槍杖
結論。
思ったよりもあっけなかった。
『妖樹の森』は情報通り『マンドラゴラ』や『リビング・プラント』などの植物系モンスターと『キラービー』や『ポイズン・バタフライ』といった虫系モンスターの巣だった。
毒持ちもいるし、植物系はHPが高めだ。
上位種族とはいえ初期はきついかもしれない。
しかし、今の俺にはどうということはない。
他人がいないのでネクロスを呼び、雑草を刈るように進んだ。
草だけに。
最深部で現れたボスは、巨大な木『トレント』だった。
でかさは脅威だが動きが鈍い。
襲い来る枝をネクロスが切り捨て、ブレイズの炎が奴を松明に変えた。
結局、時間はかかったが一方的な勝負となった。
これならおそらくトップギルドも攻略自体は可能だろう。
ただ『ティルナノグ』と『ビーストロア』は苦手意識が植え付けられていて、『血の棺』と『パンテオン』は警戒しすぎている。
単独撃破報酬 『マジックリング』 効果 魔法威力上昇(小)
最速撃破報酬 『トレントの槍杖』
また面白い物が出た。
マジックリングはフェイにあげよう。
「『槍杖』か。初めて聞くな」
杖という武器は魔法の増幅器であり、装備しているだけで魔法系にボーナスが付く。
だが、杖自体の攻撃力は低く、『杖術』のスキルは存在せず技も無い。
しかし、この槍杖は槍技を使用でき、杖としての効果も持っている。
斧技と槍技を使えるハルバードや、片手剣技と大剣技を使えるバスタードソードの様なものか。
さすがレアアイテムというべきか、木製だが攻撃力は鉄に匹敵する。
そして木製なので軽い。
気を良くした俺は、次の目的地『月夜の森』に向かった。
森に入ったとたん夜になったのには少し驚いた。
それで『月夜の森』か。
暗視が無いと明かりが要るところだった。
出てくるモンスターはキノコのモンスター『ツキヨドクタケ』と獣系。
ここにも毒持ちが出た。
しかし、問題はここにもシャドウウルフが出る点だろう。
しかも群れで。
『ビーストロア』の連中はひどい目にあっただろうな。
しかし、最早奴らも俺とネクロスの敵ではない。
自分1人じゃさすがにきついだろうけど。
蹴散らして進む。
そして最奥には当然ボス。
そこにいたのは翼の生えたクラゲ『ルナジェリー』だ。
見た目は水生モンスターだが、実際は精霊系らしく物理が効きにくい。
俺はネクロスを戻してフェイを呼び出す。
伸ばされる触手をかわして魔法を打ち込む。
おそらく触手には毒がある。
だってクラゲだし。
弱点を探していると雷に反応があった。
動きが止まったのだ。
チャンスかと思ったが、纏う光が増幅していく。
「フェイっ!」
フェイと共に距離をとる。次の瞬間、奴の周囲に放電が放たれた。
雷は禁止だな。後はどれも変わらない。
ほどなくルナジェリーは地に伏せ消えた。
単独撃破報酬 『耐雷の指輪』 効果 雷耐性(小)
最速撃破報酬 『幸運の護符』 効果 5分間 運大幅に上昇(消費アイテム)
「うーん、指輪は自分で装備するとして護符は……」
閃いた。護符を使ってランダム卵を買おう。
スッカラカンになるがこれしかない。
足取りも軽く、俺は始まりの町に戻った。




