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リバース ワールド オンライン  作者: 白黒招き猫
サイドストーリー3  カーバンクル ツアー
226/228

深き者達との戦い

 暗く荒れ果てた通路。

海藻やヒトデ、貝などがこびり付き、幽霊船というより沈没船だ。

幽霊船とはまた違った気持ち悪さがあるね。


 バタン!


〈GEGYOOOOOO!〉


〈GYOEEEEEEEE!〉


「はうっ!?」


 突然、船室のドアが開き耳障りな方向が響き渡る。

その声を聴いて、ビクンと体を震わせたのはタクさんだった。

その目は虚ろで焦点が合っていない。


「おい!?」


「チッ! またかよ!」


「ヒデ、お前はネクロスと前だ! マサ! 早くそのバカをド突け!」


「解った!」


「了解。オラァ!」


 マスターの指示に、ネクロスと共に船室から出てくる敵に備えるヒデさん。

アンデッドが出ないので遠慮無くネクロスが活躍している。

一方のマサさんは、放心したように立っているタクさんを鍛冶用ハンマーでド突いた。

ちなみに殺傷目的じゃないからペナルティは無しだ。


 ゴン!


「アダっ! って、あれ?」


「目ぇ覚めたか、脳筋! 来るぞ!」


 純粋な戦闘職じゃないマサさんは中央に退避する。

マスターは正気に戻ったタクさんと共に、後方から襲い掛かる敵に備えた。

船室から現れ前後を挟むように襲い掛かる敵。

その名も『ディープ・スレイブ』。


 外見は絵に描かれていたソウル・イーターによく似ている。

その姿はまさにタコ人間だ。

爬虫類みたいな目に鳥の嘴みたいな口。

頭部から生えた触手。

はっきり言ってキモイ。


 でも外見以上に嫌なのは、こいつらの登場時の咆哮だ。

ドラゴンの咆哮ほど強力じゃないけど、一定確率で混乱状態にされてしまうので非常に厄介なんだ。

まあ、精神マインドのStがそれなりに高ければ大して怖くないんだけどね。


 ところが約1名、精神の値を鍛えずに状態異常対策を怠ってる人がいたんだ。

そう、さっきハンマーでド突かれたタクさんだ。

ただでさえ鬼人は初期の精神が低いから精神系状態異常に弱いってのにね……。

まあ、代わりに体力は高いから毒とか麻痺には強いんだけど。


〈GEGYO!? GEGYOOOOOO!〉


〈GYOAAAAAA……〉


 そうこうしているうちに戦闘は終了した。

触手を振り回していた前方の1体は、ネクロスに触手を全て切り落とされ、さらにヒデさんの太刀に真っ二つにされた。

後方の1体はスミで牽制してきたけど、マスターの槍で壁に縫い着けられた所をタクさんの戦斧で首を刎ねられた。

戦闘自体は圧勝なんだよね。

ただ


「お前、いい加減にしろよ?」


「しょうがないじゃん! つーか殴ることないじゃん!」


「薬とMPがもったいないわ!」


 タクさんの訴えはマスターとマサさんに却下される。


「アクセサリーとか無かったのかよ」


「状態異常防御系は高いんだよ……」


 まあ、確かに現在混乱攻撃を使うモンスターは少ないからね。

毒と違って、あんまり気にしていなかったのも仕方が無いのかも。

僕らもこれだけ混乱攻めをされた事なんて無いから、正直驚いてるわけだし。


「うう、ネクロスが羨ましい」


「リッチでも目指すか?」


「うーん、性に合わないな。それはやめとく」


「じゃ、死ぬか?」


「酷くない!?」


 こういう敵にはネクロスが強い。

まあ、元から強いんだけど。

βテストの時とは違う進化を遂げたネクロスは、二刀流の骸骨武者だ。

盾が無い分防御は落ちたけど二刀流の攻撃力は凄まじい。

総合的には以前に勝るとも劣らない。


 その上、ネクロスはアンデッドだ。

状態異常は基本的に効かない。

物理に弱く、咆哮やスミでの状態異常攻撃を得意とするディープ・スレイブとは相性抜群なんだ。

流石だねぇ。

幽霊船だと紛らわしいから出せなかったけど、ホラーじゃなくグロなら問題無しだ。


「部屋の中はどうだ?」


「こっちは空」


「こっちは……お、宝箱だ!」


 ここの船室は開かない部屋が多い。

ところが、プレイヤーが通ると中からモンスターが奇襲を仕掛けてくるんだ。

βテストの地下墓地、あそこの棺桶みたいなものかな?


