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イカと海

 俺は今、地下水脈の後半を歩いていた。

何故かというと大ボス『クラーケン』を倒した先に、ビーチがあるという話を聞いたのだ。

海のフィールドは無いので、実質唯一の海水浴場という事になる。

別に海水浴をしたい訳ではないが興味はある。


 しかし、クラーケンも災難だな。

レジャー目的の連中に、やられまくるってのも悲しいだろうに。

まあ、1回倒したプレイヤーは次からはボス戦はパスできるそうだが。

しかし、ただ泳ぐだけにしては見かけるプレイヤー達は真剣な顔をしている。

まるで狩人だ。


 ……何か裏がありそうだな。

もっと真面目に情報集めるべきだったか?

いや、どの道見てみれば済むことだよな。

うん、そういう事にしておこう。


 最深部はレイドパーティが何組かいた。

しかし、少し違和感が。


「ああ、半分くらいが職人なのか」


 知った顔もあるな。

多いのは料理人や薬屋か?

寄生と言うとイメージが悪いが、海岸に行けるようにクラーケンとの戦闘に参加しているんだろう。

やはり海岸でしか取れない素材や食材があるんだろうか。

行ってみればわかるか。



 岩を足場に移動して戦闘フィールドの難破船に向かう。

俺が難破船に到着すると、囲むように巨大な触手が水中から現れた。

難破船が壊れるような使い魔は呼べないな。


「コール ネクロス リンクス シザー」


 触手の嵐は、先端から飛ばす水流もあってかなり激しい。

だが、弾力のある肉は斬撃に弱い。

ネクロスは剣盾マドゥで攻撃を受け止め魔法武器を突きこむ。

リンクスはマストの間を飛び跳ねてかく乱し、絡んだ触手を尻尾で切り飛ばす。

シザーは狭い難破船から飛び上がり、水上で戦闘を開始している。


 俺は触手を無視して本体を攻撃する事にした。

翼を展開して飛び上がり、当たりをつけて雷魔法を打ち込んで行く。

そしてとある場所を攻撃した時、触手がビクンと震えた。

そこだな……。


「【サンダーエレクトロン】!」


バリバリバリ


 特大の雷撃が水中に打ち込まれる。

すると大きな影が浮上してきた。


ザパァァ


プガアアア


 イカが吠えるなよ、と突っ込みそうになったがようやく本体とコンニチハだ。

触手は何本か切り落とされ、残りも現在切り落とされている最中だ。

大人しく難破船で戦っていると結構手間取るんだろうな。


「ん? 霧か?」


 本体が浮上すると周囲に霧が発生した。

なるほど、ミスト・ステルスを使うのか。

俺、というかリーフの前じゃ意味無いけど、状況次第じゃ面倒なスキルだ。


 クラーケンの口からは水ブレスが放たれ、放水口からはトリモチの様なスミを打ち出してくる。

しかし、それだけでは決定打にはならない。

大分様になってきた飛行スキルを駆使して回避し、魔法を打ち込みまくる。

そして徐々に難破船に誘導していく。


「今だ!」


カッ


 すでに足を全て排除したリンクスが、MAXチャージしたソル・ブラスターを発射した。

極太のレーザーはクラーケンの胴体を打ち抜いて水面を沸騰させてしまった。

クラーケンはブクブクと沈んで行き、途中でポリゴンとなって消えた。


「水神のピアス。効果は水属性軽減(大)か」


 早速装備する事に。

さて、これでようやくビーチに行けるわけだな。

たまにはバカンスもいいかもな。




 ビーチで俺を待っていたのは、輝く太陽、白い砂浜、そして海と人間の死闘だった。


「よっしゃー。フカヒレゲットだ!」


「肝臓を後何個か……」


「イエー! アイアム、ハンター!」


 海には4m以上はあるサメがウヨウヨしている。

その素材を求め、プレイヤー達はサメとの死闘を演じている。

えーっと、何これ?

某スピルバーグ映画ですか?

ここ沖縄? 海人のサメ駆除?


 ……俺が甘かった。

そうだよな、そんな平和なフィールドのはずないよな。

フィールドと書いて狩り場と読むよな。

うん、よし、切り替えろ。

今、俺がすべきことは……。 


「うおおお! 勝負だシャーク共!」


 俺も海に突入しサメ狩りに参加した。

肉とフカヒレは高級食材、サメの歯やサメ皮は武器防具素材、肝臓は薬の材料とサメは素材の塊だった。

そして、見た目は怖いが職人でも十分相手にできる強さなのだ。

なるほど人気があるわけだ。

納得。


勝てると判っていてもサメは怖い……。

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