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リバース ワールド オンライン  作者: 白黒招き猫
サイドストーリー2  ピクシー レポート
220/228

悪魔の釣り堀

再び割り込み投稿。


活動報告に挙げておきましたが気付いてもらえたかな?

 チャポン……


 沼から引き揚げられた糸の先。

針にかかっていたのはボロボロの長靴。

それを見たマスターの眼がさらに憂鬱に曇っちゃった……。


「……解せぬ」


 マスターの口から思わずうめき声が漏れちゃった。

なんか昔の武将みたいな口調になってるし。

いい加減、キャラが崩壊しかけてるのかな……。

ショック過ぎて。


 チラリと横に目をやると、そこに在るのは山積みの長靴。

私だって理解不能だよ?


何でこんな人気の無い沼地に長靴があるのか。


何で明らかに沼地を埋め尽くせるほど出てくるのか。


何でどれもボロボロなのか。


何で現時点では存在しないゴム製なのか。


何で全部右足用なのか。


 あ、そもそも何で長靴しか釣れないのかがあったね。

私までそれが当然みたいに擦り込まれちゃってたよ。

生き物すら釣れないなんて恐るべし、マスター。


 あ~あ、さすがに飽きてきちゃったな~。

いや、別に私が飽きっぽいわけじゃないよ? (注:大嘘)

だってもう2時間くらいこんな感じなんだもん。

釣りって釣れると面白いけど、釣れないとつまらないもん。

誰だって飽きるってば。


 ほらほら、見てよ。

新入りのバイトなんか、暇すぎてスライムと戯れてるじゃん。

物理に強いスライムだけど、HP低いからバイトの毒に弱いのよね~。

何気に無双状態になってるわ。 


え? ボケッと見てるだけの私よりマシ?

ノー、ノー、私はサボってるんじゃないの。

釣りに集中するマスターの護衛をしてるのよ~。

ほら、この辺ウィスプとか一杯いるし。


 ん? ウィスプはノンアクティブモンスターのはず?

いやいや、念には念を「……最後の糸が切れた」あらら?

ボソッとした暗い声、マスターのテンション低っ!


「もういい、戻るぞ……」


 どんよりした目で長靴の山を収納するマスター。

一応持ってくのね、ソレ。

売れるのかな?


 ともあれ、釣りタイムは終了ね。

マスターには悪いけどホッとしちゃった~。

だって何か釣れたら、ねえ。

それマスターが調理して、最悪私も食べるんでしょ?

それだけはマジ勘弁だもん。


「おーい、バイト! 戻るぞ!」


〈シュー〉


 マスターの呼びかけに答えて戻ってくるバイト。

え? ちょっと待って、アンタ何咥えてきてんの!?

そ、それは……。


「バイト、お前カエル捕まえたのか……」


〈シュシュ!〉


 嫌アア嗚呼ああァぁ!!

し、新入り! アンタ自分が何したか理解してんの!?

自分の胃袋を悪魔に差し出す覚悟あるの!?


 ハッ! 何、沼の中覗き込んでるのよ!

これ以上余計な事


 ジャポン!


既にしてるー!?

ヒィィィ! 今度はタニシ!? でっかいタニシじゃん!

何なのよアンタ! 何で魚じゃないのよ! 何でゲテモノばっかりなのよ!

蛇だから? 蛇だからなの? 自分の好みで獲ってるの!?


 うう、バイトの眼には一点の曇りもないわ。

コイツ純粋にマスターのためにやってるのね……。

でも、だからって……うん?

何か肝心なこと忘れてる気が……。


……

…………


 そうよ! こいつ知らないんじゃない!

マスターが以前料理した時、バイトはまだいなかった。

マスターの作る料理の凄まじさを知らないんだわ!

な、なんて事……。


「よーし、もう十分だろ。戻って料理の練習だ」


〈シュー!〉


〈……〉


 知らないって怖いわ。

恨むわよバイト。

まあ、アンタも直に後悔する事になるけどね……。


-----------------------------


 遂に来てしまいました、この時が……。

あ~、もう! 正直夢も希望も感じない!

