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ダンジョン攻略

 ダンジョンまでの移動は馬車だった。

俺は『ビーストロア』の所有する馬車に揺られていた。

 

「あの……」


「ん?」


 隣に座っていた犬獣人、いや上位の狼獣人の少年が話しかけてきた。


「それって、シャドウウルフの素材製ですよね」


「ああ、そうだけど」


「その、どうやって倒したんですか?」


 奴らにやられた経験があるのだろう。

周りのメンバーも興味を引かれたようだ。

ふむ、どうといわれてもな。


 実際のところ真正面から戦えば、シャドウウルフより武器持ちのスケルトンの方が強い。

しかし、森はシャドウウルフが立体移動でき、スピードを生かせるホームグラウンドだ。

そして、シャドウウルフは思考力を持つ。

ただ突っ込んでくるだけの敵とは違う。


 しかし、思考力は時として短所にもなる。

相手の思考を誘導し、隙を作る。

あるいは罠に追い込む。

要するに単純な力押しでは駄目ということだ。


「はあ……」


 ピンとこないようだ。

まあ、普通は初期の雑魚に戦術なんていらんからな。

そうこうしている内にダンジョンに到着した。



 通路は結構広い。3列で歩いても余裕がある。

暗くて敵が魔法生物なので、レーダー役は聴覚探知系従魔を連れている。

ちなみに俺は最後列の殿だ。

ボス戦では一番入り口側のストーンゴーレムと戦うことになっている。


 コートの中にはリーフが隠れている。

魔力探知によって背後から迫る敵を察知し、さっさと倒す。

『リビングアーマー』はコアが弱点で『ウッドゴーレム』は火に弱い。

『リビングソード』は速いが、動きが単純で脆い。


 レイドパーティは順調に進んで行った。


________________________________________


 私は『ビーストロア』に所属する兎獣人。

いわゆるレーダー役で、従魔はフクロウだ。

この子は優秀で、視覚探知と共に暗視を持つのでダンジョン内でも平気なのだ。


 私は自身と従魔の索敵能力を買われ、重要な殿の一人に選ばれている。

しかし、今私は自分が殿じゃなくてもいいんじゃないかと思い始めている。

理由は同じく殿を任せられたフードコートのプレイヤーだ。


 歩いていると、突然彼が立ち止まり後ろを向く。

すると私の探知に、すごいスピードで迫る敵の反応が引っ掛かる。


「危な……」


ギィン


 言いきる前にリビングソードは刀身をへし折られて消滅した。

さっきからこの調子。

私より先に敵に気付き、あっさり倒す。


 この人は一体何なのだろう。

馬車の中での会話は私も聞いていたが、正直さっぱり解らなかった。

解ったのはこの人にとって、シャドウウルフが脅威でも何でもないということだ。


_________________________________________


 やがてレイドパーティの前に大きな両開きの扉が現れた。


「ここがボスの部屋だ。行くぞ!」


 扉が開けられメンバーがなだれ込む。

そして戦いが始まった。




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