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リバース ワールド オンライン  作者: 白黒招き猫
サイドストーリー  ボーンナイト
177/228

第2エリア鉱石事情

 すでに雑魚のゴーレムは戦闘不能。

倒すべきはボスのガーゴイルのみ。

広範囲攻撃でプレイヤーを蹴散らしたボスに、矢のように突っ込む主人。


 パワーもスピードも相手が上。

しかし、それを振るわせない技量が私達にはある。

攻撃の起点を潰し、隙をフォローしあいながらボスを食い止める。

残念ながら他のプレイヤーでは主人の相方は務まらないだろう。


 と、魔法を撃ち込まれたガーゴイルが範囲攻撃の準備に入った。

主人は即座に魔法と敵の技の関係に気付く。

以前に同じように『特定の攻撃に対して強力な攻撃を繰り出す』ボスと戦った経験ゆえだろう。

もちろんあのクラゲとガーゴイルでは強さは段違いだが。


 ガーゴイルにとっての不運は、こちらが防御に徹している事だろう。

攻めてはいるが、あくまでそれは攻性の防御。

動きを封じる事に主点を置き、決して無理に攻めない。

それでも長期戦になれば、集中力を削られいずれは押し切られるだろう。

しかし、こちらの目的は足止め。

すでにレイドチームは万全の態勢を整えつつあった。


「帰還しろネクロス!」


 飛び上がったボスを魔法で迎撃。

さらに私をカタパルトとして飛び上がった主は、空中でボスを打ちのめした。

即座に出される指示。

応じて私が帰還すると、一斉攻撃が始まりボスは沈んだ。


----------------


 戦勝に湧くプレイヤー達。

一方で私達も勝利の報酬を受け取っていた。

主がランクアップし、その恩恵を受け我々も進化したのだ。 

今の私は赤き骸骨戦士。

数多の敵をその手にかけることで到達する姿である。


 フェイとバイトも進化し、ついに自我を得たようだ。

さらに、主人は新しく3体の使い魔を得ることができるようになった。

第2エリアに向かってから従えるのか、向かう前に従えるのか。

その辺は主次第だろう。


 余談だが、我々モンスターが進化する時は、これまでの戦闘スタイルが大きく影響する。

私の場合近接戦闘タイプだったため『ウォーリアー』となった。

これが、例えば弓を使っていた場合『アーチャー』となっていただろう。

バイトの場合、咬みつき攻撃をメインとしていたので双頭となった。

もし、尻尾や巻きつきをメインとしていれば別の進化をしていただろう。



 ボスとの戦いは激戦であり、装備の消耗も激しかった。

主人も私も修理のために一度引き返すことになった。

その途中で主人はさっさと3体の使い魔をスカウトしてしまった。

予め候補を決めていたそうだ。


 ゴーレムのギア、猫系モンスターのリンクス、犬系モンスターのハウル。

彼らは契約によって進化し、我々と同格の存在となった。

まあ、自我を得るのは少し先になりそうだが。


 変わり種だったのはギアである。

彼は鉱石素材を吸収することで進化するのだ。

悲しい理由から主人は石を大量に所持していた。

これを吸収したギアはストーンゴーレムにランクアップしたのだ。

先の大ボスの護衛であったモンスターである。


-----------------


 新たな同僚達との習熟訓練も終え、いよいよ第2エリアへと向かう事になった。

進化によるSTアップは凄まじく、私自身の戦闘力も格段に上昇していた。

すでに先発のプレイヤー達から情報が伝えられており、準備中のプレイヤーも多いようだ。

モンスターの強さが段違いらしく、入念な準備が推奨されているのだ。


 転移装置から第2エリアの町へと転移する。

ダンジョンを通らなくてもすぐに移動できる便利な設備だ。

とりあえず新しい町で情報を収集し、町の周辺で戦ってみる事になる。

事前情報では第1エリアが練習ステージに思えると言う事だが。


 なるほど、と感心してしまう。

第2エリアのモンスター達は確かに強い。

しかも、その強さがSTによるものではないのだ。

プレイヤーに比べれば稚拙とはいえ連携し、協力して戦う。

それが強さの秘密であった。


 さらに、周囲のモンスターがリンクして集まってくるなど数でも不利になる事がある。

甘く見ていたプレイヤーがやられていく光景を、何度も目にすることとなった。

もっとも、それは私達には当てはまらない。

主人と2体の使い魔の連携は、これでもかと言う程入念に訓練してきたのだ。

