作戦会議
「……と、まあ、そんなところです」
トップギルド、そして彼らと協調路線をとる上位ギルドのメンバーがそろっていた。
俺は彼らの前で初めてフードを外し、自分の種族が悪魔である事を明かした。
悪魔希望の犯罪プレイヤーにつきまとわれたくなくて隠していたこと。
そして、転生方法を発見したこと。
できるだけ包み隠さず話した。
反応は劇的だったが俺を責める者はいなかった。
むしろ、これで犯罪プレイヤーが減ると歓迎してもらえた。
「あなたも大変だったんですね」
ルーシアが共感してくれた。
「いきなりあのレベルのフィールドを攻略するとはな……」
「フィオくんがでたらめに強いってことは変わらないよねー」
ダムドとティーアさんが感心している。
「それで最初は君のことが知られてなかったんですね」
レイさんが納得している。
「でも、皆さんも薄々気づいてたんじゃないですか?」
第1エリアのうちは召喚獣でごまかせた。
しかし、ランクアップした使い魔たちと同じモンスターは今のところ見つかっていない。
新しく召喚獣契約したでは無理がある。
成長した、でも厳しい。
なぜなら通常の召喚獣に比べて使い魔たちは強すぎるからだ。
「そうですね。おかしいとは思ってましたよ」
「でも、無理に聞き出そうとまではねー」
なんというか、ありがたかった。
「では、本題に入りましょう」
そう。
俺の所為で脱線していたが本題は別にあるのだ。
特別クエスト『死神の襲撃』
先日その詳しい内容が公開された。
型式はいわゆる都市防衛戦。
始まりの町に死神モンスター『リーパー』率いるアンデッド軍団が襲ってくるのだ。
規定の時間守り切るか、リーパーをすべて倒すことでクエストクリアとなる。
今日はその対策会議を行うために皆は集まっているのだ。
「リーパーは翼の生えた蛇に乗っていて飛行能力があるそうです」
「始まりの町に一定以上の被害が出ると敗北なんだろ」
「アンデッドを防壁で食い止め、リーパーを各個撃破が基本だな」
「余裕があったらこっちから攻めてもいいんじゃないか?」
「ゴースト系は物理が効きにくいからな。ミスリルか聖銀コーティングが要るな」
会議は続き基本的な方針は決まった。
後は……
「この場にいないプレイヤーについてはどうする?」
「うーん、できればこっちに合わせてほしいけど……」
「いくつかの上位ギルドは無理だな。トップギルドをライバル……というより敵視している所もある」
「情報を独占してるって? 言いがかりじゃないか」
「まあ、最悪でも対立して足を引っ張りあうことは避けたいわね」
今までにない大規模クエストになる。
こちらも準備は万全にしなければ。
そして、その日はやってきた。




