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黄昏の戦場

 昼過ぎから始まった戦闘は、一方的な状況になっていった。

突然のST低下に驚愕し、混乱する連合軍。

さすがにモンスターのようにスキルまでは封じられないようだが。

でも、砦のギミックが動いていないようだ。

そりゃ、慌てるよな。


 一方、勢いづく第3サーバー。

1人が4人を相手に出来るほどの圧倒的な差になっている。

そもそも連合軍の3割は直接戦闘に向かない職人だ。

カリスとプルートに防衛兵器を破壊されると戦闘に参加できなくなる。


 プルートの鎌がシアンさんを切り裂き、脱落させるのが見えた。

デッドさんとモモノさんは拠点に逃げ込んで行った。

カリスは遂にオーロラを纏って暴れ出した。

すでにプレイヤーなど無視して防壁を崩しにかかっている。


 上位鉱石の防壁が発泡スチロールの様に削られていく。

止めようとするプレイヤーは、紙切れのように引き裂かれていく。

近付くと不味いと感じたのか魔法でカリスを狙い始める。


 そういや、他のサーバーは発動条件を知らないんだな。

それじゃ何時までもオーロラが解除されないだろうに。

せっせと補給している様なものだ。


 俺も戦場に飛び込み無双する。

久々に活躍した気がするが、別に俺だけじゃない。

第3サーバープレイヤー皆が無双中だ。

フェイのスキル怖いね。

絶対自分じゃ食らいたくないよ。


 そしてついにカリスが防壁を破った。

これで穴は2つ。

もう防ぎきれないな。

勝負ありだ。


 第1サーバーの部隊が撤退していくな。

今回は見逃そうか。

まずは第4を落とすことが先決だ。


 

 空が完全に暗くなり。藍色の光が消えた。

それを待っていたように、壊された防壁からスパイクが飛び出す。

狙いはすぐ傍のカリスだ。

だが


ガギギィ


 硬質な音と共にスパイクがはじき返される。

残念ながらパワーアップ中のカリスには、丸太の様なスパイクも効果は薄いようだ。

続いて防壁が崩れるが、カリスは生き埋めに出来るようなサイズじゃない。

こりゃ、外は任せてもいいな。


 俺はフェイとプルートを連れて拠点に飛び込んだ。

あちこちで遭遇戦が起きているが、敵のほとんどが職人の様だ。

白兵戦は本領でないのではっきり言って弱い。

だが、拠点の中にもギミックが仕込んであるため、それを利用して対抗しているようだ。


 フラッグを探してうろつくが見つからない。

拠点内部は大分弄られ、まるで迷宮の様だ。


「ん?」


キィン


 突然の奇襲。

反射的に弾いたそれは鋼糸。

敵の反応は壁の向こう、隣の通路に有った。

手は出せないと思っていたが通風口から攻撃してきたようだ。


「モモノさんだな」


 逃げていく反応を追いかける。

こっちは工房か? 結構な人数が待ち構えているな。

また罠か?

でもフラッグを守っているのかもしれないし……。


 念のため、近くを探索をしていた仲間プレイヤーを集めて工房に向かってみる。

そこにはモモノさんとデッドさんが、20人位のプレイヤーと共に待ち構えていた。

フラッグは見当たらないな。


「私たちの負けみたいね」


「力及ばず残念だよ」


「いやいや、罠地獄は大変でしたよ」


 おそらく一番健闘したのは第4だろう。

自分から攻めてくる第1はある意味やりやすい。


「いや、待ちに徹した僕らは卑怯といわれても仕方ない」


「あそこまで完璧に正面から破られれば諦めも着くわ」


「……」


 何か違和感があるな。

こんなことベラベラ喋る様な諦めの良い人か?

むしろ最後まで一泡吹かせようとする、負けず嫌いな人の気が……。


「!」


 そこで気付く。

炉の周りでコソコソしているプレイヤー達がいる。

そして、彼らのこれまでの作戦。

そういうことか。


「あなたのゴーレムの最後は素晴らしかったわ」


「我々も見習いたいよ」


「全員逃げろ!」


 間違いない。

炉を暴走させて俺達を道連れにする気だ。

自爆で一矢報いるってわけか。


「逃がさないよ!」


「アイテム急いで!」


 周囲を囲んていた敵プレイヤーが一斉にアイテムを使用する。

いきなり煙で視界を閉ざされた。

煙幕か。


 即座にフェイが風で吹き散らすが、敵は第2弾を放っていた。

デッドさんもアンデッドを呼び出して突っ込ませる。


「うわっ! トリモチ!?」


「こっちは網か!?」


 トリモチ弾にネットボール?

こっちが使ったのをコピーしたのか。

最前列、逃げる場合は最後列にいたプレイヤーと、プルートとフェイが食らってしまった。

炉は爆発寸前だ。

間に合わない!


 そう思った時、フェイとプルートがこちらに風魔法を放ってきた。

ネットやトリモチにとらえられた一部のプレイヤー以外は、工房の外に吹っ飛ばされる。

2体はそのままアンデッドに抑え込まれてしまった。

もう脱出する暇は無いだろう。

……すまん、助かった。


 外に転がり出た俺達は、警告を発しながら工房から離れる。

そして工房は大爆発を起こした。

爆風は防壁を吹き飛ばし、拠点を崩壊させる。

フェイとプルートの反応も消えた。




「あったぞ。フラッグだ!」


 どうやらフラッグが発見されたようだ。

第4サーバーのプレイヤーは大半が倒された。

手隙になった第3サーバーのプレイヤーは瓦礫の山を捜索していたのだ。


第4サーバーの拠点が占領されました。


第4サーバーのプレイヤーは転送されます。


「これで残るは第1サーバーか」



自爆の仕返しは自爆でした。

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