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エピローグ

 テスト終了から半年が過ぎた。

俺はいつもの日常に戻り、それなりに忙しく過ごしていた。

教授の話では今回のテストで、優秀なテスター候補が結構見つかったそうだ。

かかわった企業からのスカウトもされているらしい。


 友人や妹はどうなんだろうな。

そこまで詳しくは聞いていないが、可能性は大きい。

テストの後、俺の仮想空間における反応は格段に向上したらしい。

教授や先輩達も興味深いと言っていた。



 そんなある日。

RWOの発売を翌日に控えた日。

俺は休日だったが教授に呼び出された。

珍しい事だった。


「やあ、佐藤君。休みの日にすまないね」


「いえ、何かあったんですか?」


「ああ、これだよ」


「これは……RWOの製品版ですか?」


 発売日は明日のはずだ。

送られてくるのも明日の朝のはずだが。


「そうだよ。昨日、関係者の会議があってね。ついでに貰って来たんだ」


「そういや、俺って有名になったんでしたっけ」


「今でも君のデータに対する話題は尽きないよ。まあ、ともあれ日付が変わればログインできるそうだから」


「解りました」



 自宅に戻った俺は、早速個人設定を済ませた。

ログイン後にも設定可能だが、今やった方が早いだろう。

名前はフィオ、種族はランダム、武器は槍、スキルは魔法。

テスト時と同じだった。


 説明書を見ると、RWOには5つの大陸がある。

最初の町は中央大陸の中心『センター・アイン』という場所らしい。

中央大陸の東西南北には港町があるが、別の大陸への航路はモンスターによって封鎖されているようだ。

北は大イカ『クラーケン』、南は白鯨『モビィディック』、東は海龍『ラハブ』、西は大亀『アスピドケロン』。

こいつらを倒さないと別の大陸には行けないようだ。



「よし、ログイン」


 日付が変わると俺は即座にログインした。

テスト版との変更点として、時間加速の倍率がある。

管理運営の面から8倍だった加速率は2倍に下げられていた。

1日のログイン可能時間は変わらず8時間だ。

これは衰弱死事故などを防ぐために、制限が義務付けられているのだが。


「ん? ここは?」


 どう見てもセンター・アインの中央広場ではない。

それどころか、とても見覚えがある。


「俺のホームエリアか?」


 そうだ。

俺のホームエリアの玉座の間だ。

周りに目をやると、博物館の展示ケースの様なものが並んでいた。


「こいつは俺の装備じゃないか」


 ケースに入っていたのは、かつての俺の装備だった。

取ろうとするが、ケースが開かない。

見るだけなのか?


 少し不満に思いながらも、外に出た。

するとそこには


緑の体毛の紅玉の幻獣がいた。


藍色の翅の妖精がいた。


三頭の大蛇がいた。


六腕竜尾の骸骨がいた。


漆黒の狼がいた。


純白の獅子がいた。


宝石を組み込まれたゴーレムがいた。


空色の鷲獅子がいた。


溶岩を纏う巨獣がいた。


翼蛇に乗った死神がいた。


黄金の昆虫がいた。


幻影を纏う幻魔がいた。


虹色に輝く竜がいた。


「あ……」


 驚きのあまり声の出ない俺にアナウンスが入る。


〈ようこそ、RWOへ〉


〈フィオ様の貢献度からボーナスが決定いたしました〉


〈種族がランダムに選択されていたので、種族は悪魔に決定されました〉


〈βテスト時の装備は保存され、STが基準値を満たすと解放されます〉


〈βテスト時の仲間モンスターは保存され、STが基準値を満たすと契約が可能になります〉


〈尚、仲間モンスターのランクは初期値に戻ります〉


〈ホームエリアは特典として贈られます〉


〈それではRWOをお楽しみ下さい〉


〈始まりの町センター・アインに転送します〉



 その日、RWO正式サービスの開催日。

生まれ変わったもう一つの世界。

その大地に善なる悪魔が降り立った。



第5章  END


ようやく本編終了です。


番外編も少し書く予定です。

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[一言] いやー、これは熱いな
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