サーバー統合
ついに全サーバーが最終エリアに到達した。
まあ、進行度はかなり差があるが。
現実時間で2日後、運営からイベントの通達がされた。
それは『サーバー対抗戦』。
現在4つに別れているサーバーのデータを統合、共有するためのテストだとか。
正式サービスが始まったら、全国各地にサーバーを建設し並列に起動させるらしい。
これは、一つのサーバーがメンテナンスしたり、トラブルが起きてダウンしても他のサーバーがフォローできる構造なのだそうだ。
理論上全てのサーバーが同時にダウンしない限り、ゲームは停止しないで済む様だ。
アップデートや修正も、1つのサーバーを停止してプログラムを書き換える。
その後他のサーバーに修正データを送れば、かなり短時間で完了するらしい。
詳しい事は良く判らないが色々メリットが多いそうだ。
まあ、とにかく、まずは各サーバーの代表1人を特殊フィールドで戦わせる『個人戦』を開催するそうだ。
開催は現実時間で3日後。
プレイヤー全員に投票権が与えられ、開催日までに一番票の入った1人が代表者だ。
投票状況は開示されているので、自分のサーバーの状況はすぐ判る。
第1サーバーの代表として、友人達が出てくる可能性もあるが、同レベルの実力者も多いそうなので正直判らないそうだ。
第3サーバーはというと、投票1日目にしてすでに決まっていた。
俺に。
その日俺は、ゼクから強化宝石を受け取り、それを持って工房に向かっていた。
ゼクの仕事が遅かったわけではない。
数が多かったので、完成にはさすがに時間がかかったわけだ。
すると、破産予備軍のボスにいきなり言われたのだ。
代表戦頑張れよ、と。
投票状況をみると俺に6500票入っていた。
いきなりの過半数。
俺は昔、推薦で班長にされた時に感じた理不尽さを思い出していた。
運営の言い方から言って、これはおそらく前哨戦。
個人戦のデータを基に、団体戦が組まれる事は予想できていた。
よって、人選には様々な思惑が絡んでいたはずだ。
強者を出して勢いを付けるか。
咬ませ犬を出して自分達の情報を隠すか。
防御に秀でた者を出して相手の情報を探るか。
大規模ギルドの会合が行われるというので顔を出した所、拍手で迎えられた。
いわく、出し惜しみする必要は無し、勝て、だそうだ。
まあ、出るからには勝とうと思うけど、もう少し事前にねえ。
今さらぼやいても仕方ないけど。
第3サーバーの代表が俺だという情報はすぐにサイトに乗った。
元より隠す気もないし、意味も無い。
すると、第1、第4サーバーも代表選手の情報を公開したのだ。
第1はヴァンパイア、第4はリッチだとか。
正々堂々やろうってことかな?
まあ、真偽は不明だが。
第2は沈黙している。
隠したいのか決まらないのかは不明だ。
これで第2サーバーが堕天使を出してきたら特殊種族合戦になるな。
対戦は現実時間で明日。
せいぜい念入りに準備しとくか。
周りにはいつも通りでいいとか、相手が可哀相とか言われたが。
第3章 END
やっぱり選ばれた主人公。