 でも、悪い事ばかりじゃない。

敵の潜んでいた部屋には結構宝が用意されてるんだ。

雰囲気といい本当に幽霊船じゃなくて沈没船だよね。


「よし、じゃあ早速……」


「マサ、タク、あの水溜まり紫色って怪しくないか?」


「毒か?」


「酸かもなって、おい、ヒデ!」


 宝箱を囲む怪しい水溜まりを警戒するマスター達。

ところが発見者のヒデさんは足元が見えていない。

そして


 ジュウ……


「うわっち!?」


「ヒデ!?」


「酸か! 早く出ろ!」


 慌てて引き返すヒデさん。

酸に突っ込んだ右足の脚甲がボロボロに腐食している。

酸のトラップはダメージだけじゃなく装備を劣化させる嫌らしい罠だからね。


「どうだ? マサ」


「一瞬だったからな。これくらいなら……」


「くそ、やっちまった……」


「う~ん、早くミスリルで揃えたいな」


 マサさんがヒデさんの防具を外して応急修理する。

クリームやパテみたいなのを塗り込んで薬品をかけ、やすりで磨いてるのかな。

流石に手馴れてるね。


 ちなみに中級以上の素材は腐食に強い物が多いんだ。

ダマスカスは積層構造の鋼だけど普通の鋼より腐食に強い。

メテオライトも同様で、ミスリルにいたっては腐食しないんだ。

ミスリルは精霊銀とも呼ばれてるからね。

酸化に強いんだって。


 ただねぇ……。

ミスリルは新大陸でようやく見つかったばかりなんだ。

需要に供給が全く追い付いていないから凄く高い。

マスター達も武器をコーティングするのがせいぜいで、防具は全部鋼鉄製だ。


 コーティングにしたって、アンデッドとの戦闘を考慮して結構無理してやったわけだし。

そう考えると、アンデッドがあんまり出ないのはちょっと悲しいね。

主にお財布が。


「どうやって取る?」


「こうすりゃいい」


 マスターが氷魔法で酸を凍らせて宝箱に近づく。

おっとっと、落ちたらエライ事になりそうだ。

気を付けないと。

マスターにしっかりとしがみ付く。


 ガチャリ  ギィ


「これは短剣だな」


〈キュウ……〉


 宝箱に入っていたのは短剣だった。

ただ、見た目は実戦向けじゃない。

どっちかっていうと儀式に使う祭具としての短剣だ。

こういう儀礼用に短剣はなんていうんだっけ?

アセイミーナイフだったかな?


「何が入ってた?」


「これ」


「う……」


「なんだよ、この見た目」


 そうなんだよね。

儀礼用にしたってちょっと禍々し過ぎるデザインなんだよね。

いかにも『邪神様に生贄を捧げます! グサッ!』的な。


「さあ、呪われてはいないと思うけど。ただ、使うのは勇気がいるな」


「まあ、短剣使うのはフィオだしな」


「俺ら関係無いな」


「お前ら……」


「ちょい見せて」


 マサさんが短剣を手に取り鑑定する。

戦闘では若干遅れを取るけど、やっぱりこういう人員って必須だよね。


「へぇ、結構凄い短剣だぞ」


「そうなのか?」


「おう、混乱の状態異常効果があるぜ」


「おお、ラッキー!」


 凄いな、魔剣か。

毒ナイフとかは薬を塗れば作れるけど混乱って珍しいし。

問題は成功率かな?


「使った奴がな」


「ブッ!」


「ダメじゃん!」


 残念、ぬか喜びでした。

マサさんも思わせぶりな言い方しないで欲しいよ。


「まあ、このままならだけどな」


「ああ、素材にするのか」


 そう言えば聞いたことがあるな。

一見使えないアイテムも、鍛冶や錬金の素材にすると有用なことがあるって。

まだハズレとは限らないのか。


「まあ、材質が青銅だしな。どうせこのままじゃ使えないって」


「この邪悪なデザインを振るうのもな」


「どうせ悪魔じゃん」


「そういう問題じゃない!」


 まあ、ともあれ前半よりもずっとお宝に期待は持てるね。

ドンドン行こう!










〈GYEGEEEEEEE!!〉


「はう!?」


「またかよ! マサ!」


「おう!」


 ゴン!!


ネクロス登場。


騎士が武者になっても相変わらずです。

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