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防衛兵器

 初戦の結果を受けて第1、第2、第4サーバーは即座に同盟を組んだ。

とはいえ守ってばかりでは勝てない。

あの、訳の解らない拠点を落とさなければ勝てないのだ。

3つのサーバーは100人単位の偵察部隊を出撃させる事になった。



 彼らの目の前に立ちふさがるのは、キノコの樹海だった。

斥候職が引くほどのトラップ数があり、正面突破は難しい。

ならば、巨大キノコを焼きはらい、切り払いながら進めばいい。

早速作業に入るプレイヤー達。


「うわ、ヌルヌルしてる」


「これ燃えないし、斬れないぞ」


「何なんだよこのキノコは……」


 キノコウォールの意外な高性能に苦戦する彼ら。

そんな彼らを驚愕させる事態が起きる。


バシュッ


ドゴオォォォ


「ウワアアァアァ!」


「え? え? キノコごと?」


 飛んできたのは特大のバリスタ。

拾って帰りたいほど見事な矢が、バカスカ打たれてくる。

さらには発石車による投石も開始されてしまった。


「そうか! キノコの揺れだ。これが俺達の位置を教えているんだ」


「でも逃げないと、的だぜ……」


「向こうはキノコの被害考えていないぞ」


 プレイヤーごと薙ぎ倒されるキノコだが、即座に再生していく。

偵察部隊はキノコウォールの恐ろしさと、防衛兵器の強力さを知る事ができた。

後はこの情報を持ち帰るだけ。

彼らは一時撤退を決めた。


 キノコウォールの近くの森に逃げ込めたのは、半数程だろうか?

あれは数で攻めても抜けない。

大量の油を使うなり、大規模な作戦が必要だ。

早く戻って皆に伝えなければ。


 しかし、気付く。

森が何時の間にか霧に覆われている事を。

マズイ! 周囲を見渡すと数人のプレイヤーがいない。


「蛇だ! 聖魔の下僕が襲ってきているぞ!」


「集まって円陣を組め」


「気付いたらすぐ教えろよ」


「上と下にも注意しろ」



 さて、当のバイトはというと、何人かを仕留めて恐慌させた後はさっさと引き返していた。

斥候達を囲む霧は、そのままにしてある。

なぜならこれが目印だからだ。

巻き込まれないように、バイトは堀の中に逃げ込む。



 砦の頂上では主砲に砲弾とオーブが装填され、発射準備が完了していた。

目標は近くの森、ご丁寧に霧でマーキングがしてある。

相変わらず使い魔たちは賢い。


「ターゲット・ロックオン」


「主砲発射します」


ドオオオオオオン


 轟音と共に放たれた主砲は、オレンジ色の軌跡を残して目標に着弾した。

しばらくすると焦げ臭い風が吹き、爆煙が晴れる。

森だった場所はクレーターとなっており、地面は溶けていた。

プレイヤーは1人も残っていなかった。



「全部で300人ってところかな」


「バリスタ無駄打ちしちゃったかもね」


「まあ、慣らしも兼ねてるから良いんじゃないか」


「じゃあ、回収してこようか」


 この惨劇を引き起こしたのは、何と職人プレイヤー達だった。

第3サーバーの職人1000人は決して非戦闘員ではない。

攻城兵器や防衛兵器を操る1人の戦士なのだ。


 そして、その間に行われていた会議で、攻撃部隊の次の方針が決定した。

彼らは安心して留守にする事ができる。

防衛部隊を信頼しているのだ。


 一方、キノコウォールと防衛兵器の情報は、ある程度は他3サーバーに伝わった。

バラバラに逃げた全員を倒す事は、さすがに不可能だったのだ。

それでも防衛兵器、バイト、さらにハウルの追撃をかわせたものは少なかった。



 第3サーバーの作戦は、第4サーバーの拠点に一当てしてみるというものだった。

自分たちの次に防御力があるだろう第4サーバーは、攻撃に積極的ではないようだ。

実際に攻めてみないと判らない事も多いだろう。


 持久戦を封じられた第2は、もう攻める以外道が無い。

おそらく攻撃兵器の豊富な第1サーバーと共に、大掛かりな作戦を取るつもりだろう。

予想としては油や薬品、魔法を使ってキノコウォールを攻略する。

その後少人数のゲリラ戦に移り、防衛兵器を使いにくくするって感じか。


 ならばこっちは実力者を各個撃破させてもらおうかな。

偵察員まで壊滅。


落とせるのか? こんな拠点。

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