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第3サーバーvs第4サーバー

 戦う前から勝敗は決していたようなものだった。

それでも戦わなければならないのだ。

第4サーバーの陣形は教科書どおり。

よって、第3サーバーの思うつぼと言えた。


「気付いてるか?」


「ああ、悪魔がいない」


 一方で第4サーバーのプレイヤーはすぐに気付いた。

前回優勝者の姿が無い事に。

姿の無い悪魔、ほぼ同時に脱落した2つのサーバー、10人の行方不明者。

全てが繋がり、嫌な予感がピークに達する。



 第3サーバーの奇妙な陣形を警戒しているのか、動かない第4サーバー。

しかし相手が来ないならばこちらが行くまで。

第3サーバーが突撃を開始しようとした瞬間、上空から燃え盛る岩が降ってきた。


ドドドドドドォ


「うわあ!?」


「何だよ、これ!?」


 その標的は第4サーバー。

驚き振り返った前衛が見たモノは、右手を炎に左手を雷に包んだゴーレムが砲弾のように突っ込んでくる姿だった。

後衛は驚愕のあまり反応する事ができない。

何時の間に? なぜこんな巨体を見逃したのだろう?


ドグシャア  メキャア


 後衛のプレイヤーがマッチ棒のようにあっさりとへし折られ、空き缶のように叩き潰される。

その後方に奴はいた。

溶岩の巨獣を従えた悪魔が。

ゴーレム、ギアを囲もうとするプレイヤーに巨獣、ヴァルカンが火山弾を撃ち込む。

さらに


「攻撃開始!」


「「「「「「おう!」」」」」」


 第3サーバーが攻撃を開始した。

従魔も加えれば、すでに数は倍も違う。

戦況は一方的なものとなった。



 ヴァルカンによって陣形を崩され、ギアによって後衛を潰され、第3サーバーチームに包囲される。

ここまで行けば詰みだろう。

フィオは冷静にそう分析した。

実際戦闘はもう収まりかけている。


「うーん、やっぱやり過ぎたかね」


 呟いた瞬間何かに気付き、その場を跳んで離れる。

直後、キラリと光る何かがそこを切り刻んだ。


「……ばれてたのね」


「まあね」


 隠蔽を解除して現れたのはハイ・ホビットの女性だった。

ホビットは器用なので職人が多い。

しかし、この試合に出るという事は相当な凄腕だろう。

はっきり言って珍しい。


「私はモモノ。前回優勝者に挑戦するわ」


「OK。受けて立とう暗殺者さん」


「あなたが言う事? 見事な手並みだったわよ」


「そりゃどうも。その武器だけど糸かな?」


「あら、1回で見破ったの? これは【鋼糸】のスキル。【鞭】と【暗器】の複合よ」


 なるほど、彼女の妙な小手は防具であり鋼糸を仕込んだ武器でもあるわけか。

見えにくく、普通の武器より射程の長い鋼糸は強力な武器だ。

代わりに扱いにくいのだが、彼女はSTの大半を器用さに回して使いこなしているようだ。

種族の特徴も一役買っているのだろう。


「はっ! それっ!」


シュン キィン


 振るわれる鋼糸を回避する。

あいにく見切れないほどじゃないし、切り払うこともできるだろう。

ただ、受けると巻きついてくるだろうからな。

確かに鞭より遥かに厄介だ。

しかし


「なら、近付かないよ」


「え? あぐ!?」


 距離を取り相手の射程外から魔法で攻める。

俺の本領は物理と魔法のコンビネーション。

わざわざ、相手の射程に入る必要は無い。


 モモノは鋼糸以外攻撃手段が無い様だ。

必死に近づこうとするが、無詠唱並列起動という壁は厚い。

HPも残り僅かになった。

止めといくか。


「【ストームテンペスト】」


ゴオォォ


「きゃああああ!?」


 ここで彼女に思わぬ不幸が起きた。

竜巻は上昇気流だ。

渦潮の様に物を引きよせ上空にふっとばす。

つまり彼女の鋼糸は竜巻に引き寄せられ、自分に牙をむいたのだ。


 想像して欲しい、刃物と一緒に洗濯機で回される光景を。

俺だったら絶対嫌だ。

しかし、モモノは似たような目に合ってしまった。


 上空に吹き上げられた彼女は、落下する前にHPが0になった。

うーん、合掌。



 ふと見るとすでに戦闘は終了しており、みんな微妙な目でこっちを見ていた。

うん、まあ、ゲームで良かった。

現実だったら、とんだスプラッタな光景だっただろう。

ポツリと誰かが言った。


「やりすぎじゃね?」


 ……自重を捨ててすいません。

ヒャッハーしすぎてごめんなさい。



第4サーバーのプレイヤーの全滅を確認。


第4サーバーは脱落しました。


対抗戦第2試合優勝は第3サーバー選抜チームです。




暗器つながり結構ありますね。


今大会はシミラ祭でした。

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