もう1人の悪魔
ハウルとバイトがやられた。
それを感じた俺は予備の装備を纏って飛び出した。
ベルクのHPは若干心配だが、スピードに影響は無い。
第2サーバーを落として気が緩んでいたのかもしれないな。
レイさん達を信じていない訳ではないが、心配になったのだ。
ティーアさんが「暇ー。私達も戦いたーい」と言いだしたのは仕方ないだろう。
なにしろずっと拠点の防衛についていたのに、1回も戦闘にならなかったのだから。
そして、レイさんも「第2サーバーを落として疲れたでしょう」と言って、休憩を進めてきた。
お言葉に甘える形で防衛チームと攻撃チームは交代したわけだ。
じゃあせめて、と使い魔を派遣したわけだが。
やっぱり俺も付いて行くべきだったか。
俺の悪い所もコピーしているからな。
調子に乗って罠なんか気にせず突っ込んだんだろう。
なまじ大抵の事ならどうにかできてしまうしな。
ただでやられたとは思えないが、不死身に近いバイトまで倒すとは。
敵もさるものだ。
俺自身は妙に勘が働く上にリーフがいる。
大抵の罠には気付くし、いざとなったら即逃げる。
この辺はやっぱり使い魔達の思考に柔軟性が足りないんだろう。
良くも悪くも正直で真っ直ぐなのだ。
AIは学習していない状況に弱いしな。
数百の敵に罠、どちらもあいつらにとって初体験だ。
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第4サーバーの援軍として出撃した部隊。
大半は戦闘領域に向かったが、一部は第3サーバーの援軍に備えていた。
張っている場所は第3と第4の拠点の中間だった。
指揮官はリエ、副官はアキだった。
「来るかな?」
「あの馬鹿兄貴は来るわね。自分のピンチは嬉々として切り抜けようとするくせに、仲間の危機にはすっ飛んでくるタイプよ」
「さすが妹、理解が深いね」
その言葉に応えるように、異様なスピードで飛んでくる反応が1つ。
ベルクとフィオだった。
「ほら、来た」
「うう、緊張する……」
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フィオからも待ち伏せは判った。
戦場まで一直線、とは行かない様だ。
数は200ってとこか。
まだこんなに飛行部隊が残ってたんだな。
ちょっと関心。
ん? 先頭にいるのはリエとアキじゃないか。
しかも、リエの姿は以前と微妙に違う。
肌が浅黒いが、耳は普通。
ダーク・エルフじゃあない。
そもそもヒューマンからエルフにはなれないし。
ってことは、残る可能性は一つ。
「へえ、お前グレーター・デーモン倒したのか」
声の聞こえる所で停止し、聞いてみた。
足止め目的か? 積極的に攻めてくる気配は無い。
警戒されているだけかもしれないが。
「そうよ。ウィーと、このフラガラッハのおかげでなんとかね。」
ウィーというのはリエの乗っている飛竜だろう。
おそらくはランク4の従魔、ワイバーンの上位か。
手に持った剣は光属性の魔剣の様だ。
銘持ちってことは、普通の魔剣より良い品だな。
「ふーん、わざわざ鍛え直したわけね」
「ふん、私の勝手でしょ」
転生してもSTは下がらないが、種族の特徴に合わせてバランスが変化する。
その変化に慣れるのが結構大変らしい。
まあ、元がハイ・ヒューマンなら変化は小さいだろうが。
「それよりハル達とククの敵よ。覚悟しなさい」
「クク?」
「私の使い魔! ケツアルコアトル!」
んー、そういやいたね。
ベルクに一掃された中に。
じゃあ、アキの乗ってる鳥も使い魔か。
「お前一体しか呼べないのか?」
「悪かったわね、まだ中級よ。時間無かったの!」
前回の試合ではハイ・ヒューマンだったもんな。
それからとなると仕方ないのかな。
まあ、それはどうでもいい。
問題はこいつらをどうするかだ。
今、俺の装備は堕天使の羽とテュポーンの蛇皮で作った服以外予備だ。
悪い品ではないが、フル装備と比べれば格段に劣る。
武器もサマエルはあるが、槍は普通の槍だ。
投槍を使ったら無くなってしまう。
さらにベルクもHPが減っていてヤバい。
実は召喚と帰還にもクールタイムがある。
同じ個体は連続して呼んだり戻したりできないのだ。
戦闘フィールド限定だが。
ベルクはさっき呼んだばかりなので、まだ戻せない。
逆にカリスは呼べるまでもう少しかかる。
カリスに乗って拠点に戻ったからな。
うーん、フェイのスキルが使えればどうにでもなるんだが。
まだ昼過ぎ、時間が早すぎる。
おそらく向こうは、俺がカリスを呼べない事に気づいていない。
だからベラベラ喋って時間を稼いでいるんだろう。
このまま、クールタイムが過ぎるまで待つか?
その前に援軍が到着するかな?
実は今プルートがこっちに向かっている。
あいつが合流すれば戦力としては十分だ。
「……兄貴、なんでドラゴン呼ばないの?」
「ん? 何でだ?」
「兄貴の性格なら、私ら蹴散らして仲間助けに行くでしょ」
……さすが妹、よく解ってらっしゃる。
やりにくい。
っていうか、マズイ。
妹、転生。
なんだか説明ばっかりでしたね。
しかし、7月中に終わらなそう。




