マンガ肉
あれこれ考えたが、まずは第2エリアを制覇する事にした。
まずはボルボックスからだ。
見た目は丸っこい球が蛙の卵みたいに集まった感じ。
触手と、花粉による状態異常が基本攻撃だ。
そして最大の難点は雑魚を呼びまくることだ。
樹海の雑魚なので一体一体はそれほど強くない。
しかし、数が尋常じゃないのだ。
放っておくとどんどん増える。
話によると300位まで増えたらしい。
そんなわけで如何に雑魚を抑えるかが重要なわけだ。
まあ、特に作戦は無い。
力押しで行こうと思っている。
シザーとネクロスがボス、俺とバイトが雑魚。
これでいいだろう。
「【バーンアウト】!」
ゴォォォ
全く倒しても倒してもきりが無い。
苦戦というより苦行だ。
バイトは狙いなど付けていない。
適当に暴れれば当たるのだから。
ディザスターブレスが3つの頭から吐き出される。
100体近いモンスターが一斉に状態異常になると壮観だ。
猛毒で勝手に死ぬし、麻痺や混乱すればほっといてもいい。
俺は近付いてきたやつを排除する。
ボスの方は順調だ。
綿毛の様にフヨフヨ浮いているボスは、ズタズタに切られている。
ダメージを受けると球が弾け、徐々に縮んでいく。
後半分くらいか。
解りやすいな。
2割を切った所で俺もボスを狙う。
モンスターの出現ペースが速くなったのだ。
もうボスを倒した方が早いだろう。
さすがのバイトも物量に押され始める。
「この! 【グングニル】!」
燃え盛る槍を打ち込まれ、ついにボルボックスは力尽きた。
と、思ったら雑魚が消えないし!
あー、どこまで面倒なんだ……。
「ほう、『千年樹のお守り』ね」
ソロドロップは木製のお守り、アミュレットだった。
効果は……ドロップ率上昇!
キター、アイテムドロップ関連。
これは流行りそうだ。
これを複製するには職人連中に見せる必要がある。
著作権料とかもらえないだろうか?
いや、しかし今までもそんなもんもらってないし……。
俺ってもしかしてチョロイ相手?
いやしかし、強欲と思われるのもな。
あれこれ考えつつ、次のターゲットの元へ。
いよいよ第2エリア最強のアイスマンモスだ。
プオオオン
ガアアアア
俺の目の前ではゴーレム&恐竜&ドラゴンvsマンモスというトンデモな光景が広がっていた。
パワー派のギア、ヴァルカン、カリスでアイスマンモスに挑んだわけだが、最早怪獣映画の様な状況だ。
なんだか観客みたいな心境になって手が出せないな……。
さすがのアイスマンモスも、ランク5の使い魔を押し切るには攻撃力が足りないようだ。
カリスに至っては氷属性にチェンジして、吹雪を吸収している。
あ、牙の一本がギアのアグニでへし折られた!
その隙に横からヴァルカンがタックル、カリスものしかかる。
流れる様な連携はプレイヤーでも難しいレベルだ。
やはりこいつらは個性はあっても根は同じ、俺のコピーなんだな。
合い過ぎるほど息が合っている。
横倒しになったアイスマンモスをタコ殴りにする3体。
まるでチンピラの暴行に見えてしまう。
あれが、俺かよ……。
やがて、アイスマンモスは力尽きた。
ごめんなさい、合掌。
「ドロップは『原始肉』? 10個もあるし」
原始肉ってあれか?
マンガで原始人が食ってるでっかい骨付き肉だろ?
マンモス倒して原始肉って、運営ネタに走ったな……。
「どれどれ、……うお!」
ためしに一個出してみたらデカイ!
予想よりデカイぞこれ。
まるでドラム缶だ。
齧りつけるサイズじゃないし!
「どうしようかな、これ……」
ぶっちゃけ、どう扱っていいか迷う。
何個か調べてもらったら料理屋に売るか?
いやしかし、依頼で取ってきてくれとか言われそうだ。
オークションに出してもソロドロップの時点で俺だとばれる。
「とりあえず、町に戻ろう……」
俺が料理しても待っているのは焦げ肉だ。
さすがにそんな勿体ない事は出来ない。
いっそ食堂に持ち込んで大勢にふるまうか?
「なんで、こんな事で悩んでるんだ俺? レアドロップ手に入れてうれしいはずなのに……」
結局調べてもらって、ふるまって、オークションに出した。
迷ったから全部やってしまったのだった。
一度くらい 食べてみたいな 原始肉
食堂は盛り上がったでしょうね。