覚えてなさいよクソ蛇! その無表情な爬虫類面が絶望に歪む瞬間を見てやるわ!

まあ、隣で私も似た様な顔してるんだろうけど……。


「さて、前回は煮込みで失敗したわけだ。そこで今回はよりシンプルに焼きで行こうと思う」


 え~、あの食材(カエル&タニシ)を焼くだけ~?

マスターはカエルとタニシを串に刺し、焚火の周りに刺した。

多分直接火に突っ込むと、一瞬で黒焦げだろうとか予想してるんだろうな~。

これならもしかすると……。


「う~む、焼け具合がさっぱり分からん」


 あ、これヤバイ。

ダメなフラグが立ったわ。


「取り敢えず試食してみるか」


 マスターはカエルを1本とタニシを2本、火から遠ざけた。

そう、計3本です。

当然のように私も数に入っちゃってるし……。

もう、いいわよ。

食べればいいんでしょ、食べれば。

前回の汚物よりはマシよ。


「では、実食」


 パク×3


「ぐっ」


〈!〉


〈!?〉


 まず、感じたのはグニャリとした気色悪い半生の食感。

次に感じるのは吐き気を催すような生臭さとドブの風味。

結論。無理。



 しばらくお待ちください



「オゲッ、ペッ、ペッ」


〈~♪〉


 マスターも私と同じくタニシを吐き出してる。

平然と生焼けのカエルを食しているのはバイトだ。

そうか、ゲテモノだろうと生だろうとコイツには関係ないんだった……。

悪食の蛇を羨ましく思う日が来るなんて、何て日なのよ……。


「くそう、まだ早かったか」


 え? マスター、まだやるの?

何て無駄なバイタリティー。

マスターの根気をこんなに恨めしく感じるなんて……。

まあ、焚火の周りに串が残ってるしね。

覚悟を決めるしかないかな……。


「よし、今度は良さそうだな」


 マスターは3つのタニシを火から遠ざけた。

そして、1つをバイトに食わせる。

バイトは平然と食べている。

思っちゃいけないんだろうけど、正直羨ましい。


「ちゃんと焼けてるか?」


〈シャシャッ!〉


 勢い良く頷くバイト。

でも、正直あてにならない。

信じられるのは自分の直感のみ。

そして私の直感は危険信号を発している。


「じゃ、いただきます」


 パク×2


 先程とは違うプリプリした弾力のある食感。

コリコリとした歯触りも残っており、さっきのグニャッとした気色悪さは無い。

そして噛むほどに染み出すドブの香り。

結論、無理。



 しばらくお待ちください



「……」


〈……〉


〈?〉


 全てをリバースした私とマスターは無言。

バイトだけが不思議そうに見ている。

要するに、タニシって食材は焼くという調理じゃ食べられないみたいね~。

泥抜きとか色々手間をかければいいんだろうけど、マスターにそれは酷な注文だし。

煮込めば泥臭さは抜けるんだろうけど、マスターが煮込むと……。


「今回はこの辺にしておこう。バイト、これはお前が食ってくれ」


「シュ~♪」


 残った焼きタニシを全てバイトに食わせるマスター。

バイトは嬉々として食べてるけど、普通なら拷問か罰ゲームよ、それ。

まあ、いいけど。

完全に残飯処理か廃物処理だけど、本人(蛇だけど)は喜んでるしね。


 こうして第1次悪魔の飯テロは幕を下ろしたの。

周囲に被害を与えるモノホンのテロだったわ。

本来の飯テロって、もっとポジティブな意味だった気がするんだけど……。

ホント、これで最後になると良いんだけどな~。





 この時、私は知らなかった。

第2次飯テロどころか製薬テロ、錬金テロといった無数の伝説が待ち受けている事に。


有〇のダレ〇クって凄いですよね。


田〇、キモくても君は勇者だ。

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