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鉱石発掘隊

 この日俺は第3の町でメンテナンスに出した装備を受け取りに行った。

ギルド長は新しく開発された通信アイテムで話し中だった。


「こんちわー」


「おう、そうだな……」


「? 忙しいなら出直すが……」


「ん? いや、問題無い。たった今、補充人員が来た」


「やっぱ、またにするわ」


「まて」


 そそくさと帰ろうとするがごつい手に捕まった。

面倒な予感しかしない。


「離せ! 何をさせる気だ!」


「なあに、悪い話じゃない。むしろ得な話だ」


 渋々話を聞くことにする。




「鉱石発掘レイドパーティ?」


「ああ。『渓谷』で大規模な発掘ポイントが見つかったんだ。職人35人に護衛15人の予定だったんだが、護衛の1人が急用でな」


「で、代わりの人員を探してたら俺が来たと」


「そういうことだ。か弱い俺達を聖魔様は見捨てないよな」


 聖魔様言うな。

ごっつい筋骨隆々のドワーフがか弱い言うな。

だが、報酬に新鉱石がもらえるなら確かに得だ。


「解った。行くのは明日か?」


「いや、これからだ。すでにメンバーは集まり始めてるはずだ」


 急だな。いや、俺がジャストタイミングすぎたのか。

そんなわけで渓谷行きが決定した。




カツーン  カツーン


 渓谷につるはしの音が響いている。

すでに周辺のモンスターは討伐したし探知にも引っかかっていないので安全だ。

暇な護衛達も発掘に参加している。


 新鉱石は単純なパワーアップ版と考えていい。

オリハルコンはミスリル、アダマンタイトはメテオライト、ヒヒイロカネはダマスカス鋼の上位版で、特徴もほぼ同じだ。


2時間後


 俺は93個の石と1個の鉄鉱石によって5本のつるはしと心を折られていた。

周囲の職人どもの可哀そうなものを見る目が痛かった。

ふてくされた俺は釣りをしている連中に竿を借りた。


 魚は食材や薬の材料、時に装備品の材料になる。

新しいエリアの魚はまだ出回っていないので釣りをしてるやつも結構多い。

そして俺の隣にはその成果である空き缶と長靴と石が積み上げられていた。


 もはや、周りの連中は声もかけられないようだ。

聞くと見るのとでは大違いなのだろう。

見るがいい、これが悪魔クオリティだ。


「……釣れるか?」


「ええ、まあ」


「どんなのが?」


「イワナやヤマメですね」


「ありきたりだな。新しいのか?」


「初登場ですね。渓流が無かったんで」


「そっか」


「はい」


「……」


「……」


 メチャメチャ気を使われてるし……。

そんな時、ふと川を見ると巨大な影が浮上してきた。

しかし誰も警戒しない。


ザパァ


 水面に姿を現したのは我が使い魔、ヒュドラのバイトだった。

適当にモンスターを狩らせていたのだがどうしたのだろう?

と、その時バイトの口に何かがくわえられているのに気がついた。


ポト ポト


ピチピチ ピチピチ


 それは金と銀の魚だった。

それを見て釣りをしていた者達がざわめく。


「それは『黄金イワナ』!」


「そっちは『白銀ヤマメ』だぞ……」


 どうやらレアな魚を捕ってきてくれたらしい。


ツンツン


「ん?」


 隣を見ると、そこには同じく使い魔のリンクスがいた。

口にはやはり魚が。

それを見た場がさらに湧く。


「そ、それは……」


「間違いない。『白金アユ』だ!」


 うん。ありがたいんだけど、なんか泣きたくなってきた。

素手でシャケを捕るクマって凄いんだね。

釣り竿持った人間なんて相手にならないよ。


キュ?


「!」


 リーフの声にぶっ飛んでいた思考が戻る。

魔力探知に反応がある。

だんだん近づいてくる。

しかもデカイ。


「大物だ! 全員集まれ! 隠れるぞ!」


 ゾロゾロとメンバーが集まる。

全員が集まったところでバイトが『ミスト・ステルス』で霧を発生させる。

風下だから音を立てなければ問題無いはずだ。


ズン ズン ズン


 足音が近づき、頭上を遠ざかって行った。

どうやら発掘していた斜面の上を通ったらしい。

『視覚共有』能力を持つ鳥型の従魔が放たれ、偵察が行われた。


「『キング・クラブ』か……」


「沢蟹ですね」


 通ったモンスターは巨大蟹『キング・クラブ』というらしい。

しかし、明らかに中ボスとは思えない感じだったという。

帰りながら意見交換を行った結果、キング・クラブは徘徊型のボスではないかと結論付けた。


 要するに奴は渓谷を気ままに動きまわっていて、何時何処で遭遇するか解らないのだ。

中ボスに関してはここにはいないのではないかという意見が多数だった。

もしいたら、最悪2体を相手にすることになる。



 思いがけずボスの情報を得た俺達は第3の町に帰還した。




主人公はだいぶ壁が無くなりましたね。

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