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vsキング・クラブ ×2

 発掘組の要望もあり、戦闘は発掘ポイントから離れた場所で行われた。

蟹は鈍いらしく50人近いパーティが近づいても気づいていない。

ならば、先手必勝。


「「「【バーンアウト】!」」」


「「「「「【ファイアブラスト】!」」」」」


ドドドドド


ギギィ


 背中に火炎魔法の爆撃を食らい蟹がようやく気付く。

甲羅は熱で赤みがかっているが、ダメージを受けた様子は無い。

ギアや重装プレイヤーが蟹の正面に立ち足止めする。

その間に魔法部隊は後ろに回る。


「「「【フリージングハザード】!」」」


「「「「「【アイスブラスト】!」」」」」


ジュウゥゥゥ


 赤熱化していた甲羅から水蒸気が上がり、青味がかった色に戻った。

5、6回も繰り返せば大分脆くなるはずなんだが。

その間も蟹は大暴れする。

バブルブレスを吐き、鋏を振り回し、薙ぎ払う。

ギアが右の鋏を抑え込んでいるが、さすがにパワー負けしている。


「戻れ、ハウル。コール バイト」


 大蟹の相手にヒュドラを使うとは。

なんとも因果なもんだ。

あ、ヘラクレス神話参照ね。

ヒュドラと大蟹は仲間だったんだけど、まとめてヘラクレスに退治されてしまったんだったかな。


「バイト! 左の鋏を抑えろ!」


 接近したバイトは、左の鋏に巻きつき開かないようにする。

さらに体重をかけることで鋏その物を動かせなくする。

さすがに巨大ゴーレムと巨大水蛇を抱えたままでは、まともに動けないようだ。


 魔法部隊は好機とばかりに魔法を打ち込み、前衛も足の関節を切りつけ動きを鈍らせる。

やがて、蟹の甲殻に限界が来る。

赤く変色したまま、色が戻らなくなったのだ。


「よし、いいぞ!」


「砕いちまえ!」


 大剣、ハンマー、ハルバードなどの重量系武器を持つプレイヤーが蟹の背後に回る。

蟹はとっさに反応できない。

強度の落ちた甲殻に、次々と攻撃が打ち込まれる。

甲殻の破片がボロボロと欠け落ち、ついに蟹は自慢の鎧を失った。


「よし、ここからだ!」


「行くぜ!」


 むき出しになった背中に攻撃が集中する。

蟹も必死に抵抗するが、形勢は決まったな。

しかし、蟹は全力でギアを振りほどき鋏をこっちに向けた。

何のつもりだ?


バシュッ


 んな!? いきなり蟹の鋏が胴体を離れ、ミサイルの様に発射された。

まさかのロケットパンチに度肝を抜かれる。

そういや蟹は自分で足を切り離せるんだっけ。

加速している思考でそんな事を考える。


 そんな思考と裏腹に体はすでに対応している。

避ければ後衛が大被害。

絵に描いた様な盾ポジションだ。

よって取るべき手段は迎撃。


 プルートの放った突風が鋏のスピードを僅かに落とす。

俺はポケットから1本のビンを取り出し、鋏に向かって投擲した。

ビンの中身は『バーサーカー・ドラッグ』の試作品。

その効果は10秒間、防御力を0にし、攻撃力を3倍にするというもの。

さすがオーブ屋、期待を裏切らない珍品だ。


 ビンが鋏に当たって割れる。

薬が鋏にかかる。

そして、鋏が間合いに入る。


「【バスタースイング】!」


パァン


 真横からの一撃を受け、防御力0となった鋏は砕け散った。

蟹も攻撃の失敗を悟ったようだ。

残る左の鋏をバイトごと切り落とし、プレイヤー達も振り落とす。

最後の力で大暴れか。

往生際が悪いな。

そろそろ止めを刺してやる。


 俺は竜槍杖のアメジストを起動させ、雷を纏わせる。

さあ、くらえ。


「【ブリューナク】!」


ドガァ


ボフン


 雷光を纏った竜槍杖は蟹の口に突き刺さり、その体内でエネルギーを解放した。

蟹の内側から紫電と煙が噴き出し、その巨体は崩れ落ちた。

ボロリと砕けるアメジスト。

そして沸き上がる大歓声。


 ふう、使いどころを間違えるとヤバいアイテムだったが……。

とりあえず、効果に問題無しでいいのかな。

特攻用アイテムとして売り出すんだろうか。


 初回討伐特典は『大蟹の肉』10個だった。

当然、白金アユに匹敵する高級品だ。

通常ドロップでは1個しか出ていなかったので、太っ腹な景品なんだろう。

また食堂が大騒ぎするな。


 入り口に戻った時には、すでに太陽は高くなっていた。

ああ、疲れた。

さっさと帰って休憩しよう。

そう考えていたら、やる気に満ちた集団が俺を取り囲んでいた。


「聞きましたよ。討伐成功ですってね」


「もういっちょ、よろしくお願いしますよ」


「頼りにしてますよ」


 そうだった~。

俺だけ連戦なんだった……。

嘘? もう時間? 休憩無し?

マジッすか?



 なんとか2匹目も倒した俺。

凄い沢山素材手に入ったけど、なんでだろう?

全然得した気がしない……。




第1サーバーが第3エリアに到達しました。

真っ赤な蟹は茹でた蟹。


生きてる蟹は茶色っぽいです。


キング・クラブは河蟹なのでやや青っぽい。

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