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霊峰登頂

 霊峰、それはプレイヤーに最も嫌われるフィールドの一つである。

唯でさえ山なのに、場所によっては腰まで雪が積もっている。

そして吹雪で視界が悪く寒い上に、採取ポイントも魅力が少ないとくれば人気がある方が不思議だろう。

まあ、どんなにキツくても死なないので、登山の訓練にはなるかもしれないが。


 俺自身も花を求めて彷徨った悪夢は記憶に新しい。

よって、さっさとクリアしておこうと考えたのだ。

これが最後の登山だ。


 中ボスの『ブリザード・ベア』は巨大な白クマさんだ。

しかし、最早中ボスなど俺の敵ではない。

ヘカトンケイルとエルダー・ドラゴンは判らんけど。


 足場が最悪なのでベルクに乗って空中から攻撃する。

というか、奴はブレス以外空中に攻撃できないはず。

プルートも呼び出し魔法で攻める。


グオオオ


ブンッ


 おお!?

クマさんが雪玉を投げてきた。

3mはある雪玉は当たれば痛いだろう。

しかし、そんなもんに当たるベルクとプルートじゃない。

ひらり、ひらりと華麗に回避する。


「【グングニル】!」


ガスッ


グガアアア


 炎を纏った竜槍杖に頭を貫かれ、ブリザード・ベアは倒れた。

うむ、あっけない。

中ボスがこれなら大ボスもいけるか?


「ほほう、『万年雪の結晶』か」 


 ソロドロップは素材だった。

丸い氷の結晶だ。

なんだかオーブみたいだな。

オーブ屋に見せてやろうか? 

何かのヒントになるかもしれないし。


 

 楽しようとすると入り口に戻されるので、自分の足で頂上目指し歩く。

ぬう、ベルクに乗って行ければひとっ飛びなのに。

後半は雑魚は変わらないが道が酷い。

俺は登山部じゃないんだぞ……。



「ここか。ボスはどこだ?」


 頂上付近に開けた場所があった。

ここが戦闘フィールドの様だがボスがいない。

不思議に思っていると、吹雪の音にまぎれて飛翔音が。


ギイン


 飛んできた氷柱を竜槍杖で撃ち落とした。

砕けた氷の破片が風に散っていく。

氷柱が飛んできたのは頂上の方向。

目を凝らすと、いた。

塔の様な霊峰の頂上に白い巨鳥が。


「あいつが『フレスヴェルグ』か」


 北欧神話の登場する世界樹に棲むという巨鳥だな。

世界樹の根を齧る悪竜ニーズホッグと対立していて、死者の魂を冥界に運ぶんだったか。

ちょっと名前がベルクとかぶってるな。

気にいらん。


 まだ、フレスヴェルグは未討伐だ。

その理由は単純に戦力の不足。

嫌らしい事に奴は地上に降りて来ない。

必然、戦闘するには飛行スキルか飛行系従魔が必要だ。


 そんなわけで空中戦が得意なプレイヤーが、なかなか集まらないということで後回しにされている。

従魔とのコンビネーションが見直されているので、今後はそうでもないだろうが。


「コール ベルク プルート カリス」


 ここならカリスの巨体も苦にならない。

3体が飛び上がるとボスも迎え撃つように飛び上がった。

そして始まる空中戦。


ガッ


ギイン


「チッ、速いな……」


 機動力はベルクと同等。

後ろに回ろうとしても上手くいかない。

プルートの火球やカリスのブレスも当たらないので近接戦闘に集中している。


 相手の攻撃方法もベルクに近い。

爪と嘴による接近戦と、羽根に氷を纏わせた氷柱を使った遠距離攻撃を行なってくる。

もっとも氷柱はベルクには当たらず、氷属性を持つプルートとカリスには効きにくい。

よって、ボスも近距離戦をメインにしてくる。


 一度の接触で両方がダメージを受ける。

HPは向こうの方が遥かに多いが、こちらはダメージが3等分される。

ベルクに至っては俺が攻撃をさばくのでほぼ無傷だ。


 レイラさんとの対戦以上の空中戦と言えるな。

文句無しの強敵だ。

だが、これで終わりだ。


キュアアアァ


 ボスが高速で突っ込んでくる。

嘴による攻撃だ。

威力は高いが、相手も軌道をそらせない事は確認済み。

さあ、行くぞ!


「【ロンギヌス】起動!」


 竜槍杖がオーロラに包まれる。

そして、ボスとベルクが交差し、すれ違った。

衝突音は無かった。


ズルリ


 ボスの頭部がずれ、胴体から離れた。

首を刎ねられたボスの体は頭部の後を追うように落下していった。

そして、頭部と共に爆散した。


「……マジか。何の手ごたえも無かったぞ」


 一時的に機能を停止した竜槍杖を見つめる。

正に切り札にふさわしい恐ろしい威力だった。


「『氷王のマフラー』に『フリーズ・アクス』かどっちもすごいな」


 ソロドロップは真っ白な『氷王のマフラー』、その能力はなんと「氷属性軽減(大)」だった。

これはもしかすると、他の大ボスのソロドロップも同系統かもしれないな。

初回ドロップは氷の魔法武器『フリーズ・アクス』だ。


 実に都合が良い。

ちょうどネクロスのハルバードの素体が欲しかったんだ。

槍か斧が出れば良いと思っていたんだが、しかも魔法武器。

さっそく、鍛え直してもらおう。


フレスヴェルグとジズ、ベルクのランク5の種族の候補でした。


結局採用したのはジズで、フレスヴェルグはボスに。

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