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溶岩獣

 火山の後半で俺はあるモンスターを使い魔にしようとしていた。

名前は『フレイム・ビースト』。外見は恐竜のアンキロサウルスという鎧竜に似ていると言えば通じるだろうか。

現存の生物でいえば陸亀が近いかな?あえて言えばだが。


 こいつは単純な攻撃力と防御力でいえば火山後半の敵の中でトップだ。

体には高熱の血液が流れており、全身から高温のガスを噴出し身に纏う。

耐熱の装備が無いと近距離で戦闘したくない相手だ。


 強力なモンスターなのでなかなか使い魔にできない。

おまけにこいつは出現率が低い。

ギルドの依頼の素材はとっくに集め終わっている。

うう、今日中に使い魔にできるかな……。



「よし! ようやくだ!」


 結局俺は日が落ちる前に契約に成功した。

早いかどうかはわからんが。


「そうだな……。お前の名前は『ヴァルカン』だ」


ランクアップです。


ヴァルカンは『マグマ・ビースト』にランクアップしました。


種族 『マグマ・ビースト』

名前 『ヴァルカン』

属性 『火』『土』

ランク 3

使い魔契約完了


 ランクアップしたヴァルカンは赤熱した溶岩で全身を覆っていた。

見るからに強そうだが乗るのは無理だな。

耐熱といっても限度がある。


「それじゃ、戻るかな」


 さすがに1人で大ボスには勝てない。

さっさと帰ろう。

そう考えたのだが。


「ん? 戦闘中か?」


大ボスのフィールドの方向から戦闘音が聞こえてくる。


「たまには見学もいいかもな」


 自分で挑んだことは数あれど、おとなしく見ていた経験は無い。

あれ? 俺って戦闘狂?

そんなことはない。……はず。


 どうでもいいことを考えながら高台へ上る。

そこから見下ろすと火口で上位ギルドの大パーティがフレイムワイバーンと戦っていた。

なるほど、なかなか見事な連携だ。

この調子なら手助けはいらんな。


「お、あいつらは……」


 戦闘中のプレイヤーの中には雪原攻略に参加予定の者もいた。

火属性の素材を手に入れて攻略に備えようとしているのだろう。

しかし、


「あっ!」


 アタッカーがボスの顔面をハンマーで殴ったため、吐きだそうとしたブレスが明後日の方向へ飛んで行く。

しかし、その先には負傷して下がった前衛と回復を行う後衛がいた。


「まずい!」


 完全な偶然。

いきなりの流れ弾に誰も反応できない。

そして着弾したブレスはプレイヤー達をなぎ倒した。


「コール フェイ ベルク プルート」


 爆風が晴れると傷ついた後衛と瀕死になった負傷者が現れた。

すでに俺は戦場に向かって走り出している。


「フェイは回復を!ベルクとプルートはボスの足止めを!」


「あんたは……」


「フィオさん!」


 スプライトになったフェイは光属性の回復スキルを覚えている。

俺と一緒に負傷者に駆け寄り回復を行っていく。

ベルクは風を纏い、プルートは氷刃を振りかざし前衛を援護する。


やがて、メンバーは動揺から立ち直りボスは討伐された。


「悪いな。経験値をかすめ取って」


「いえ、助かりましたよ」


「悪魔さんも火属性の素材を?」


「いや、火属性の使い魔をそろえておこうと思ってね」


「ああ、例の作戦のためですか」


「ちょっと卑怯な気もしますけどね」


「原始人だってマンモスを水辺に追い込んで狩ったんだぜ。まして、俺達の相手は『アレ』だぞ」


「ああ、うん。そうだね。『アレ』だもんね」


 『アレ』とはもちろん雪原のボス『アイスマンモス』のことだ。

その体高は8mはある。ダンプカーどころの話ではない。

初めて見た時は俺も呆然としてしまった。

まるで4階建てのビルが突っ込んでくるようなものなのだ。


「準備しすぎるってことは無いからな……」


そして雪原攻略の日がやってくる。

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