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特殊種族総決戦 悪魔vsリッチ

バキバキバキ


 木々を薙ぎ倒し迫りくる黒い影。

第4サーバーのデッドは森の中を駆けていた。

逃げているのだ。

突然襲ってきた巨大な狼から。


「くそ、何なんだこいつは!」


 アンデッドを呼び出し迎撃しようとしたが、あっさり引き裂かれ足止めにもならなかった。

明らかに急所を、クリティカルを意図的に狙っている。

攻撃魔法は、なんとかわされてしまった。

ならばと呼び出したのは実体の無い霊体系。


オオオオン


 巨狼が咆哮をあげる。

すると巨狼の周囲に銀色の光弾が発生した。

まるで流星のように光弾は走り抜け、アンデッドを打ち抜いた。

一瞬で護衛を失ったデッド。


 しかし、逃げまどう彼は気付いていなかった。

巨狼、ハウルは彼を倒そうと思えばいつでも倒せる事を。

あえて逃がし、あるポイントに追い込んでいる事を。

デッドが森を抜け、草原に出た所でハウルは動きを止めた。

彼の任務は完了したのだ。



「はあはあ、来てくれアトラス」


 草原に抜け出たデッドは虎の子の従魔、メテオライト・ゴーレムを呼び出した。

大盾と大斧装備の相棒だ。

ちなみに従魔は召喚オーブで呼び出す事ができる。


「? 追ってこないな……」


 巨狼は追ってこない。

どうしたのだろう。

見失ったと考えるのは楽観的だろうが。


「……そうか、あれが悪魔の使い魔か。なんて化け物だよ」


 さっきの襲撃で、支配していたアンデッドはほぼ壊滅だ。

この後どう戦うべきか。

考えていると、ふと気になる事があった。


 草原の一カ所に違和感を覚えたのだ。

例えるなら白紙に白い絵の具が塗ってある様な感じだろうか。

その違和感に気付いた彼は、間違いなくトップクラスのプレイヤーだと言える。

しかし、相手が悪すぎた。


サアァァ


 霧が晴れるように景色が揺らいだ。

そこに現れたのは、白い獣と槍を持った黒いコートの男。

獣の口はまるで太陽のような輝きを発している。


「なっ」


 一瞬の動揺。

コートの男が獣にビンに入った液体をかけた。

アトラスが盾を構えてデッドの前に立った。

とっさにデッドもシールドを張る。


「はい、一名様ご案内~」


 コートの男、フィオの言葉と共に獣、リンクスの口から閃光が放たれた。

放たれたレーザー砲『ソル・ブラスター』はアトラスを盾ごと貫き、デッドのシールドを紙のように切り裂いた。

デッドのHPは一瞬で0になり、彼は光と共にフィールドから退場させられた。



ズバアアア


「キャッ、何? 何?」


 森の中を用心深く歩いていたレイラは、突然の轟音に身をすくませた。

続けて聞こえたアナウンス。


〈第3サーバーのフィオにより、第4サーバーのデッドが倒されました〉


「嘘!? いくらなんでも早すぎない!?」


 なるほど、確かにまともにやって勝てる相手じゃなさそうだ。

ならば隙をついての奇襲くらいしか思いつかない。

隠蔽スキルを鍛えているしアイテムの補助もある。

しばらく様子を見ることにしよう。



第3サーバー


「おお、やりやがったぜ!」


「あれは、バーサーカー・ドラッグを使ったみたいですね」


「すげえ威力だな。さすが3倍」


 リンクスの放ったソル・ブラスターは広大な森を左右に分断してしまっていた。

ちなみに左側にイコンが、右側にレイラが潜んでいる。



 当然、他のサーバーは大パニックだった。

サーバートップクラスのプレイヤーが、狩りの獲物のように倒されたのだから当然だろう。

そして、悪魔の蹂躙は続く。



「さてさて、残りの二人はまだ森か」


 わざわざ森に入っていくのも面倒だ。

あぶり出すとしましょうか。


「戻れ ハウル リンクス。コール ヴァルカン プルート」


 溶岩の獣と死神を従え、分断された森の左側に近づく。

そして、ごくシンプルに指示をだす。


「よし、じゃあ森のこっち側を焼きはらえ」


 次なる標的は隠れ潜む堕天使。

主の命令に従い2体の使い魔は森を焼きはらい始めた。


「燃ーえろよ燃えろーよーっと」


 しばらくすると森から人影が飛び上がった。

羽が黒いが姿は天使の様だ。

例の堕天使だな。


「【ブリューナク】!」


 迫りくる竜槍杖に向こうも気づいた様で、射線から逃れようとする。

しかし、ホーミング機能を持つ【ブリューナク】は軌道を修正し堕天使の翼を貫いた。

炎の森に落下する堕天使。

しかし、止めには至っていない。 


 すぐに追撃しても良かったが、魔力探知に反応が。

もう1人が向こうからお出ましの様だ。

反応は2つ、一つは上空だ。

おそらくは飛行系の従魔だろう。


「OK、次はヴァンパイアさんか」


魔法職のリッチは1人だと厳しかったですね。

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