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大悪魔咆哮

 状況はかつてないほど悪い。

ギアは邪竜の正面に立ち、バイトは後足に巻きついて動きを封じる。

逃げるプレイヤーを邪魔する突風はベルクが相殺する。

だが、


ズガッ


 邪竜の爪がギアの体を深々と抉りHPを半分以上削り取る。


「そ、そんな……」


「ウソだろ……」


「いいから早く逃げろ!」


今まで鉄壁を誇ったギアが一撃で追い詰められた。

その事実に驚愕し、足を止めてしまうプレイヤー達に大声で怒鳴る。

とはいえ驚いたのは俺も同じだ。

まさかメテオライトの塊をあっさり引き裂くとは……。


ドゴン


グシャ


 タックルでギアが粉砕され、動きを封じていたバイトが踏みつぶされる。

ギア以外じゃ一撃か。


「コール フェイ ネクロス」


 振り下ろされる爪と牙をネクロスが必死にさばく。

フェイとベルクはプレイヤー達を引っ張り逃がしていく。

だが、そのプレイヤー達に邪竜が視線を向けた。

その眼に赤い光が宿る。


「しまった! 邪眼か!」


 やはり持っていたか。

しかし放たれた2条の光線の前にフェイとベルクが割り込んだ。

石化する2体。

しかしプレイヤー達は逃げ切った。


ゴォォ


 邪竜がブレスを放ち盾ごとネクロスを焼き尽くす。

炎はそのまま石化したフェイとベルクも呑み込んだ。


「くっ、コール リンクス ハウル ヴァルカン」


 俺も含めて4方を囲み、近付き過ぎずに時間を稼ぐ。

もう少しで全員が部屋から脱出できる。

まあ、俺以外だが。


 しかし、邪竜は時間稼ぎに付き合うつもりは無かった。


〈グオォォォォォ〉


 再びのドラゴン・ハウリングがこちらの動きを封じ、続いて尻尾が薙ぎ払われた。


ドガガガガ


「くあっ!」


〈キュウ〉


〈グルゥ〉


〈ギャン〉


〈ガァ〉


パキィ


 使い魔たちが消滅し、俺も吹っ飛ばされて転がった。

リーフがコートから弾き飛ばされ部屋の隅に転がっていく。

起き上ると懐から砕けたオーブの破片がパラパラと落ちた。

とっさにこのプロテクトオーブを起動させなければ即死だった。


 半分に軽減してもHPはレッドゾーンになってしまった。

まったくなんてパワーだよ。

だが目的は達した。

プレイヤー達に脱出は成功したのだ。


「コール プルート」


 今度は俺が逃げないと。

入り口に向かおうとするが、目の前で突風に巻きこまれたプルートが切り裂かれた。


逃げたいところだが逃がしてくれそうにないな。

なら少しでも向こうのパターンを覚えるか。

そう思い立ちあがる。

そこにアナウンスが入った。


使い魔の全滅を確認  戦闘データのフィードバック完了


単独戦闘行動を確認


HPの規定値以下を確認


クールタイムの完了を確認


『悪魔化』スキルの使用条件を満たしました。


 悪魔化?

あの使用不能とか出てたスキルか?

混乱する俺に今度は聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「汝我が眷属よ。死の運命に抗い、己が道を切り開くための力を望むか?」


「……望む」


「ならば汝に我が真なる祝福を授けよう……」


スキル『悪魔化』起動。


___________________________________


 邪竜は戸惑っていた。


 自分は強者である。

第3エリアの大ボスと比べても尚、強いと言い切れるほどの。


 いつもチョコチョコと手を出しては逃げていく小物達。

今日は少し数が多かったが、全力を出したとたんゴミの様に吹き飛び逃げ散った。

最後まで残った1匹は他の者たちより強かったが、それでも自分を倒すには足りない。


 呼び出されるモンスターを蹴散らし、奴にも一撃を加えた。

即死しなかったのは意外だったが、どうなるわけでもない。

止めを刺そうと近付いて行くと、突然奴の体から黒いオーラが噴出した。


 オーラは球状を取りながら回転し、激しいスパークが起こる。

オーラの球体が膨らむと共に内側から感じるプレッシャーが大きくなっていく。

そして球体がはじけ飛んだ時、邪竜の眼の前には異形が存在していた。


 その頭部と下半身は山羊。

額にも第3の眼があり3つの眼は深紅に輝いている。

その尾は蛇。

その背には2対4枚の蝙蝠の様な翼。

上半身はまるで鋼線を束ねた様な肉体で、手には鋭い鉤爪。


 ゆっくりと身を起こしたソレは悪魔。

全身に黒いオーラを纏ったその姿はグレータ―・デーモンを遥かに超える力を感じる。


〈グガアァァァァ〉


 強大なる大悪魔が邪竜を睨み据え咆哮を上げた。



次回 大悪魔vs邪竜 怪獣対決

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