反撃
「だいぶ押し返してきたな」
増援が駆け付けると戦況は徐々に好転した。
近くに補給ポイントが設けられ、職人プレイヤー達が物資を補給し援護する。
前線にはカタパルトでアイテムが投げ込まれ、プレイヤーはそれを拾って使用する。
南門守備部隊も指示に従いだした。
というより、従わない者たちは皆やられてしまったのだ。
個人で何十という敵を相手にできる者はごく僅かだ。
残念ながら彼らは、その僅かではなかった。
「やっほー。援護に来たよー」
「ティーアさん? 指揮官が抜けて北門は大丈夫なんですか?」
「ギア君がドラゴン・ゾンビを片付けてくれたから大丈夫だよー」
そのギアは現在、南門前で大暴れしている。
メテオライト製の装甲は下位アンデッドでは傷一つつけられない。
「リーパーはどうですか?」
「町中には見かけなかったよー。だいぶ討伐されたみたい」
作戦ではトラップでアンデッド軍団の足を止め、リーパーを町に誘いこんで倒すことになっている。
アンデッドが何万残っていようとリーパーさえ全滅させれば勝ちなのだ。
「よし。俺は城壁の向こうに行ってみます。ベルク!」
「落ちないようにねー」
アンデッド軍団の上空にはまだリーパーが残っていた。
ハーピーやフリューゲル、フェアリーにニンフなどが飛行スキルで飛んで戦闘している。
俺も戦闘に参加しリーパーを撃破していく。
ほどなく周辺のリーパーは全滅した。
「アンデッドの動きが止まった?」
「終わったのかな……」
しかし異変が起こる。
北、西、東、南に1つずつ禍々しい赤い魔法陣が浮かぶ。
「なんだあれ?」
「あ、アンデッドが!」
突如アンデッドたちが崩れ去り、骨が腐肉が霊体が魔法陣に吸い込まれる。
そして現れたのは
「なんだあれ……」
「でかい……」
アンデッドを寄せ集めて作ったような巨人だった。
『アンデッド・ゴーレム』ってとこか。
身長は約8m、ギアよりでかい。
それが3体。
「……ティーアさん、北門に戻ってください」
「そうするねー」
「後、遊撃部隊にも連絡を」
「りょーかい」
おそらくアンデッド・ゴーレムは全方位に現れたはず。
遊撃部隊にも増援として向かってもらわないと。
巨人系の弱点は下半身だ。
そしてそこは、幸いにも防御力は低そうだ。
「やれやれ、とんでもないな」
あれだけの巨体に攻撃されたらダメージはすさまじいだろう。
威圧感が半端じゃない。
南門が開かれプレイヤー達が打って出る。
しかし、迫りくる巨体に皆、驚愕している。
「ビビるな! 基本は巨人やゴーレムと同じだ!」
「遠距離班が上半身を攻撃して気を引け!」
「その隙に近接部隊が下半身を崩すんだ!」
即座に具体的な指示が飛び、数百人が一丸となる。
後半戦が幕を開けた。




