追加食材調達
ピチョン ピチョン
水滴が滴る洞窟の中を俺は歩いている。
ここは地下水脈。
その名の通り、道の横には大きな川が流れている。
さて、なぜ俺がこんな所にいるのかというと時間を僅かに遡る。
対抗戦第2試合に優勝した俺達第3サーバー。
凱旋は大いに盛り上がった。
外道、魔王、邪神、魔神、色々言われたが、褒め言葉の様なので気にしなかった。
そして、宴が進むと起きるべき事が起こる。
酒が進むと食も進み、食材はどんどん減っていく。
NPCの店まで食材切れになったのだ。
何せ人数が1万人近いのだ。
そいつらが大食い大会とかやりながら延々食うわけだ。
俺が言うのもなんだが自重しろよ。
素面だった俺に、当然のように下されたミッション。
「地下水脈で魚介類を集めてこい」というものだった。
海でもないのに海産物? とか思ったりもしたが、ここに現れる水中系モンスターのドロップは魚介類なのだ。
ていうか、なんで主賓の1人が食材集めてるんだろう。
NPCの店は明日になれば商品をどこからか揃えるのに……。
当然のようにシミラのステルスを使っているので、こちらからモンスターを探す。
水面に降り立ち槍を突きこんでいると漁師になった気分だ。
アメンボ様は第3エリアでも活躍の場がある。
ありがたや、ありがたや。
割と水が多くて動きにくいので、使い魔は小柄なフェイとシミラ、水中戦ができるバイトだ。
使い魔にはサイズと言う問題がある。
でかい奴は強いが場所を選ぶ。
効率を上げるためバイトは単独で狩っている。
途中からフェイに敵を引っ張ってきてもらうことにした。
タコに蟹、魚に貝と節操無くゾロゾロ敵が来る。
ちょっとしたトレインだが数だけだ。
「【サンダーエレクトロン】」
ズバアアアァ
雷光がモンスターを薙ぎ払う。
セオリー通り水には火か雷だ。
生き残った奴も突き殺していく。
気の所為ではなく陸上だと弱いな。
わざわざやられに出てきてるようなものだ。
そもそも、フェイは水中に雷を落として敵を集めてるわけだし。
これだけ倒すとさすがに気付く。
明らかにドロップ量が多い。
お守りの効果は出ているな。
「お、中ボスエリアか」
地底湖ってやつか、広いな。
隠れても仕方ないのでシミラを戻し、ベルクを呼んだ。
バイトも合流し準備はOK。
中ボス『古代牙魚』討伐にチャレンジだ。
と、思ったら
バッシャアア
水中から巨大な魚が飛び上がってきた。
なるほど確かにシーラカンスだ。
ヒレで立って歩いてるけど。
さすがに意表を突かれたわ。
もう出てきてくれるとは。
しかし、考えてみれば水中の敵と戦うのが苦手なプレイヤー達もいる。
その辺はサーペントよりぬるいかな。
まあ、陸上に出たからと言って弱くなったとは限らないし、いつまでも陸上にいるとも限らない。
さっさと狩って戻るか。
このボスは挑んだプレイヤーの人数が多いと水からなかなか出てこないらしい。
今回は俺一人だと高をくくってすぐに飛び出してきたわけだ。
侮っているようだな、刺身にしてやる。
尻尾やヒレを振り回し、水ブレスを吐いてくるが如何せんトロい。
バイトが巻きついたため、さらに動きが鈍くなっている。
俺とフェイとベルクは容赦なく雷を打ち込んで行く。
はっきり言って弱いな。
話題に出ない理由が解る気がする。
バイトは3つの口でガブガブと噛みつき、水中に逃げだそうとするボスを抑え込む。
ビチビチと暴れていた古代牙魚も、容赦ない雷攻撃によって力尽きた。
腐海の中ボスの方が強かったな。
「ソロドロップは『お魚盛り合わせセット』?」
見た目は完全に舟盛だ。
このダンジョン、ホントに食材ダンジョンなんだな。
大ボスの『クラーケン』のドロップがイカ刺しなんてオチは無いだろうな……。
食材を山ほど抱えて戻ると大半の連中が潰れていた。
あれ? これじゃ別に追加の料理要らなくないか?
俺、何でダンジョンに行かされたんだよ……。
パシリ? いいえ、便利屋です。
変わらない?




