赤き死神
「俺が一体抑える! 戻れフェイ。コール ネクロス」
「な! まだアンデッドが?!」
「違う!あいつは……」
いずれも強力な使い魔の中でもネクロスは最も戦闘力が高く、最も有名だ。
周りにアンデッドがいなくなれば、出し惜しみする必要は無い。
『アンデッド・ナイト』となったネクロスは4本の腕に大剣、戦斧、メイス、スパイクシールドを装備している。
赤黒い骨は濃紺のオーラに包まれ、身長も2m半はある。
呼び出されたネクロスは、ギアと共にアンデッド・ゴーレムの一体に襲いかかる。
俺もベルクに乗りながら戦闘に参加した。
「おかしい……」
戦況は順調。
すでに一体は倒され、もう一体も時間の問題だろう。
最後の一体もギアとネクロスがうまく抑えている。
だが、俺は違和感を覚えていた。
勝利条件はリーパーの全滅だったはず。
ゴーレムはアンデッド軍団が形を変えたものにすぎない。
つまり、ゴーレムを倒しても勝利ではない。
「どこかにまだリーパーがいるってことか?」
見渡す限りでは姿は見えない。
他の方角でも見つかっていればすぐに倒されるはず。
「どこかに隠れているのか?」
だとしたらどこにいる?
全方位から死角になる場所は……
「上か!」
飛行できる種族もMPやスタミナの消費が激しいため、それほど高度はとらなかった。
空は薄暗いため下から見上げてもよく見えない。
俺はベルクに乗って上昇する。
「あいつか!」
かなりの高度にいたそのリーパーは深紅のローブを纏っていた。
おそらく指揮官。
考えてみればモンスターたちは妙に統制が取れていた。
こいつが上空から指揮していたのだ。
「『煉獄の死神』か」
ゴーレムがすべて倒されると、こいつが町に攻撃を開始するのだろう。
だが、悠長に待っているつもりは無い。
一気に突っ込む。
ゴッ
赤いリーパーが巨大な火球を放つ。
回避しようとして気付く。
避けたら町に着弾する。
「くそっ!」
【アイスブラスト】を火球に打ち込み相殺する。
威力はこちらが勝っていたようで余波がリーパーを襲う。
向こうも遠距離戦の不利を悟ったようだ。
鎌に炎を纏わせ突っ込んできた。
「ふう。町を盾にされなくてよかった」
さすがにそこまで外道ではなかったようだ。
だが、念のため少しずつ町の上空から遠ざかる。
ガキン
ギン
槍と鎌が打ち合う。
「あちっ、面倒だな……」
属性付与系魔法は武器の攻撃部分に効果が出る。
鎌は刃が大きい分、炎の面積が広い。
こちらの武器が長柄で防具が耐熱でなかったらまずかったかもしれない。
だが、属性付与魔法はMPを消費し続ける上に使用中は他の魔法は使えない。
「わざわざそっちの土俵で戦うかよ」
俺は上を取り、魔法を連発して徐々に下に追い詰める。
奴の蛇よりベルクの方が機動力は上だ。
ランクが高いだけでボスではないのだろう。
これなら押し切れる。
「止めだ!【フリージングハザード】!」
残りのMPのほとんどを消費して放った氷属性最上級魔法が赤い死神のHPを0にした。
〈リーパーの全滅を確認〉
〈クエストクリアです〉
〈これよりクエストの戦績を発表します〉
〈しばらくお待ちください〉
「ふう。終わったかって、うわっ!」
目の前に倒したばかりの赤い死神がいて驚愕した。
「な、な、な、なんだ、なんだ。って、へ?」
赤い死神は襲ってくること無く蛇から降りると、俺の前にひざまづいた。
「まさか……」
〈契約に成功しました〉
〈名前を付けてください〉
「マジか……」
たしかに戦闘中に、こいつ頼もしそうだなーとか考えた。
そして、こいつはボスではないらしい。
しかし、まさか使い魔にできるとは。
俺はしばし呆然としてしまった。




