大ボスがキノコやカビの様な菌類の『シュリーカー』。
『地下水脈』は中ボスが巨大なシーラカンス『古代牙魚』、大ボスが大イカ『クラーケン』。
こんな感じだった。
「ありがとうございました。助かりましたよ」
「気にしなくていい。後は不確定情報だが……」
自分たちでは確認していないそうだが、『竜の谷』の中ボスに『エルダー・ドラゴン』が現れたらしい。
中ボスってレベルじゃなさそうなんだが……。
そして、敵が出ないので放置されていた『巨塔』のてっぺんにドラゴンらしき影が飛んで行ったそうだ。
『竜の谷』が解放されたからだろうか?
そして、もう1つ。
飛行系の従魔に乗っていたプレイヤー達が、空中に浮かぶ島を見たというのだ。
すぐに雲に隠れて見失ったそうだが。
身に覚えがあるな。
あれは見間違いじゃなかったのか。
「他のサーバーもようやく追い付いてきましたね」
「まあ、相当な差を付けたはずだからな」
「あ、そうだ。ハイドさん『花』って付くアイテム見たことないですか?」
「花? うーむ、そういえば亡者の都で『漆黒花』というアイテムを見つけた奴がいたな」
「ホントですか! そうか、亡者の都にもあったか……」
やはり情報収集は大事だな。
一気に目的のブツのありかが解り、如何に自分が情報弱者だったか解った気がする。
とはいえ、何を次のターゲットにするか迷うところだ。
簡単なとこから片付けて行くか。
ちょっと説明回。
竜槍杖の真の完成は近い。 ……はず。




