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邪竜発見

 バシリスク撃破からしばらく経ち、ついに大ボスは発見された。

名前はズバリ『イビル・ドラゴン』だ。

アイスマンモスよりは小柄だが、そのサイズは十分にデカイ。

そして、ドラゴンという存在は見る者に恐怖心と一種の感動を与える。


 何度も調査が行われ、大体の攻撃パターンが解ってきた。

攻撃は主に爪と牙、尻尾そしてブレス。

ブレスはフレイムワイバーンの様な火球ではなく火炎放射機のようなタイプ。

翼はあるが飛行はせず、代わりに突風を起こしてこちらの動きを妨害する。


 心配された状態異常攻撃は今のところ確認されていない。

邪竜ということで邪眼の使用が予想され、『ヘンルーダの腕輪』の大量生産計画が予定されていたのだが若干肩すかしだった。


 作戦会議もつつがなく終わった。

地形などを考慮する必要もないので、ごくオーソドックスな作戦で挑むことになった。

しかし……


「『プロテクトオーブ』ですか?」


「ああ、1個欲しい」


「これ、まだコストが高いからあんまり売れてないんですよね」


 そう言いながらオーブ屋が取り出したのは、とある改良型の補助魔法オーブだ。

通常補助魔法は一定時間のSTアップでそれを込めたオーブも同様だ。

しかし、こいつは補助魔法のすでに込められたオーブを改造するという暴挙を行い成功させた。

それが、この『プロテクトオーブ』だ。


「まあ、これが作れたのもあなたから買った鍛冶セットの性能のおかげですけど」


 これは確かに高い。

まだ生産が軌道に乗っていないから仕方ないらしいが。

効果は一度だけダメージを半分にするというもの。

使うタイミングを間違えなければ非常に有効なアイテムだ。

量産に成功すれば新たな目玉商品になるだろう。


「……不安ですか?」


「ああ。あれじゃ、アイスマンモスより一回り強いくらいだ。エリアボスがあんな程度なはずがない」


「根拠は?」


「ガーゴイルはHPが半分以下になったとたん特殊能力を使い始めた」


「イビル・ドラゴンも同様だと?」


「まず間違いない。そして、その情報を得るには戦ってみるしかない」


 そんな事は他の皆も解っている。

実際会議でも不安要素として挙げられた。

前回のエリアボス戦ではどうにか立て直せた。

しかし、今回はどうだろうか。


 思えば、このサーバーは決定的な敗北をした事がない。

他のサーバーでは多かれ少なかれトップギルドがボロ負けしたということがあるのだ。

たった一度の大敗北が士気を急落させることになるのでは?

悪い考えがグルグルと浮かぶ。

しかし……


「そんなに心配する事無いですよ」


 オーブ屋が語る。


「皆さんそんなにやわじゃありませんよ。それに私達も全力でバックアップします」


 もっと皆を信じろと。


「ああ、そうだな」


「そうですよ」


こうして俺は、ネガティブな気分を振り払い邪竜戦に挑む。

信頼って大事ですよね。

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