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狩る者、狩られる者

現在番外編を移動中です。


元々投稿されていた物は移動が終わってから削除します。


サイドストーリーのあとがき参照。

「やっぱりいるんだな。もの好きな奴が……」


「そうだなぁ」


「おっしゃあ! ヒーローになってやるぜ」


「腕が鳴りますなぁ」


 その日、冒険者ギルドに行くと手配書が貼られていた。

PKプレイヤーが現れたのだ。

時期的に早いのか遅いのかは判断しかねるが。


 俺の呟きにマサが呆れるように答え、熱血漢のタクは気勢を上げ、ノリの良いヒデがそれを煽る。

βテスト経験者の共通認識は「犯罪プレイは割に合わない」だ。

とにかくリスクが大きすぎるのだ。


 製品版は、βテストよりもさらにペナルティが大きくなった。

元々自分より弱いプレイヤーをPKしても、経験値はたいしてもらえない。

同じ位の実力か格上のプレイヤーとデュエルした方が、スキルの上昇は速いだろう。

奪えるアイテムもせいぜい数個で、しかも消耗品が優先される。


 PK専用のスキルや装備があるわけでもない。

オレンジ以上の状態で死ねばスキルダウンは激しく、今回の様に懸賞金がかかれば追われる側に早変わりだ。

オレンジならともかく、レッドまで行けば町を歩く事もできないだろう。


 そんなわけで俺は、やらかすのはPKに余程のこだわりを持っているか、逆にリスクを何も考えていないアホだろうと考えている。

βテストの初期も悪魔云々を抜きにしても、「PKカッコイ~」って連中が結構いたし。

まあ、片っ端から狩ってやったが。

懸賞金が良い収入になったんだよな。


「やる?」


「もち」


「おう!」


「臨時収入だな」


 という感じで、あっさりPK狩りが決まった。


----------------------------


 手配書の連中がよく現れるのは、そこそこ敵の強い洞窟だ。

だが、そこに行って待つのは効率が悪い。

やはり攻めないと。


「目星は付いてるのか? フィオ」


「何か、やけに自信あるみたいだしな」


 ふふふ、PKバスターとして有名だった俺を甘く見てもらっては困る。

三桁のPKを(問答無用で)駆除し、何十人ものPKを(主に恐怖で)更生させたのだ。

奴らの考えなど予想がつく。


「ここだな」


 地図を見て、奴らのアジトを予測する。

この洞窟の近くの森だ。

敵は弱く、採取ポイントも少ないのであまり人気の無いスポットだ。

隠れるにはうってつけだろう。

さらに


〈キュイー〉


 お待たせしました~。

皆のアイドル、リーフ登場!

ランク1の「フローレス・カーバンクル」に弱体化しているが、だからこそすぐに契約可能になったのだ。

スキルは『魔力探知』のみだが、はっきり言って十分だ。

さあ、レッツ ハンティング。


----------------------------


「お、テントだ」


「ふむ、探知に反応は無しのようだな」


〈キュ、キュ〉


「外出中か」


 発見したのはキャンプの跡。

結構、手の込んだ作りだ。

「PKギルド ヘルハウンド」と書かれた手製の看板まであった。

アホだな。

俺の予想では森の中に何カ所か同じようなモノを作り、定期的に移動しているはずだ。


「次、探すか」


「ここはどうする?」


「燃やしちまおう」


「酷っ!」


 それなりに金と手間をかけたであろうキャンプが、メラメラと燃やされていく。

気付いたPK達はショックを受けるだろうか?

それとも怒り狂うだろうか?


 彼らの更生につながる事を願う。

被害者は安心でき、俺達は金が貰え、PK達は更生する。

うむ、素晴らしい。

誰も損しないじゃないか。


 こうして森の中の5ヶ所のキャンプは全て灰となった。

残る最後の6カ所目には、私物が多かった。

現在使用しているのはここらしい。

それにしても、こうも無防備に放置しているとは……。


「不用心だな……」


「いかにも素人だな」


 自分は襲う側と信じ込んでいて、襲われる事を考えない。

悪事に憧れる子供のプレイヤーに多い傾向だ。

お兄さんは、そういう子たちを散々教育してやったからな。

……すいません嘘です、普通に叩き潰してただけです。


「よし、ここは罠だな」


 βテスト最終戦で、罠作成は匠の域だ。

ホント、戦闘に関しては優秀な種族だよ。

テントの周りに落とし穴や、紐を仕掛けていく。


「落とし穴の中に槍はいるか?」


「せっかくだし、付けとけばいいだろ」


「なんだこれ?」


「えーと、スパイクボールっていったかな?」


 捕縛の為の罠など一つもない。

あるのは全て、殺る気満々の致死トラップだ。

皆、いい笑顔だな。

実に楽しそうだ。


〈キュー!〉


 おっと、お帰りの様だ。

早く『シンクロ』買わないと。

今はまだ、リーフに教えてもらう必要があるから不便だ。


 木の上や、茂みに隠れる俺達。

そこに5人のプレイヤーがやってきた。

予想通り若い、というか幼い顔つきだ。

くくく、警戒の「け」の字も見えんな。

覚悟!


 そして、自分達を狼と思い込んでいる羊達に、羊の皮を被った狼が襲いかかった。

そして、どちらがPKか判らない光景が繰り広げられた。

天誅ってことにしておこう。


羊(PK)サイドもあった方が良いかな?


戦力差は10:1くらいですかね。

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