リンクによって15体もの飛行モンスター『ブラックピジョン』が集まってきたときは流石に苦戦したが。


 新エリアでは様々な技術が更新され、職人たちは沸いている。

主人もそろそろ馴染みの職人を探そうと考えているようだ。

そして、とある依頼に応じたことで主人はある意味運命の出会いを果たしてしまう。


 その男の名はガノン。

初期設定でランダムを選び、初期からハイ・ドワーフだった男だ。

ドワーフは前衛としての適性も高い種族だが、彼はあえて職人として活動していた。

ハイ・ドワーフなのにもったいないと思う者も多かっただろう。

しかし、ハイ・ドワーフであるが故に、その技術はドワーフの職人より1つ上である事も事実だった。


 後に彼は癖は強いが優秀な職人たちを集め、第3サーバー最大の職人ギルド『工房』を立ち上げることになる。

ただし、『工房』の評判は両極端であった。

腕は間違いないのだが、そこは廃人変人の巣窟であったのだ。

彼らを許容できるプレイヤーにとっては『工房』は最高の職人集団だった。

しかし、許容できないプレイヤー達は近付こうともしなかった。


 主人はゲームを通じて人間嫌いが徐々に改善されていった。

丁寧だが他人行儀な口調も徐々にフランクなものになっていった。

そして主人は『工房』にとってトップクラスのお得意様となっていった。

だが、主人は決してガノンを名前で呼ぼうとはしなかった。


 主人曰く『友人と思われたくない。同類と思われたくない』のだそうだ。

ビジネスパートナーとしてはOKでも、プライベートな関係はNGという事なのだろう。

確かにガノンの変人っぷりは『工房』の中でも突出していた。

あれこそ『マッドサイエンティスト』というやつなのだろう。

名前を呼ばないのは、主人なりの最後のボーダーラインと言う事らしい。

尤もガノン本人や周囲には、ほぼ同類と思われていたようだ。

ゲームではあるが悲しい現実である。


 同様に後に常連となるアイテム屋のホビット職人、ケイル。

彼の事も主人は名前で呼ぼうとしなかった。

主人曰く『どこか胡散臭い』という事らしい。

彼はマジックオーブの開発に熱心だったことから『オーブ屋』と呼ばれる事になる。


 話は逸れたが、その依頼とは『鉱脈調査の護衛』である。

第2エリアの新鉱石素材は『ミスリル』、『メテオライト』、『ダマスカス』の3種。

まず、メテオライトは『隕石』を練成して作られる。

隕石は屋外のフィールドにランダムで転がっており、比較的容易に見つける事が出来る。

数を集めるのは大変だが、ダンジョンに入る必要が無いので戦闘職で無くても採取できる。

人数を集めれば比較的容易に揃うだろう。


 ダマスカスは合金なので『ダマスカス鉱石』は存在しない。

解禁されたのは作成するためのレシピと材料だ。

ただ、ダマスカスは刃物には向いているが、それ以外の武器や防具には向かない。

手に入れるのは一番簡単だが、需要は一番低いのだ。


 最後にミスリルは『ミスリル鉱石』を採掘して錬成する必要がある。

非常に需要が多いミスリルだが、鉱石の採掘量が非常に少ないため常に品薄だった。

だが、とある廃坑にミスリルの大鉱脈があるという情報がもたらされたのだ。


 NPCによるとその廃坑は元は銀山だったそうだ。

しかし、ある深さまで掘ったところで魔力溜まりにぶち当たってしまう。

噴出した魔力の影響で、坑道内の生き物がモンスターとなってしまい閉鎖されたというのだ。


 さて、ここで注目すべきは『銀』と『魔力』。

ミスリルは『精霊銀』と書く。

つまりは魔力を帯びた銀なのだ。

閉鎖された廃坑は、今や巨大なミスリルの鉱脈となっているのでは?

と、いうのが職人たちの考えだった。


 ちょうど主人は、愛用の槍杖をミスリルで強化しようとしていた。

短剣同様ダマスカスで強化しても良かったのだが、杖としての性能を考えるとミスリルがベストなのだそうだ。

しかし、ミスリルは品薄状態。

驚くほど高いのにすぐに売り切れてしまう。

そんな時、目にしたのがミスリル関連の依頼。

報酬を期待して即受けた主人を責めることはできないだろう。


 だが、ガノンにある程度慣れるまで主人はつぶやき続けた。

『早まった……。あの時の俺の馬鹿……』と。


 そして、運命のファーストコンタクトの日は来た。

何とか書き終えた……。


気になっていた人もいたかな?


ギルドマスターことガノンとの出会いのエピソード開始です。

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