フードのサモナー 後
「なんだこいつは!」
「骸骨?!」
「こんな奴知らねえぞ!」
犯罪プレイヤー達が動揺する。
ネクロスはその隙を逃さない。
スルリと大剣持ちのレッドプレイヤーに近づく、と湾刀で腹を切り裂く。
「がっ!?」
止めにうずくまった大剣使いの頭を容赦無くかち割る。
「てめえ!」
我に返ったもう一人がバトルアックスを横薙ぎにする。
しかしネクロスは逆に相手に踏み込み、振り切られる前に斧の柄を盾で止めた。
ガキィ
金属音が響き、勢いを殺された反動で斧使いの動きが止まる。
次の瞬間ガラ空きの首が切り裂かれた。
クリティカルヒット。
即死だ。
俺はあっけにとられる前方の3人に声をかける。
「ぼさっとしてていいのかい?」
ハッとした様に3人がフォーメーションを組む。
相手を襲うことは慣れていても、自分が襲われる側に立つことを考えたことが無いのだろう。
前衛は盾とメイス、中衛は槍、後衛は杖か。
まあ、教科書通りだな。
しかし、縦一直線は良くないな。
「くっ、くらえ! 炎弾よ敵を撃て【ファイヤーバレ「遅いな」は?」
バリバリバリ
「ぐあっ!」
「ぎゃあ!」
3人は無詠唱で放った中級雷魔法【ライトニングボルト】の一撃でまとめて吹っ飛んだ。
HPは全員0、勝負ありだな。
ペナルティを受けてこい。
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「怪我は無かったかな」
「は、はい。ゴブリンにやられた傷以外は」
「じゃあ治そうか【アースヒール】」
犯罪プレイヤーをあっさり倒したこの人は、骸骨に見張りをさせ自分は治療を行っていた。
光は初級魔法で回復があるが水と土は中級からだ。
このフードの人物は雷と土の中級魔法を使用できるサモナーということか。
「じゃあ、俺はキングを討伐してくるよ。君たちはどうする?」
これ以上続ける気力は無いので引き返すことにした。
そういうと彼は
「縁があったらまた会おう」
そう言って彼は1人でいや、恐るべき戦士を引き連れて巣の奥に入って行った。
彼らにとってボスのゴブリンキングなど雑魚同然だろう。
「今の人知ってる?」
「見たこと無いし、話も聞いたこと無い」
「使えるモンスターがいないと、サモナーなんて地雷職だ。逆に言えば、あんな怪物を従えてるサモナーなんていたら大騒ぎだぜ」
「じゃあ、私らが初遭遇?」
とにかく町に戻って報告だ。情報も集めないと。
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彼らが帰還して数日、町は『圧倒的な強さのスケルトンを使役し、自身も多属性の中級魔法を無詠唱で使用できる黒いフードコートのサモナー』が現れたという噂でもちきりとなった。
自分のパーティやギルドに誘おうとプレイヤー達は動いたが、そのプレイヤーを特定することはできなかったという。
それもそのはず、黒コートさえ脱いでしまえば唯の槍使いを装うことなど簡単だった。
今は青いコートを着ており、ネクロスも呼ぶのを控えている。
「自重せんとだな……。疲れた」




