情報交換サイト①
ログアウトした俺はフレンドサイトを覗いてみた。
案の定まだ誰も戻っていない。
廃人どもめ。
フィオ 『初期種族【悪魔】でした。』
とりあえずはこれでいいかな。
驚くがいいわ。
次は情報交換サイトだな。
「どれどれ、おお、なかなか賑わってるな」
フィールドの情報、敵の情報、アイテムの情報、スキルの情報、種族の情報なんでもある。
「やっぱり初期種族の所為か」
サイトには始まりの町以外からスタートしたプレイヤーの情報も載っていた。
共通点は初期が上位種族であること。
ランダム種族を選んだプレイヤーは結構いたようだが、上位種族を引き当てたプレイヤーは4サーバー合わせても50人以下のようだ。
もちろん、まだ情報が上がっていないだけで増える可能性はある。
妖精種は妖精の集落、亜人種は亜人の集落からはじまり、俺同様、敵の強さに驚いたようだ。
何度もやられてデスぺナがきついそうだ。
……死んでなくてすいません。
デスぺナといえば通常のグリーンプレイヤーはランダムで1個アイテムを失い、金とスキル経験値が少し減るくらいだ。
しかし、罪を犯したオレンジプレイヤーや、PKなどをやらかしたレッドプレイヤーはデスぺナが跳ね上がるらしい。
さらにオレンジやレッドを攻撃しても罪にはならず、場合によっては賞金までかかるとか。
「もうオレンジやレッドがいるのかよ……」
呆れた俺だが実は彼らには彼らなりの理由があったのだ。
「ヴァンパイアに悪魔ね」
そう。彼らは特殊種族への転生条件を探していたのだ。
天使は翼を持つフリューゲルが関係を疑われているようだ。
リッチ希望者は魔法スキル、主に闇系を伸ばしているらしい。
そしてヴァンパイアと悪魔。
プレイヤーもモンスターも死ぬとポリゴンになって消える。
ただしプレイヤーは若干の猶予がある。
死なずに傷を負った場合、現実より控えめだが傷に応じた血がでる。
そう。ヴァンパイア希望者はプレイヤー、NPC問わず襲って血を飲みオレンジとなったのだ。
おえ……。
馬鹿じゃないかと思うが本人達はいたって真面目で本気だ。
タチが悪いな。
悪魔希望者はもっとわかりやすい。
悪魔=悪い奴、という単純明快な考えからあらゆる悪さをやったのだ。
そこにはPKも含まれていて彼らはレッドとなり、賞金を懸けられめでたく討伐された。
アホだ。
「やっぱりギルドはあるのか」
ある程度でかい町には仕事を斡旋してくれるギルドがあり、大体のプレイヤーはそこで金を稼いでいるらしい。
ギルドには冒険者ギルド以外に職人ギルドもあるので、その辺は公平だ。
あと目を引いたのはスキル融合に成功したという話だ。
どうやら【斧術】と【槍術】を鍛えていたところ【斧槍術】を覚えたらしい。
いわゆるハルバードだ。
これはおもしろい。
有益な情報を多数得たお礼に、知っているモンスターの情報を念のため匿名で投稿した。
「よし、じゃあ再開するか」
そして俺は再び第2の世界へ旅立った。