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オーブ屋と悪魔

 私はケイル。

第2の町に店を構える職人プレイヤーです。

友人(と、私は思っているのですが)の某悪魔さんからはオーブ屋と呼ばれています。


 今日は職人プレイヤーが集まって知恵を出し合う恒例の会合が行われています。

『防毒の首飾り』や『アメンボの指輪』などの便利なアイテムを分析し、量産し、普及するのが目的で、今回のターゲットは『ヘンルーダの腕輪』です。


 フィオさんも持っているこのアクセサリは、バシリスク戦で必須ともいえるアイテムです。

しかし、出回っている数が多くないのでバシリスクを倒し、『邪竜の迷宮』後半を探索している人はまだ少ないのです。

原因は材料に大ボスであるゴルゴンの素材が必要だから。

ゴルゴン自身も石化の邪眼を使うため好んで討伐するプレイヤーもいなかったらしいですね。


 別の素材で代用できれば広く普及させる事が出来るのですが、中々難しい様ですね。

フィオさんが暇ならゴルゴンの討伐に参加してもらいたいところですが、彼は今最前線で調査中。

さらにはバシリスク討伐パーティに参加して邪眼を引きつける役をやっているとか。

相変わらず忙しい人です。


「こんにちは。ケイルさん」


「よーっす」


 会合が終わると友人達に声をかけられました。

色々話していると話題は彼のことに。


「あのでっかいオーブに魔法込めたのって例の悪魔さんなんでしょ」


「あの人って、職人に寛容だよなー」


 そうですね。寛容を通り越して甘いと言ってもいいかもしれません。

彼と親しくなったのも元はと言えば私が一方的に依頼を押し付け、彼が文句を言いながらも受け入れ、いつの間にかといった感じですし。

素材収集の依頼も頻繁に受けています。


「そうですね。以前彼が言っていたのですが、彼は職人プレイヤー達を尊敬しているそうです」


「尊敬?」


「サーバー最強が?」


 まあ、不思議に思うでしょうね。

私もそうでした。


「まず、悪魔という種族は戦闘に特化しておりそれ以外は全く駄目なのだそうです」


「へえ」


「そういや、情報サイトに載ってたっけ」


「種族の特徴とはいえ、自分にできない事を専門にしている人には敬意を払いたいそうです」


「ふーん」


「謙虚だな」


「まあ、ギブアンドテイク。持ちつ持たれつ、困った時はお互いさまって事なんでしょう」


「ははあ」


「そういや、職人狙いの犯罪プレイヤーを片っ端から狩ってたらしいもんな」


「そこまで買ってもらっている以上、こちらも答えないと不義理でしょう?」


「うんうん」


「そりゃそうだ」


 さて、それじゃあ店に戻って巨大オーブの小型化実験を続けましょうか。

小型オーブは役に立ったようですし、あれが実用化すればさらに助けになるでしょう。

頑張って下さいフィオ君。


オーブ屋の名前初登場。

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