ボスはスイマー
ロトンモスを倒したドロップには予想外のものがあった。
単独撃破報酬 『防毒の首飾り』 効果 毒無効
最速撃破報酬 『死蛾の短剣』 能力 猛毒(大)
どちらもランク5と現状では破格だ。
しかも、短剣は毒ではなく猛毒だ。
単独撃破は後からでも達成できるが、最速撃破は最初の1人、もしくは1パーティだ。
レアなのは当然か。
一応予備にロッドを持っているが、取り出す手間がかかる。
サブ武器に短剣を装備しておくのもいいだろう。
首飾りも当然つけた。
町で休憩しアイテムを補充する。
沼のボスもあの蛾クラスだとすると油断はできない。
爆弾でも売り出さないかな……。
そして沼地。
奥に進むと1.5mほどのワニ『アリゲーター』や骨魚の『ボーンフィッシュ』が現れる。
ボーンフィッシュは水から水にジャンプするので、槍をバットのように使って陸に弾いた。
そうなればビチビチするだけの雑魚だ。
アリゲーターは鱗の無い口が弱点だった。
正面に立つのは勇気がいるが、槍との相性がいい。
後ろに回ると逆に尻尾の反撃を受けるし。
ワニ皮と蛇皮どっちがいいのだろう? 鍛冶屋で要確認だ。
最奥と思われる場所は、丸い10mくらいの足場をぐるりと水が取り囲んでいる。
まるで闘技場だ。
敵がいないけど。
〈グゲェー〉
突然鳴き声が響き渡り、水中から半漁人が飛び出してきた。
名前は『サハギン』身長は180cmほど。
俺より1周りでかい。
「人型か。好都合だな」
他のゲームでPvsPの経験がある者にとって、人型モンスターはむしろやりやすい。
襲いかかるサハギンの攻撃を回避してカウンターを打ち込む。
だが、幾度かの攻防で不利を悟ったサハギンは水中に飛び込んだ。
「泳ぎなんて鍛えてないぞ……」
グリーンスライムの巣で泳ぐなどただのバカだ。
しかし他に水辺は無い。
悪魔が泳ぎに向いているかも怪しい。
バレットを打ち込んでみるが当たらない。
ブレイズも水中には届かない。
と、サハギンが水面に顔を出した。
チャンスか? と思ったのもつかの間。
口から噴出された水ブレスが襲いかかる。
「うおっと」
直線だったので回避は楽だが、また奴はまた水中にもぐってしまう。
「くそ、落ち着け……」
奴はさっきの攻防で不利を悟り水中に逃げた。
蛾と違いそれなりの思考をしている。
「ならば……」
俺は右手に槍、左手に短剣を持ちわざと隙を見せた。
すると
ザパァーン
左後方から飛びかかってくるサハギン。
シャドウウルフと同じだ。
半端に知能があるからフェイントに弱い。
振り下ろされた爪を槍で防ぎ、ガラ空きの胴に死蛾の短剣を突きこんだ。
〈グゲゴッ〉
苦しげに呻いて水中に逃げるサハギン。
しかし水中でも猛毒は容赦なく奴のHPを削る。
もちろん俺自身もフェイントでおびき出し、カウンターを打ち込む。
やがて毒で全身が紫に染まり、ボロボロになったサハギンが苦しげに水面に浮いてきた。
「止めだ」
一番効きそうなスパークバレットを撃ちまくると、サハギンはついに力尽きた。
ドロップアイテムを確認しようとすると、メッセージが表示された。
〈フィオは『中位悪魔』にランクアップしました〉
〈スキル『使い魔』が解禁されました〉




