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久々のデュエル

「「サモン!」」


 開始直後に前衛2人が召喚オーブを使用する。

現れたのは3本角のサイ『トリケライノ』と大カマキリ『マンティス・リッパ―』だ。

トリケライノは第2エリアの密林に出現するモンスターで、フレイム・ビーストと同格のかなり強力なモンスターだ。


「そっちのカマキリは見たこと無いな……」


「何だ知らないのか。樹海の後半に低確率で出るんだ」


「召喚獣にするのは苦労したぜ」


 なるほど、ボルボックス戦に参加しなかった俺は樹海後半にあまり行っていない。

わざわざ説明してくれるとは親切じゃないか。

しかし、このクラスのモンスターを召喚獣にできるって、こいつら普通に強いんじゃ……。

俺にこだわる必要あるのか? 


「行くぞ!」


 カマキリと前衛2人がネクロスに向かい、トリケライノが俺に突進してきた。

後衛の狙いも俺の様だ。

タフな前衛と魔法で俺を足止めし、アタッカー3人がかりで先にネクロスを片づける気か。


「コール ヴァルカン」


 俺とトリケライノの中間に火山獣ヴァルカンが現れた。

体格はヴァルカンの方が二周り程でかい。


ズズン


 トリケライノの突進をヴァルカンは真っ向から受け止める。

あいにくだがヴァルカン相手に接近戦はやってはいけないな。


ジュウゥ


ギャアアア


 溶岩の鎧と高温ガスに全身を焼かれたトリケライノが苦痛にのたうちまわる。

ヴァルカンは頭突きでトリケライノをふっ飛ばし、背中の噴火口を2つ向ける。

パワーならギアに次ぐヴァルカンの頭突きを受け、立ちあがれないトリケライノに発射された2発の火山弾が直撃した。

光の粒子になって消えるトリケライノ。


 その間、俺は後衛の魔法攻撃を回避し続けていた。

牽制用の初級魔法とはいえ無詠唱だ。

やっぱりこいつら強いじゃないか。

しかし、俺に気を取られ過ぎている。

仇敵らしいから仕方ないか。


 ヴァルカンが後衛に向き直り、口に高温ガスを収束する。

後衛は気付いたがもう遅い。

バーナーの様に放出された高温ガスブレスは防御魔法を紙のように破りHPを0にした。

溜めが長い分すさまじい威力だ。

その場にぶっ倒れる後衛。


 何か俺、やること無かったな。

ネクロスの方を見ると3対1を平然とこなしている。

大剣とハルバード、そしてメイスとポールアクス(ハルバードの鉤がハンマーに変わった様な武器)を振り回し、ボーンボウガンで牽制する。

うむ、強い。接近戦なら俺でも勝てないかも。


 と、仲間がやられたのに気づいたようだ。

刀使いと大剣使いの内、大剣使いがこっちに来た。

ヴァルカンが動こうとするが制止する。

俺も少しは戦わないとこいつらが納得しないだろう。


「うおおおお、【ヘビー・スラッシュ】!」


 うーん、がんばってスキルを鍛えた弊害が出ているようだ。

モンスターばかり相手にしていたせいで一定以上の実力の対人戦闘の経験が少ない様だ。

ギルドとかではよくデュエルで訓練しているが、こいつらはフリーみたいだしな。

対人戦では、単純で隙の大きい技は有効とは言えないのであまり使われないのだが……。


 そうでなくても回避、カウンターを得意とする俺に大剣や斧、ハンマーなどの大振りな武器で挑むのは不利なのだ。

俺は真っすぐ振り下ろされた刃を半身になってかわし、膝を切りつけ、頭を石突きで殴り、止めに雷系最上級魔法【サンダーエレクトロン】を打ち込んだ。

吹っ飛んだ大剣使いはしぶとく起き上ろうとしたが、両手両足にナイフを投げつけ、ついでに槍杖も投げた。


「【ジャべリン】」


「ぐあ……」


 さすがにHPが0になり、大剣使いも倒れた。

これで後は1人とカマキリだ。

と、嫌な予感がしてその場を離れる。

するとカマキリの振り下ろした鎌から風刃が発生した。


 どうやら俺とネクロスが一直線に並んだところを狙ったようだ。

しかし、ネクロスは俺の事など気にせずに跳躍してかわした。

まあ、この程度で俺がやられないことなど解りきっているのだ。

いざとなったらリーフが防壁を張るし。


 ネクロスは降下する勢いのままハルバードをカマキリに振り下ろす。

しかし、カマキリは鎌を交差させて防いだ。やるなあ。

だが、次の瞬間ネクロスはポールハンマーをハルバードに打ち付けた。

釘を打ったようにハルバードはめり込み、鎌ごとカマキリを切り裂いた。


 よろめいたカマキリの頭を大剣が刎ねた。グロ……。

ところがカマキリは頭部を失ったのに死なない。

驚く俺だがネクロスは容赦なくカマキリを解体した。怖ーなおい。

カマキリも光の粒子になって消える。


 さて残るは一人。


「降参する?」


「だ、誰が!」


「あ、そ」


ドスッ


「あ?」


________________________________


 刀使いは突然の衝撃に目を丸くする。

自分の胸を見ると太い鞭の様なものが後ろから貫いていた。

振り返ると何もなかった景色が揺らぎ、狂獣が姿を現した。

自分を貫いているのはそいつの尻尾だった。


 貫かれたままなのでHPがどんどん減っていく。

だが、あふれ出した記憶に体が動かない。

そうだ、あの時も前方の悪魔と骸骨に気を取られ、後ろから迫る獣に気付かなかったのだ。


「くそ、まだまだか……」


 そして彼のHPは0になり、勝負は決した。


上位ギルド並の実力のある3人。


もったいないですねー。


実は強いのに影の薄いヴァルカンです。

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