新天地へ
オークションを制したのは『ティルナノグ』だった。
というかこんなに払っていいのか?
ティーアさん、そんなに欲しかったのか。
槍杖を始め装備はだいぶガタが来ていた。
ネクロスの装備も一緒に修繕に出した。
もう少ししたら職人プレイヤーともコネを持たないとだな。
人気の無いフィールドで使い魔たちの慣らしを行い、連携も訓練する。
こいつらなら第2エリアの敵にも負けないだろう。
すでに第2エリアには、3分の1ほどのプレイヤーが移動している。
現在はメインの拠点となるエリア中央の大きな町で足場を固めているようだ。
話によると第2エリアには砂漠、湖、雪原、火山、沼地、などあらゆるフィールドダンジョンが存在するらしい。
第1エリアは練習で、第2エリアからが本番ということなのだろう。
鉄鉱石を買おうと思ったが、第2エリアではより高級な鉱石がでるので値が下がるという話を聞いた。
ストーンゴーレムでも十分強いし後回しでいいか。
色々と準備をしていると強制ログアウトの時間が来た。
俺も廃人の仲間入りかもな。
「第2エリア解放されたのか」
「第1サーバーと第3サーバーは解放済みですね」
「攻略情報が載ったから、残りのサーバーもこの後攻略するみたいだぜ」
「第4サーバーはトップギルドが協力しないで競ってるみたいですけどね」
「あー、それで順番にやられてるんでしょ」
ログアウトした俺は友人達と情報交換していた。
連中のサーバーも第2エリアは解放され、すでに行ってみたらしい。
「第2サーバーは、悪魔希望の犯罪プレイヤーが多くて攻略が遅れてるみたいですね」
「悪魔の情報、載せない方が良かったかな?」
「いや、やる奴はやるし大差ないだろ」
「方法が解って、PKやらは意味無いって証明できればねえ」
「まあ、他のサーバーのことだし今はどうにもならんだろ」
「そりゃそうだな」
友人たちとの情報交換はすでに恒例だ。
次に情報交換サイトを見てみる。
「ウグッ!」
やたらと強い槍使いのサモナーの話題で持ちきりだ。
誇張はされていないが、これは……
「誰がチートだ。どいつもこいつも」
根拠の無いチート発言は開発陣に対する暴言となる。
この書き込みもじきに削除されるだろう。
「ま、外野のたわごとはどうでもいいか」
気が付けば俺はこのRWOを楽しんでいる。
初めはテストだ調査だと身構えていたが、今では純粋に。
「教授に感謝しないとだな……」
そして俺は「もう1つの世界」の新天地へ進むべくVRマシンを起動した。
第一章 END




