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終幕の宴

 空に打ち上げられる無数の花火。

βテスト最終日を俺はホームエリアで過ごしていた。

昨日の試合終了から、今日の朝まで宴会に出続けてさすがに飽きたのだ。

俺、酒飲めないし。


 全てのフィールドで壮大な花火が打ち上げられ、それはホームエリアからも見る事ができた。

俺のホームエリアは浮遊島なので、下に花火が見える。

これは中々新鮮な見え方だ。


 最終試合のバトルフィールドは交流の場として開放された。

サーバー間でのデュエルなどが行われているらしい。

ちなみに俺は行っていない。


 対戦希望者が多すぎてうんざりしそうだし。

友人たちに見つかるとヤバそうだし。

そんなわけで、最後の時間は13体の相棒達と過ごしていた。


 いつもはお気に入りの場所にいる連中が、今日はみんな俺のそばにいる。

こいつらも別れの時が近い事を、解っているのだろうか?

そんな事を考え、感傷的になっていると、エリアに来訪者が訪れた。


 ……変だな。

ホームエリアは今ロックしてある。

鍵を持っていても入れないはずだ。

考えられるのは……運営の関係者?


「どうも、こんばんは」


 聞き覚えのある声にチラリと目をやる。

そこいたのは見知った顔。


「オーブ屋か」


「最後くらい名前で呼んで下さいよ」


 苦笑するオーブ屋ことケイル。


「お前、運営サイドの人間だったのか」


「正確には雇われ調査員ですけどね」


 ケイルはプロのテスターで、サーバー内の生の情報を集めるのが仕事だったらしい。

色々詳しかったのは情報収集の結果だったらしい。

ちなみに、それ以外は普通にプレイしていたようだ。

俺と親しくなったのも偶然の様だ。


「じゃあ、オーブ関連の技術も自前か」


「これでもプロですからね。ゲームくらいこなせないと」


「……結構苦戦してなかったか?」


「他のサーバーの調査員に比べれば順調でしたよ」


 取り留めもない話を続けると、突然ケイルがモニターを開いた。

町などに設置された物の小型版らしい。

本来は情報収集のための能力らしいが。


「ほら、見て下さい。試合フィールドでイベントをやっていますよ」


「あれは、俺達か?」


 そこでは魔王様と13体の神獣が万単位のプレイヤーを薙ぎ倒していた。

リーフまで体長4m位に巨大化している。


「試合のデータをボス仕様にHP設定し直して、通常のAIで動かしてるんです」


 どうやら今日の朝からやっているらしい。

昨日の夜からここにいたから、気付かなかったな。


「死んでもすぐに再参加できるんですよ。でもまだ倒せてないんですよね」


 ろくにダメージを与えられない上に、ドレインまで持ってるんだろ。

HPがボス仕様とか言ったら倒せないに決まってる。

しかし、プレイヤー達は懲りずに挑み続けている。

俺はラスボスかよ……。


 視線を再び花火に向ける。

しばらくボーっと見ていると、ケイルが口を開く。


「寂しそうですね」


「否定はしないよ」


「あなたの貢献度なら何とかなりますよ」


「だと良いけどな」


 やがてケイルは立ち去り、再びホームエリアは静寂に包まれた。

頭の中を、今までのβテストの記憶が横切る。

様々な経験が浮かんでは消える。


「そう言えば、俺はゲームから距離を置いてたんだよな」


 テスターには製品版と、希望者にはテスト中の名前の優先登録権が与えられる。

そして+αで貢献度に応じた特典があるのだ。

製品版が来たらどうしようかな……。


 そして、その日、RWOのβテストは終了した。


スタッフはケイルでした。


職人ギルドマスターだと思った人もいるかな?

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