[4th night]☆
若干R15描写が入ります。
気が付けば、彼女は腕の中にいた。
啄ばむように何度も触れ合わせた唇は熱く、縋るように首に巻き付いた腕は頼りないほど細かった。
このまま奪ってしまっていいのだろうか。
僅か残った理性が顔を覗かせ、その戸惑いが一瞬の間をつくった。
ぼやけるほど近かった彼女の顔が、少し遠くなって……
熟れた唇から荒い息を吐き出し、潤んだ眼でこちらを見上げるその顔は――男に愛でられることを知っている女の顔だった。
理性はすぐに崩壊した。
誘うように僅か開いた唇を覆い、もっともっとと開かせてその中へ舌を捻じ込んだ。
歯列をなぞるように舐めれば、微かに尖った犬歯が舌を刺激する。
逃げる舌を捕まえて無理矢理のように絡めれば、甘い声に刺激される。
自分が怒りすら感じていると悟った時、初めて女を抱くのが怖いと思った。
溺れるように沈んでいく自分を感じたことなど、これまでになかった。
――これをカルスも味わったのか。
――本当は私の、私だけのものになるはずだった彼女を。
本能のままに身体は動いた。
寝台に運ぶ間も、唇を離すことはしなかった。離れてしまえばそのまま、どこかへ行ってしまいそうな気がしたからか。
そうして貪ったすべてが甘く、征服欲がひたすら私を押し上げた。
「君は私のものだ。そうだな?」
私の下で息を乱した彼女に問うたのは、ただその欲を満たすため。
濡れたその場所は熱い。
飲み込まれた指が彼女を知り尽くしているかのように勝手に動いている。
彼女はその熱に浮かされているかのように頷き、そして甘くねだるような、言葉にならない声を上げた。
眉を顰める。
壊さない自信が無い。
けれど。
「挿れるぞ」
それ以上自分を押し止める術を、私は知らなかった。