情報交換サイト②
再びログアウトした俺は情報収集に精を出していた。
友人たちとはすれ違いになったようだが、質問と詰問がしっかり届いていた。
後で直接答えよう。
凄まじく嫌な予感がするが……。
さて、『使い魔』と『召喚』は呼び出し方式が違う。
『使い魔』は呼び出す時にMPを消費するが、『召喚』は消費無しで呼び出せる。
代わりに召喚している間MPが減り続けるという。
現状では2体以上の同時召喚ができる者はいないようだが、2体で2倍、3体なら3倍減り続けるのだろう。
まあ、プレイヤーの予測だが。
召喚獣契約には1体につき1個の『召喚オーブ』が必要で、今のところ数の制限は無いらしい。
ただし、モンスターの強さは召喚者の能力に応じて多少は修正されるものの、基本的に成長しないようだ。
オーブは消耗品で、召喚獣は武器防具と同じ。
弱くなったら新しく強いものを用意するってことか。
まあ、戦闘以外でも役に立つ能力はあるし、愛玩用という目的もあるけどな。
「テイムの方は……。うおっ、流行ってるな」
テイムに必要なのは当然『テイム』のスキル。
野生のモンスターをテイムする方法は『使い魔』と変わらない。
成長もするようだ。
ただし1人につき1体まで。
別な従魔が欲しい場合は、今までの従魔と別れる必要がある。
割り切った奴はともかく、愛着を持った者は従魔が力不足だと感じた時は迷うだろうな。
別に野生のモンスターをテイムしなくても、魔獣屋で卵が売っているらしい。
現状では始まりの町にしかないようだが。
と、いうよりも卵から孵す方が一般的のようだ。
理由は単純に、その方が役に立つから。
従魔はただの戦闘要員として用意するわけではない。
小動物型の従魔なら探査や索敵能力に優れ、大型従魔なら乗ったり馬車を引かせることができる。
一人につき1体ということは、逆にいえば4人なら4体。
全員が戦闘用従魔を持っている必要はない。
魔獣屋の卵は生まれる魔獣がわかっている卵と、ランダムの卵がある。
当然ランダムの方は当たりがあれば、ハズレもある。
そして値段が高い。
まさにギャンブルだが、当たりを引いたプレイヤーの自慢話も載っている。
「ワイバーンか。確かに当たりだな」
そのプレイヤーのパーティメンバーが、前足が翼で尻尾に毒針を持つ竜の亜種『ワイバーン』を従魔にしたという。
サイズはまだ体長1mくらいという話だが、いずれ人を乗せられるようになるかもしれない。
さらにブレスなどの能力も覚える可能性が高い。
確かに有望だ。
小型従魔としては視覚索敵の鳥型、嗅覚索敵の犬型、聴覚索敵の兎型、暗視能力の猫型などが一般的のようだ。
魔女の下僕みたいだな。
大型従魔は2足歩行の小型恐竜『ダッシュラプトル』、ダチョウのような『ランドエミュー』、大型の馬『マスタング』などが人気らしい。
馬車を引かせたり直接乗ったりすると移動が格段に楽になるとか。
「始まりの町か。行きたいんだが……」
どっちの方向にあるか分からないのだ。
マップでも売ってないかと思ったが無いようだ。
何も無いのは南だが、平原が広がるだけで何も見えない。
「もうちょっと探して、わからなかったら南に行くか」
と、そこで俺は全く関係ない、しかし気になる書き込みを見つけた。
そのプレイヤーは少数派の野生モンスターテイム派で、テイムするモンスターを選別しているらしい。
野生のモンスターには個体差があり、強い個体がいれば弱い個体もいる。
自分はできるだけ強い個体を狙っている。
と、いうのが彼の主張だ。
「ふーん。確認してみようかな」
避けるのは得意だし。
じっくり見定めてやろうじゃないか。
次の予定を立てながら、俺はゲームを再開した。