表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/228

神の毒

 翌日、俺は工房に向かっていた。

なんでも、異臭騒ぎが何度か起きたらしい。

何でだろうな。


「こんちわー」


「来たか……」


 う、殺気立っている。

やっぱ、怒ってんのかな。


「どこだ?」


「はい?」


「どこであのヘドロを手に入れた!」


「は? え?」


「あれっぽっちじゃ実験材料が足りん! どこで手に入れた? 吐け!」


「……」


 こいつら……。

ちょっといっちゃってる? とか感じることもあったが、まさかこれ程とは……。

誰が好き好んであんなもん実験に使うんだ?

職人ならでは感覚なんだろうか。


「あれは俺の作った失敗作だよ。どんな効果だったんだ?」


「実は飲んだ奴が死んだ」


「嘘っ!?」


「嘘だ」


「……」


 そんなに欲しいなら口にねじ込んでやろうか。

一気に100本くらい。


「さて、冗談はさておき。これを見てみろ」


 見せられたのは2本のナイフだった。

外見は普通のナイフだ。


「こいつは例のヘドロで強化した物だ。こっちは毒と睡眠を付加する。こっちは麻痺と混乱を付加する」


「すごいじゃないか。実験が必要ってことは問題でもあるのか?」


「ああ、攻撃力が一気に下がる。その辺の見極めをしたいんだ」


「む、そういう事情なら作るが、いくつ位要るんだ?」


「両方100本」


「正気か!?」


「正気だ。さあ、こっちに来い。材料は用意してやる」


解放されるまで実に3時間、俺はヘドロを作り続けた。


 ちなみに、何かに使えるかもしれないので、オーブ屋にもいくつか渡しておいた。

毒ガスオーブとか、付加用痺れ薬とかできたら役に立つだろうな。

うむ、缶詰にされてしまったが気分は悪くないな。

ゼクの気持ちが少しわかった気がする。



数日後、工房


「くくく、こいつも良い出来だぜ」


「3時間働いただけの物はくれるんだろうな」


「ああ、自信作だ」


 渡されたのは赤紫の刀身の短剣。

刃はヒヒイロカネ製でアダマンタイトのナックルガードが付いている。

対非実体系モンスター用にオリハルコンコーティングがされているらしい。


「実験は成功したのか?」


「ああ、弱体化を抑えつつ能力を付けるギリギリの分量とタイミングだ」


「付加能力は付いたわけね。威力はどうなんだ?」


「そいつの場合、弱体化を素材の質で相殺したからな。鉱石がランクアップした分ロトン・ダガーより威力は上がっているぞ」


 それなら色々持ち込んだかいがあるな。

期待して能力を見る


銘称 『魔剣 サマエル』


能力 猛毒付加(大) 麻痺付加(中) 睡眠付加(小) 混乱付加(小)

   神の悪意(一定確率で状態異常耐性無効 注:ボスは除く)


 これは、また……。

凄いというか、酷いというか。

麻痺が中なのはバシリスク素材のおかげか。


「また、エライ物作ったな」


「今さらだろう。固定処理もやってあるから、そいつもお前専用だ」


 サマエルか……。

確か「神の毒」「毒を持つ光輝なる者」を意味する名前を持つ死の天使、あるいは堕天使。

表すのは神の悪意。

アダムとイブをそそのかしたエデンの蛇とされることもある。

能天使を統べる大天使カマエルと同一視されることもあるんだったか。

確かに俺が使うのにふさわしい名前かもしれないな。


「さて、値段だが……」


「ぐっ、けっこうするな」


「予想外に手間取ったし、予定より良い物ができたからな」


「新技術のヒントと素材を持ちこんだだろう?」


「それで正規の3割引きだよ。他の連中なら倍の値段でも喜んで買うぜ」


「解った。払うよ……」


 これで再びスッカラカンだ。

まずい、スノウ・パールの代金用意しないと。

今は宝石合成の練習中の様だし、まだ完成には時間はかかるみたいだが。


 オーブ屋にも顔を見せてみる。

サマエルを見せるとずいぶんと感心してた。


「で、お前の方はどうなんだ?」


「うーん、かなり扱いが難しいですね」


「そうなのか? 工房の連中は結構一気にやってたが」


「腕では負けてないと思いますが、やっぱり数は力ですよ」


「まあ、何か出来たら教えてくれ。実地試験くらいはやってやるよ」


 さて、後は防具か。

邪竜素材もあとわずか。

しかし、皮や翼膜などは武器に使わなかったので残っている。

こいつを使えば良い物ができるだろう。

期待できそうだ。


……その前に金だったな。

魔改造武器第2段。


装備強化で最近金が足りない主人公。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