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獣の魂

 ふと、気が付いたのだが俺は古城に行った事が無い。

中ボスが『ウルフ・ジャイアント』と『タイガー・ギガ―ス』で、大ボスが『ヴァンパイア・マスター』ということは知っている。

後は雑魚が獣人や獣系中心で、後半にヴァンパイア系が出現することか。


 そういやレイさん達って転生上手く行ったんだろうか。

なんか複雑そうな手順で苦戦してるらしいけど。

1回くらい見に行ってこようかな。



 『古城』は古いだけでボロいわけではない。

作りは正に西洋の城って感じで部屋も多い。

部屋には宝もあるので結構プレイヤーは多い。

しかし、普通なら強盗だよな。

ゲームだから許される事なので、良い子の皆は現実で真似しないように。


 さて、ここは進むのにちょっとした仕掛けがある。

獣人系モンスターがドロップする鍵を使わないと、開かない扉があるのだ。

ドロップ確率は低くないのだが、進めない奴は詰まってしまうらしい。

ちなみに俺はお守りパワーですぐに出た。


「えーと、ここが地下修練場だっけな。じゃあ、この先か」


 中ボスは警備隊の責任者らしく、地下の詰め所にいるらしい。

こいつらを倒して鍵を奪わないと、大ボスのいる後半エリアに通じる扉が開かないのだ。

ぶっ壊せという意見はスルーします。

システム上無理なんで。


 中ボスは巨人系素材を落とすので、以前は賑わっていたそうだ。

しかし、浮遊島が解放されると、皆そっちに流れてしまったようだ。

確かに向こうの方が効率が良い。


「ふむ、虎と狼か。コール ギア ハウル リンクス」


 巨人が相手ならギアだろう。

ハウルとリンクスはなんとなく対抗心が湧いたからだ。

どっちが上か見せてやるがいい。

そして扉を開けると狼頭の巨人と虎頭の巨人が待ち構えていた。


〈ウオオオオン〉


〈ガアアアアア〉


 どっちもやる気満々だ。

ギアとハウルに狼頭を任せ、俺とリンクスは虎頭に挑む。

巨人だが獣人でもあるので、結構動きは軽快だ。


 敵の戦術は一撃離脱。

攻撃しては距離を取りの繰り返しだ。

だが、離脱した直後は隙がある。

その隙を突いて魔法を打ち込んで行く。


 こいつら遠距離攻撃手段が無いようだな。

代わりにパワーとスピードに優れているわけか。

じゃあ、そのスピードを殺させてもらおうか。


ザシュ


〈ガゥ!?〉 


ドドォン


 突然、虎頭の両足が切り裂かれ転倒する。

混乱する虎頭の足元に、ステルスを解除したリンクスが現れた。

リンクスは戦闘が開始するとすぐにステルス状態になり、そのままじっと動かなかった。

そして、虎頭が完全にリンクスの存在を忘れた瞬間に襲いかかったのだ。

まさに野生のハンターだ。


 動きの止まった虎頭の首を容赦無く刎ね、狼頭の方に向かう。

狼頭は所々をスター・ダストに打ち抜かれボロボロだった。

ギアが盾になり、ハウルが遠距離誘導攻撃を加える。

堅実で有効な作戦だ。


 再びステルス状態になったリンクスが背後から忍び寄る。

俺も投槍の体勢に入る。

そして、狼頭がギアに突っ込もうとした瞬間、リンクスが右のアキレス腱を咬みちぎった。


「【グングニル】!」


 よろめいた狼頭に投槍が突き刺さる。

さらに顔面にギアのパンチがめり込み狼頭はKOされた。


「『ビースト・ソウル』? 獣人関係かな?」


 手に入れたソロドロップは『ビースト・ソウル』という宝玉が2つ。

見た目はアクセサリの様だが俺には装備できなかった。

ふむ、一回引き返して調べてもらおうかな。




 町に戻った俺は工房に向かった。

『祝福の翼』も見せてやろうかな。

きっと嬉々として調べるだろう。

と、思ったのだが


「こいつは量産できんな」


「へ? そうなのか?」


「ああ、どっちも準ユニークアイテムだそうだ。自分で手に入れるか、現物をもらうかしないと手に入らないようにシステム設定されている」


「ふーん、『ビースト・ソウル』の効果は?」


「ああ、こいつはすごい。獣人しか装備できないが、全STを上昇させる特上のアクセサリだ」


「獣人だけか。じゃあ、俺が持ってても意味無いな」


「オークションに出せばいいだろう。ビーストロアの連中が大喜びするだろうな」


「『祝福の翼』が量産できればエライ事になっただろうし。まあ、制限は妥当な所なんだろうな」


「お前が人数分集めれば良いじゃないか」


「人数分って、試合参加者分か? 5000個も集められるかよ……」


 そういえば前に渡したマフラーはどうだったのだろう。

聞いてみると、あまりうまく行っていないようだった。


「まあ、単純にまだ技術力が足りないんだよ」


「じゃあ、スキルが上がれば作れるのか?」


「一概にそうとも言えんな。色んなものを作った経験も、隠しパラメーターとして作用しているみたいだし」


 なるほどねぇ、目に見える数値だけが全てじゃないのは戦闘職も生産職も同じってことか。

さて、それじゃ次は『ヴァンパイア・マスター』だな。


地味な獣人に救済です。


やっぱ、翼の量産はヤバそうなので禁止しました。

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