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第2回戦開始

 そして第2回戦当日。

再び町中にモニターが設置されていた。

選抜メンバー50人は装備の最終チェックを行っている。


 かなり訓練を行ったようで、従魔達も自主行動が取れるようになったようだ。

連携はともかく、お互いを邪魔する事は無くなったそうなので戦力になるだろう。

数は力だからな。


 今回は俺も手加減は無用といわれた。

しかし、カードを全て切るのも考えものだ。

色々考え、ロンギヌスとカリスは次回まで取っておく事にした。

もちろんピンチになれば躊躇わず使うけど。


間もなく開始時間です。


 お、そろそろか。

他のメンバーも気合が入っている。

いくら有利とはいえ油断は大敵だもんな。

そして開始の合図と共に、俺達50人は戦闘フィールドに転送された。



「ここがフィールド……」


「林とかもあるんだな」


 メンバーはちょっとした広場に転送されていた。

じゃあ、俺は行くかな。


「探知範囲に敵はいないけど、どうします?」


「私たちは北に向かいましょう。フィオ君は南です」


「了解」


 あれこれ考えてもしょうがないしな。

前回も参加者同士は結構離れていた、とモニターを見ていた奴が言っていた。

仮に相手が動かないとすると、探すのは結構面倒かもしれない。

シミラを呼び出しステルスモードになった俺は南に駆け出した。



「見ーつけたっと」


 山道を歩く集団を発見。

その中に前回戦ったレイラさん、それにタクとヒデ、さらに妹を見つけた。

多少外見は違うが見間違えるはずもない。

第1サーバーか。


 ふむ、このまま行くと結構深い谷を通るな。

よし、そこで奇襲をさせてもらおう。

トラップも用意しないとな。

やっぱ、山といえば落石かな。


 友人たちはシミラの存在は知っていた。

しかし、50人もの人数を隠蔽する事は出来ないという事も知っていた。

良くも悪くも彼らは常識人だった。

その為、1人で50人のレイドパーティを襲撃できるプレイヤーがいる事は知っていても、それを実行する馬鹿がいるとは思わなかったのだ。


 第3サーバーではすでに常識となっている聖魔の非常識さ。

それが知れ渡る時が近づいていた。



 第1サーバーのメンバー達は谷底の様な場所を歩いていた。

薄く霧がかかっているので、広範囲を探知しながら慎重に。


「あ! 反応ありです!」


「数は?」


「1人です。谷の出口にいるみたいですけど」


「斥候かな?」


 慎重に近付いて行くメンバー達。

念のため前衛を前に集め、後衛を下がらせた。


「逃げませんね」


「1人で何するつもりだ? 罠かな?」


 他のメンバーが不思議がる中、数名は嫌な予感を覚えていた。

タク、ヒデ、リエ、レイラの4人である。

まさか、だがあいつなら……。


 サアっと霧が晴れ、相手の姿が露わになった。

黒い髪、紫の瞳、青い手甲と脚甲、黒いコート。

右手には華美な装飾のパルチザン、左手には禍々しい短剣。


「こんにちはー」


 硬直するメンバーにかけられた、気の抜けた聖魔のあいさつ。

それを合図にしたように、崖の斜面が崩れ落ちた。


ドドォ


「うわあ!?」


「な、何!?」


「トラップか!?」


 パーティは岩の壁によって前衛と後衛に分断されていた。

崖の上から何かが飛び降り後衛に襲いかかる。

壁に遮られ、前衛達からは何が起きているのか解らない。

ただ、悲鳴と戦闘音が聞こえるだけだ。

助けに行こうとする前衛達を聖魔が制する。


「あなた方の相手は俺ですよ」



 前衛達と聖魔の戦闘が始まるころ、後衛達は阿鼻叫喚の地獄にいた。

突然目の前が落石で塞がれたと思ったら、崖の上から奇襲を受けたのだ。

敵は2体。

六腕竜尾の黒い骸骨と黄金の装甲を纏ったカマキリだった。


 弓使いや魔法使い、回復役だけしかいない後衛部隊に2体は嵐のように襲いかかった。

すさまじい速さで刃が振るわれ、雑草の様に仲間が刈り取られていく。

あっという間に恐慌状態に陥った。


 もちろん反撃する者もいた。

しかし、矢も魔法もあっさりかわされ、運よく当たっても弾かれた。

落石から5分とたたず第1サーバーの後衛部隊は全滅した。



 モニターを見ていた観客たちには第1サーバーのメンバーが気付かなかった事が見えていた。

すなわち、トラップなど無かったということを。

そう、崩れ落ちてきた落石は全てシミラの幻術なのだ。

フィオは初心に帰り、シミラ本来の生きたトラップとしての能力を使わせたのだ。

近付いて触れば解るのだが、そんな余裕は第1サーバーのメンバーには無かった。



 シザーとネクロスは崖の上でシミラの隠蔽を受けて隠れていた。

そしてフィオの合図と同時にシミラは落石に変身して攻撃、分断した。

シザーとネクロスは即座に後衛に襲いかかり、これを殲滅した。


 これから彼らの主の戦いが始まる。

第1サーバーの前衛は気付いていないが、彼らが援護に行こうと思えば即座に挟み打ちだ。

主は戯れで、自分だけで20人以上を相手にしようとしている。

矛盾しているようだが、本気だが手は抜いているのだ。


 悪い癖ではあるのだが、おそらく自分1人でどこまでやれるか試したいのだろう。

3体は待つ。

主の命令が下るのを。


 だが、ただ待っているわけではない。

主が危機に陥れば即座に割って入るだろう。

自らの意思で。

たまにはシミラも攻撃に参加。

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