対抗戦の反応
凱旋したフィオは知り合い達に祝福された。
賞金も結構出たし、気分は良い。
いや、楽しんでもらえたのなら何よりだ。
結構ノリノリでやってしまったが。
「ナイス外道! いや、邪神!」
「よくやった魔王! っていうか魔神!」
祝福? まあ、それはさておき。
とりあえず、現在の力の差を見せつける結果になったわけだ。
後は相手次第だろう。
賞金が入ったので、以前から考えていた使い魔の装備強化を行うことにした。
まずはネクロスの、毒の大鉈とバシリスクシールドを組み合わせてもらう。
マドゥやシンガータと呼ばれるソードシールドだ。
状態異常耐性と毒付加能力を併せ持つ、優秀な物ができた。
近接戦闘で有効だろう。
次にヴォルケニックハンマーをポールハンマータイプに打ち直してもらう。
ネクロスは魔法を使えないので魔剣の類は重要だ。
化石樹の大剣もプレイヤー用のサイズから、ネクロス用のサイズに打ち直してもらう。
プレイヤーにとっては大剣でも、ネクロスにとっては長剣サイズだったからな。
どれも上位の鉱石を使用したので性能は上がっている。
ハルバートと近接用の武器を一つ用意したいが、ベースになる武器が欲しい所だ。
近接武器はグルカナイフを考えている。
ククリとも言われる逆反りの短剣で、使い勝手が良く威力も高い。
まあネクロスのサイズだとグルカソードってサイズになるかな。
後はプルートのヴォーパルサイズも鉱石で強化した。
それとフェイのアクセサリだが、どうも腐海の素材を使うと良い物ができるらしい。
まだ手に入れていない素材も多いし、もう少し後にするかな。
第2の町オーブ屋
「ほほう、ホントに2つ発動してますね」
「ペースは倍だな。MP消費は変わらんけど」
「時は金なり、ですよ」
オーブ屋に入るとまず祝福され、次に問い詰められた。
魔法の同時起動は自前なのか、と。
イエスと答えると、非常識な人です、と呆れられた。
失敬な。
練習の場を用意しますと言われたが、何の事は無いオーブに魔法を込めて欲しいというわけだった。
ついでに腐海の素材について聞いてみた。
どうやら植物系の素材がアクセサリ向けらしい。
相変わらず耳が早い。
「そういや、オーブ開発はどんな感じなんだ?」
「ボウリング玉サイズですからもう少しですね」
「転がして使うとか?」
「やってみます?」
「やめとくよ」
そんなこんなで平穏に時は過ぎた。
しかし、ログアウトした俺を待っていたのは久々のつるし上げだった。
「外道」
「ドS」
「魔王」
「いじめっ子」
友人と妹達からの耳に痛いお言葉。
しかし、あえて言おう。
後悔はしていないと。
実は悪役を結構楽しんでいたのだ。
……最近、某馬鹿共に毒されているのかもしれないな。
俺の暴走? を見た者たちによって、情報サイトは炎上どころか爆発している。
「なにあれ? 人間?」とか、「悪魔怖い 怖い」とか書きこまれていた。
ガラスのハートだったら割れそうなほど恐れられてしまったようだ。
友人達もさすがに引いたそうだ。
あれは試合ではなく処刑だと。
やっぱり、少しは反省しよう。
スタッフルーム
「いやー、ひどかったね」
「絶対相手したくないですよ」
「でも彼自身もそうだけど、使い魔のAIもすごいですね」
キャラの成長は、スポーツで言うオーバーロードの法則に近い。
戦闘職の方がSTが上がるのは、その方が負荷がかかる行動を取るからだ。
では、例の彼はというとトップギアを通り越して暴走状態でプレイしている様なものだ。
当然キャラアバターにもとんでもない負荷がかかり、急速に成長していく。
通常なら知覚速度とのずれを防ぐために設定されているリミッターも、序盤の内に解除されてしまった。
そして、それは使い魔と従魔にも言える事だった。
従魔は契約が完了するとキャラと情報をやり取りし、主の思考をエミュレートしていく。
彼の場合、そのやり取りされる情報量が膨大だった。
結果、従魔たちはすさまじい速度で学習していくことになる。
現状では最早マニュアル通りの戦術では、逆に手玉に取られてしまうだろう。
「うーん、これじゃボスのAIには使えないかな」
「ちょっと高性能すぎますね」
「イベントボスなんかの特殊モンスターぐらいですかね」
次の対戦は団体戦。
それまでにパワーバランスはどう変化するのだろうか。
本気で対策考えないと次もヤバい。




