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vs老竜

 竜の谷が解放されてからずいぶん経つが、中ボスのエルダー・ドラゴンはいまだに強敵だ。

先日ようやく上位プレイヤーのレイドパーティが撃破に成功したそうだ。

ここは一つ、俺もやってみようじゃないか。


 竜の谷は上空から襲いかかるワイバーンと、地中から襲いかかるワームが慣れない者には脅威になる。

前半に出現するのは翼の無いリザードタイプの亜竜が中心だが、後半は10mサイズのドラゴンが現れるとか。

もちろん下位竜種だが、その戦闘力は侮れないようだ。

まあ、出現率は低く単体で現れるそうだが。


 ちなみに下位のドラゴンは幼竜であり、エルダー・ドラゴンは成竜らしい。

属性は個体によって違い、中ボスも挑むたびに属性が違うそうだ。

討伐された個体は、防御力が高く動きが鈍い土属性のエルダー・ドラゴンだったとか。



「おおう、混んでるな……」


 エルダー・ドラゴンの素材はワイバーン素材より大分格上で、属性の偏りも無いらしい。

それが解り、実力者が一斉にエルダー・ドラゴン狩りに来たのだろう

ワイバーン素材は高品質で優秀なのだが、前回の試合でマイナスイメージが付いてしまったようだ。

はい、俺の所為ですねー。


 あれは揃って同じ装備だったから不味かっただけで、2、3人なら全然オッケーだったんだがな。

実際装備者は多いし、ここに来るまでにも結構素材を集めているプレイヤーはいた。

中級プレイヤー愛用の一品と言ったところだ。


 つまりは今のところ、第1と第4のトップが第3の中級クラスと言った感じだ。

第2は、まあ、まずは上級鉱石を扱えないとだな。

さすがに犯罪プレイヤーは減っているようだが、今までのロスが痛い様だ。

何事も結果は積み重ねってやつですな。


 あれこれ考えてると順番が回ってきた。

今、オリジナルのフィールドで暴れているのは風属性のドラゴンの様だ。

翼が大きく飛び回るのでやりにくい相手だな。

さて、俺の相手はどんな奴かな?


 転送された戦闘フィールドで待っていたのは青い竜だった。

いや、西洋の竜と言うより東洋の龍に近いな。

細長い蛇の様な体をしている。

サーペントに似ているが翼が有り、足もヒレじゃない。


 どうやら水属性のエルダー・ドラゴンの様だ。

ウォーター・ドラゴンってやつか。

水から上がると弱いイメージがあるが、悠々と飛んでおり弱った感じは一切無い。


 ふと、ボスと目が合った。

獲物を狙う爬虫類の眼だ。

カリスや水晶竜の様な知性と理性を感じない。

これが古竜とモンスターのドラゴンの違いか。


「コール ベルク ギア カリス」


 とりあえず水系の定番弱点の雷と火で攻めることにした。

竜槍杖も2属性付加を発動し、ベルクに乗って飛び立った。

ドラゴン・バスターの力を見せてやろうじゃないか。 



 なんか変だな。

ボスはもうズタズタなのだが、妙に反応が悪い。

意外な事に称号の力は使い魔にもおよび、ボスのHPはガリガリ削れていく。

だが、ボスが戦闘に集中できていない様な違和感を覚えたのだ。


 あ、またチラリと視線がそれた。

その隙を突いて飛び上がったギアのパンチが炸裂する。

何に気を取られて……ああ、なるほど。


 視線の先にいたのはカリスだ。

どうやら自分の上位種と言うか超越種が気になっていたらしい。

カリスの方は容赦なくボスを叩き伏せてるけど。


「ん? 何だ、あれ……」


 カリスの振り回した尻尾がボスの頭部に直撃した。

その時、何かが落ちたのだ。

ベルクから降りて拾ってみると、それは牙だった。

基本的に本体から離れた部位は消えるが、こうして残る事もある。

その場合、素材として回収できるのだ。


「竜の……牙……」


 その時、俺の脳裏に閃光の様に浮かんだのは骸骨。

出会ったばかりの頃のネクロスと、舎弟チックな雰囲気のリッチ。

そうだ、これを使えば……。


クアアア!


ガシッ  ブワッ


「おお?」


 気が付くと俺はベルクに掴まれて空中にいた。

目を下にやると、ボスのブレスが俺のいた場所を薙ぎ払っていた。

どうやらボケっとしていた所を救出されたようだ。


「す、すまんベルク……」


 気にするなとばかりに頷くベルク。

その背によじ登り、牙をしまう。

ふふふ、これが有れば『アレ』が作れるかもしれない。


「とりあえず、さっさとくたばってもらおう。【グングニル】!」


ガスッ


ギャアアア


 弱点満載の竜槍杖に頭部を貫かれエルダー・ドラゴンは力尽きた。

いやはや、戦闘中に気を抜くとは。

ボスの事を馬鹿に出来ない失態だった。


 ソロドロップは『ドラゴン・フルプレート』、いわゆる全身鎧だ。

そうだな、ちょっと修正すればネクロスが装備できるかな。

装甲の過剰な部分を材料にして、手甲に作り直せば6本分になるだろう。


 それとは別に、ドロップを確認する。

竜の牙は15個ある。結構出たな。

お守り効果かな。


「さて、ゼクよ。実験を手伝ってもらおうか。なあに、お前にとっても得な話だ」


 本人がいたらドン引きであろうセリフだ。

……いかんな試合のノリが抜けてない気がする。

平常心、平常心。


 そんなこんなでゼクを捕獲するべく、俺は町に戻る事にした。


確実に「彼ら」に毒されている主人公。


竜の牙と骸骨と言えばあれです。

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