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第1エリアにて

「お前ら、ホント懲りないな……」


「な!」


「てめえは!」


 俺は今、第1エリアのとある洞くつに来ていた。

10を超えるパーティが参加する大規模クエストだが、その内容は犯罪プレイヤーの討伐。

最近第1エリアに犯罪プレイヤーが増え、素材を集めている職人プレイヤーが困っていたのだ。


 どうも犯罪プレイヤー同士が、連携を取り始めているようなのだ。

そこで情報が伝わり逃げられないように、全ダンジョンに討伐部隊を送り込むことになった。

そして俺は、以前討伐したことのある連中に出くわしたわけだ。


「さて、覚悟はいいな? 職人達の平穏と、俺の財布のためにくたばってもらおう」


「ふざけんな!」


「前と同じだと思うなよ!」


「てめえの骸骨なんざもう怖くねえぞ!」


「ほう、ご指名だぞ。コール ネクロス」


「「「「ヒィッ!」」」」


 ダマスカスの大剣とミスリルのラウンドシールドを構えた深紅の骸骨の姿に悲鳴が上がる。


「び、びびるな! 陣形を組め!」


 4人の犯罪プレイヤーは前衛2、後衛2のフォーメーションを組んだ。

だが、


「ほんと、進歩しないなお前ら……」


「何? ぐあっ!」


「は?」


 後衛の二人は音も立てずに後ろに回っていたリンクスの奇襲を受け、あっさりHPが0になった。

そして気を取られた瞬間、ネクロスの剣が走り前衛の二人も倒された。


「やれやれ。ネクロス、リンクス、ご苦労さん」


 自分達が襲うことには慣れても、襲われることは考えもしない。

まったく成長していない連中にいっそ感心してしまう。


「これが中二病ってやつかね……」


 未だに悪さをする悪魔志望プレイヤーは、10代半ばの少年が多い。

悪魔というファンタジーな種族への憧れ。

悪い事をするという行為自体への解放感。

後先考えない無鉄砲さ。

周りの迷惑を考えない自分勝手さ。

そして、全く懲りない思慮の浅さ。


 偶然か、必然か犯罪プレイヤーの年代は固定されてきているのだ。

もちろんこれはゲームだし、GM側も特に規制はしていない。

むしろ、犯罪プレイヤーの行動が与える影響なども良いデータになるのだろう。

とはいえ、第2サーバーのようにゲームの進行に悪影響が出るのはマズイはずだ。


「揉め事の種は摘んでおいた方がいいよな……」


 悪魔の情報に関しては俺以上に詳しい者はいない。

しかし、現在の情報だけでは全く役に立たないことも事実だった。

結界を抜け、隠れ里に向かう方法が解らなければ意味は無いのだ。


 しかし、俺はその手掛かりの可能性を見つけていた。

第2エリアの『黒の遺跡』中ボスは『ミノタウロス』、大ボスは『ゴルゴン』。

どちらもすでに討伐されている。


 後半部分はすでに完全に調査されているし、ボスを倒した後ボス部屋も調べたが特に何もなかった。

だが前半部分はミノタウロスの部屋まで一本道だったので、脇道の調査は十分にされていない。

そして、ここは敵が強いのに採取ポイントが無いので職人プレイヤーも来ない。


 黒の遺跡の前半部分の調査。

無駄足になる可能性もあるがやってみるか。


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